毒キノコや有毒植物、また汚染された魚介類を食べることで中毒が起こります。
最もよくみられる症状は、下痢、吐き気、嘔吐で、ときにはけいれん発作や麻痺が生じます。
症状と摂取した物質を調べた結果に基づいて診断されます。
野生のものや見慣れないキノコ類や植物、また汚染された魚を避けることでこの食中毒のリスクを減らすことができます。
水分を補給し、胃から有害物質を取り除くことが一番よい治療法ですが、物質の中には致死的なものもあります。
(中毒の概要 中毒の概要 中毒とは、有害物質を飲み込んだり、吸い込んだり、皮膚や眼、または口や鼻などの粘膜に接触したときに生じる有害作用です。 中毒を起こす可能性のある物質としては、処方薬や市販薬、違法薬物、ガス、化学物質、ビタミン類、食べもの、キノコ類、植物、動物の毒などがあります。 ダメージを与えない毒物もありますが、重度の損傷を引き起こし、死をもたらす毒物も... さらに読む も参照のこと。)
多くの病気で、消化管の炎症(胃腸炎 胃腸炎 )が生じ、その結果、突然の嘔吐や下痢が起こります。そのような病気がすべてまとめて漠然と「食中毒」と呼ばれることもあります。しかしながら、摂取した毒素によって引き起こされた胃腸炎だけが、真の食中毒です。嘔吐と下痢のほとんどはウイルスまたは細菌感染による消化管の感染が原因で、汚染された食品中の菌がそのような毒素を産生しない限り、食中毒とはみなされません(ブドウ球菌食中毒 ブドウ球菌食中毒 ブドウ球菌食中毒は、ある種のブドウ球菌が作る毒素に汚染された食べものを摂取することで起こり、下痢と嘔吐が起こります。 この食中毒は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が作る毒素によって引き起こされます。 この毒素は汚染された食べものでみられます。 典型的な症状としては、汚染された食べものの摂取からおよそ30分から8時間後に重度の吐き気と嘔吐がみられます。... さらに読む を参照)。また、 有毒の植物 植物による中毒 一般的に栽培されている植物のうち、非常に毒性の強いものはごく少数で、多くのその他の植物ではそれほど深刻な毒性作用を示すものはありません。 一般に、植物の毒性が非常に強い場合や大量に摂取した場合(例えば、葉やその他の部分を濃縮してペースト状にしたり茶として煎じたりしたものを摂取した場合)でなければ中毒を起こす可能性は高くありません。 毒性が強く、死に至る可能性のある植物には、トウゴマの実、トウアズキの実、ドクニンジン、ドクゼリのほか、キョ... さらに読む 、 キノコ類 毒キノコ中毒 毒があるキノコ類は多く、キノコの種類によって引き起こされる症状が異なる可能性があります。 キノコの種類によって、作られる毒素とその作用が異なります。 同じ種でも、キノコの生育時期や調理法によって毒性の強さが異なる可能性があります。 毒キノコと毒のないキノコを区別するのは、知識のある人でも難しく、民間伝承の知識はあてになりません。 中毒患者が食べたキノコを特定するのは困難な場合があるため、医師は通常、症状に基づいて治療を行います。 さらに読む 、 魚介類 魚や貝による中毒 特定の種類の魚や貝(生または冷凍のもの)には、様々な症状を引き起こしうる毒素が含まれていることがあります。 毒素による嘔吐および下痢( 胃腸炎)は、病気を引き起こす細菌またはウイルスに汚染された魚(またはその他の食物)を食べたことによる胃腸炎とは異なるものです。 魚を食べることで起こる中毒にはよくみられる以下の3つのタイプがあります。 シガテラ中毒 テトロドトキシン中毒 さらに読む の多くには、消化管やときに他の臓器に影響を及ぼす毒素が含まれています。
以下のような、外から毒性物質に汚染されたものを摂取した人にも胃腸炎が生じることがあります。
ヒ素、 鉛 鉛中毒 鉛中毒は、脳、神経、腎臓、肝臓、血液など、体の様々な部分に影響を与えます。神経系が発達中のため、特に小児は鉛の影響を受けやすくなっています。 鉛中毒の原因は、鉛入りの塗料を飲み込むことや、不適切な鉛の釉薬(ゆうやく)をかけた輸入陶磁器で飲食することなどです。 鉛の血中濃度が非常に高いと、人格の変化、頭痛、感覚の消失、脱力、口の中の金属味、歩行の協調障害、胃腸障害、貧血が起こることがあります。... さらに読む 、有機 殺虫剤 殺虫剤中毒 殺虫剤は虫を殺すために用いる化学物質です。殺虫剤の中には、人間にも危険となるものがあります。 殺虫剤の多くは、飲み込んだり、吸い込んだり、皮膚から吸収されたりすると、中毒を引き起こします。 症状としては、流涙、せき、心臓の異常、呼吸困難などがあります。 殺虫剤中毒は、症状、血液検査、中毒の経緯に基づいて診断されます。 重篤な殺虫剤中毒の治療に効果的な薬がいくつかあります。 さらに読む を噴霧された洗っていない果物や野菜
鉛の釉薬を使用した陶器で提供された酸性の飲みもの
カドミウムでコーティングした容器に保存していた食べもの
食中毒の治療
食中毒を起こした人の大半は、水分と 電解質 電解質の概要 人の体内の水分量は体重の2分の1をはるかに上回ります。体内の水分は様々な空間(体液コンパートメントと呼ばれています)に制限されて存在していると考えられています。主に次の3つのコンパートメントがあります。 細胞内の体液 細胞の周囲の体液 血液 体が正常に機能するには、これらの各領域で体液量が偏らないようにする必要があります。 さらに読む の補給のみで、迅速かつ完全に回復します。症状が現れたら、大量の水分摂取を試みるべきです。水分摂取に患者が耐えられない場合は、救急医療機関で輸液による水分補給を受ける必要があります。
可能であれば、できるだけ早く胃の中の有害物質を除去することが、多くの場合よい方法です。ほとんどの場合は、嘔吐することで胃の中の毒性物質を吐き出せます。
毒素が何であるか分かっている場合は、それに応じた特定の治療が行われることもあります。