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食道閉鎖と気管食道瘻

執筆者:

William J. Cochran

, MD, Geisinger Clinic

レビュー/改訂 2021年 4月
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やさしくわかる病気事典
本ページのリソース

食道閉鎖と気管食道瘻はしばしば一緒に発生します。

食道閉鎖と気管食道瘻の原因は医師にも分かりませんが、これらの先天異常がある小児の多くでは、 脊椎 脳と脊髄の先天異常の概要 脳や脊髄の先天異常は、胎児発育の早期または後期に発生します。 典型的な症状としては、知的障害、麻痺、失禁、体の一部の感覚消失などがあります。 診断はCT検査およびMRI検査の結果に基づいて下されます。 妊娠前と妊娠中に葉酸を摂取することで、特定の種類の異常が起きるリスクを減らすことができます。... さらに読む 心臓 心臓の異常の概要 約100人に1人は心臓に異常をもって生まれます。重症の場合もありますが、多くはそうではありません。心臓の異常には心臓壁、弁、心臓に出入りする血管の異常形成などがあります。 心臓の先天異常の症状は年齢に応じて変わります。乳児では、努力性呼吸や速い呼吸、哺乳不良、授乳中の発汗または呼吸数の増加、唇または皮膚の青みがかった変色(チアノーゼ)、異... さらに読む 腎臓 腎臓の異常 腎臓(左右に2つあって血液から老廃物をろ過して尿を作っている臓器)に生じる先天異常がいくつかあります。そのような異常は、通常は医師による診察では明らかにならず、 尿路を評価する検査を行う必要があります。 ( 尿路の先天異常の概要も参照のこと。) 腎臓の先天異常には多くの種類があります。そのような異常の多くは以下の変化をもたらします。 尿が腎臓から出る流れを妨げたり遅くしたりする... さらに読む 性器 性器の先天異常 性器の先天異常は、男児では陰茎、陰嚢、精巣、女児では腟と陰唇に生じます。ときとして、性器が女性のものか男性のものかがはっきりしない性別不明性器であることがあります。 性器の異常の原因としては、胎児の発育中に性ホルモンの濃度が異常であったこと、染色体の異常、環境的な要因、遺伝的な要因があります。 外性器が男性か女性かはっきりしない場合があり(性別不明性器)、このような状態は先天性副腎過形成症の女児で最もよくみられます。... さらに読む 性器の先天異常 耳の異常 出生時に、耳の欠損や変形、発育不全がみられることがあります。 先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは、「生まれたときから存在する」という意味です。( 顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常に関する序も参照のこと。) 耳の先天異常には以下のようなものがあります。 小耳症:外耳(耳介)が小さく、変形している 外耳道閉鎖:外耳道が部分的または完全に閉じている さらに読む 耳の異常 四肢 四肢の欠損または形成不全 出生時に、四肢の欠損や変形、発育不全がみられることがあります。 先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは、「生まれたときから存在する」という意味です。( 顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常に関する序も参照のこと。) 四肢の形成に異常がみられることがあります。例えば、遺伝的異常のため、手や前腕の骨が欠損していたり( 染色体異常を参照)、ときには手や足の一部または全部が欠損している場合がありま... さらに読む 四肢の欠損または形成不全 の異常や精神的・身体的な発達の遅れなど、他の異常もみられます。

閉鎖へいさ瘻孔ろうこう食道しょくどう異常いじょう

食道閉鎖しょくどうへいさとは、食道しょくどうせまくなっていたりまりになっていたりする状態じょうたいです。この場合ばあい正常せいじょう食道しょくどうのようににつながっていません。気管食道瘻きかんしょくどうろうとは、食道しょくどう気管きかん気管きかんはいにつながっています)がつながっている異常いじょう状態じょうたいです。

閉鎖へいさと瘻孔ろうこう:食道しょくどうの異常いじょう

症状

食道閉鎖の新生児では、哺乳中に飲み込もうとすると、せきが出て、むせび、よだれが出ます。

飲み込んだ食物と唾液が瘻孔(ろうこう)を経由して肺に入り、せきや窒息、呼吸困難を引き起こし、ときに 誤嚥性肺炎 誤嚥性肺炎と化学性肺炎 誤嚥性肺炎は、口腔内の分泌物、胃の内容物、またはその両方を肺に吸い込んだ場合に発生する肺の感染症です。化学性肺炎は、肺を刺激する物質や肺に有毒な物質を吸い込んだ場合に起こる肺の炎症です。 症状には、せきや息切れなどがあります。 医師は、患者の症状や胸部X線検査に基づいて診断を下します。 治療法や予後は、吸い込んだ物質の種類によって異なります。 誤嚥性肺炎と化学性肺炎は、どちらも肺を刺激する物質を吸入して起こる肺の炎症であるため、しばしば... さらに読む (食物や唾液を肺に吸い込むことによる)も引き起こすことから、気管食道瘻は危険です。食物や液体が肺に入ると、血液の酸素の受け取りが阻害され、皮膚が青みがかった色になることがあります(チアノーゼ チアノーゼ チアノーゼは、血液中の酸素の不足が原因で、皮膚が青っぽく変色することです。 酸素が枯渇した血液(脱酸素化血液)は、赤色というより青みがかっており、これが皮膚を循環している場合にチアノーゼがみられます。肺または心臓の重い病気の多くは、血液中の酸素レベルを低下させるため、チアノーゼの原因となります。また、血管や心臓にある種の奇形があると、血液が空気中から酸素を取り込む場所である肺胞(肺にある小さな空気の袋)を通らず、直接心臓に流れるために、... さらに読む )。

診断

  • 出生前:出生前超音波検査

  • 出生後:食道へのチューブの挿入およびX線検査

出生後にこれらの異常を疑った場合、医師は患児の食道にチューブを挿入することを試みます。チューブが途中までしか入らない場合には、診断を確定して、問題の部位を特定するために、X線検査を行います。

治療

  • 手術

異常を修復するための手術を行う前に、誤嚥性肺炎などの合併症を予防するために準備を整える必要があります。まず、口からの栄養摂取を中止した上で、唾液が肺に到達する前に絶えず吸い出すためのチューブを食道の上部に留置します。以降、栄養は静脈から与えます(静脈栄養)。

食道と胃の正常な接続を確立するとともに、食道と気管の連結部をふさぐための手術を、出生後すぐに行う必要があります。

手術の後に発生する合併症もあります。食道と胃の接続を修復した部位での漏れや瘢痕組織が最もよくある問題です。多くの患児が困難を感じます。授乳困難がある患児の約半数では 胃食道逆流 小児の胃食道逆流 胃食道逆流とは、食べものと胃酸が胃から食道に、ときには口の中にまで戻ってくることです。 逆流の原因として考えられるのは、授乳中の乳児の姿勢、授乳量が多すぎた場合、カフェイン、ニコチン、タバコの煙にさらされた場合、食物不耐症や食物アレルギー、消化管の異常などがあります。 乳児では、嘔吐、過度の吐き出し、摂食障害や呼吸障害がみられたり、不機嫌なように見えることもあります。 この病気の診断に際して行われる検査には、バリウム検査、食道pHモニタ... さらに読む (食べたものと胃酸が胃から食道に逆流する現象)が発生するため、食道閉鎖のある新生児には胃酸を抑える薬が処方されることがあります。その薬で逆流を抑えられない場合は、噴門形成術と呼ばれる手術が行われます。噴門形成術では、胃の上部を胃に接する食道下部の周りに巻きつけて胃と食道の結合部を狭くすることで、逆流を減らします。

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