(薬物使用と薬物乱用 物質関連障害の概要 薬剤やその他の物質は、それが合法な医療上の用途で使用されるものか、習慣的に使用されるものか(例えば、カフェイン)、娯楽目的で使用されるものか(レクリエーショナルドラッグ)にかかわらず、多くの人々にとって日々の生活に不可欠なものとなっています(表「 医療上の用途と娯楽的な用途が両方ある薬物」を参照)。... さらに読む も参照のこと。)
コルサコフ精神病は、 ウェルニッケ脳症 ウェルニッケ脳症 ウェルニッケ脳症は、 チアミン欠乏により錯乱、眼の障害、平衡感覚の喪失を引き起こす脳疾患です。 ウェルニッケ脳症は、ビタミンB群の1つである チアミンの重度の欠乏が原因で発症します。体内にチアミンが少量しか蓄えられていない場合、炭水化物の摂取が誘因となることがあります。 重度の アルコール使用障害の患者は、長期にわたる過剰なアルコール摂取により、消化管からのチアミンの吸収や、肝臓のチアミンの貯蓄が妨げられるため、しばしばウェルニッケ脳症... さらに読む (長期間にわたり大量の アルコール 飲酒 アルコール(エタノール)は、中枢神経系の機能を抑制します(脳と神経系の働きを遅くします)。急激または定期的に大量の飲酒をすると、臓器の損傷、昏睡、死亡などの健康上の問題を引き起こす可能性があります。 アルコール関連障害の発症には遺伝的な特性や個人的な性質が関与している場合があります。 アルコールを飲みすぎると、眠くなったり攻撃的になり、運動協調や精神機能が損なわれたり、仕事、家族関係、その他の活動が妨げられたりします。... さらに読む を摂取する人に生じうる一種のビタミン欠乏症によって引き起こされる脳疾患)を治療しないでいる人の80%に発生します。先に典型的なウェルニッケ脳症の発作が生じるかどうかにかかわらず、 振戦せん妄 離脱症状 アルコール(エタノール)は、中枢神経系の機能を抑制します(脳と神経系の働きを遅くします)。急激または定期的に大量の飲酒をすると、臓器の損傷、昏睡、死亡などの健康上の問題を引き起こす可能性があります。 アルコール関連障害の発症には遺伝的な特性や個人的な性質が関与している場合があります。 アルコールを飲みすぎると、眠くなったり攻撃的になり、運動協調や精神機能が損なわれたり、仕事、家族関係、その他の活動が妨げられたりします。... さらに読む (アルコール離脱症状の一種)の重度の発作が引き金となってコルサコフ精神病が起こることがあります。また、頭部外傷、 脳卒中 脳卒中の概要 脳卒中は、脳に向かう動脈が詰まったり破裂したりして、血流の途絶により脳組織の一部が壊死し(脳梗塞)、突然症状が現れる病気です。 脳卒中のほとんどは虚血性(通常は動脈の閉塞によるもの)ですが、出血性(動脈の破裂によるもの)もあります。 一過性脳虚血発作は虚血性脳卒中と似ていますが、虚血性脳卒中と異なり、恒久的な脳損傷が起こらず、症状は1時間... さらに読む 、脳内出血、(まれに)一部の脳腫瘍などが原因となることもあります。
コルサコフ精神病の症状
コルサコフ精神病になると、最近の出来事に関する記憶を失います。昔の出来事の記憶はあまり影響を受けません。記憶力がひどく低下することがあるため、思い出せないのを隠そうとして、場合によってはもっともらしい作り話をすることがしばしばあります(作話と呼びます)。すべての時間感覚がなくなります。錯乱して無関心になり、恐ろしい出来事にさえ反応しなくなります。顕著な運動失調(がに股のつまずくような歩き方)や眼球運動の制御困難など、ウェルニッケ脳症のすべての症状もみられます。
コルサコフ精神病の診断
重度の慢性アルコール使用障害など、コルサコフ精神病を引き起こすことが知られている病気の既往
コルサコフ精神病の診断は、 重度の慢性アルコール使用障害 飲酒 アルコール(エタノール)は、中枢神経系の機能を抑制します(脳と神経系の働きを遅くします)。急激または定期的に大量の飲酒をすると、臓器の損傷、昏睡、死亡などの健康上の問題を引き起こす可能性があります。 アルコール関連障害の発症には遺伝的な特性や個人的な性質が関与している場合があります。 アルコールを飲みすぎると、眠くなったり攻撃的になり、運動協調や精神機能が損なわれたり、仕事、家族関係、その他の活動が妨げられたりします。... さらに読む など、コルサコフ精神病を引き起こす病態がある人では、症状、特に作話に基づいて下されます。症状の他の原因(感染症など)を除外する必要があります。
コルサコフ精神病の治療
チアミン
水分補給
コルサコフ精神病の治療としては、チアミン(ビタミンの一種)と輸液を投与します。残念ながら、治療を行っても症状はあまり改善せず、回復する可能性はほとんどありません。
さらなる情報
以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。
アルコホーリクス・アノニマス(Alcoholics Anonymous):飲酒問題を抱える人の国際的な自助グループで、メンバーのアルコール依存克服を支援するとともに他の人にもそれができるよう支援する12段階のアプローチの先駆けとなりました。
ライフ・リング(LifeRing):従来の12段階のプログラムに代わるものとして、実際の経験の共有と禁酒サポートを促進することにより、薬物使用と飲酒の問題を抱える人々を支援しています。
フェニックス・ハウス(Phoenix House):アルコホーリクス・アノニマスが使用しているものと同様の12段階のプログラムを通じて、原因となった物質にかかわらず、嗜癖との闘いを支援します。
サマリタン・デイトップ・ビレッジ(Samaritan Daytop Village):ニューヨーク州に本拠地を置く団体で、退役軍人、母親と新生児、ホームレスなど、依存症と闘っている様々な人々を支援しています。