18トリソミー

(エドワーズ症候群;Eトリソミー)

執筆者:Nina N. Powell-Hamilton, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University
レビュー/改訂 2021年 12月
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18トリソミーは、余分な18番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種で、知的障害と様々な身体的異常がみられます。

  • 18トリソミーは、18番染色体が余分にあることで発生します。

  • この症候群の乳児は、典型的には体格が小さく、多くの身体的異常と内臓の機能障害がみられます。

  • 診断を確定するための検査は、出生前でも出生後にも行えます。

  • 18トリソミーには治療法がありません。

染色体異常症の概要も参照のこと。)

染色体は、細胞の中にあってDNAや多くの遺伝子が格納されている構造体です。遺伝子とは、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパク質の設計情報が記録された領域で、物質としてはDNA(デオキシリボ核酸)で構成されています(遺伝学についての考察は see page 遺伝子と染色体)。遺伝子には、体がどのような外観や機能をするかを定めた詳細な指示が記録されています。

ある染色体が1本余分に存在し、(正常の2本ではなく)計3本になった状態をトリソミーといいます( see also page 染色体異常症と遺伝子疾患の概要)。18トリソミーの小児は、3本目の18番染色体をもっています。18トリソミーは、米国では出生児6000人当たりおよそ1人の割合で発生しています。しかし、この病気をもつ胎児の多くは自然流産になります。余分な染色体は、ほぼ常に母親から受け継がれます。35歳以上の女性では、18トリソミーの子どもができるリスクが高くなります。18トリソミーは男児より女児に多くみられます。

18トリソミーの症状

この症候群の胎児は、子宮内での動きがあまり活発でないのが一般的で、羊水が過剰で胎盤が小さいことが多いです。

身体的異常

出生時には、しばしば体格が小さく、これは筋肉や体脂肪の発達が良好でないからです。典型的には、ぐったりとしていて、弱々しい声で泣きます。口とあごが小さいことがあり、そのため、やつれたような表情に見えることがあります。そのほかの目に見える異常として、小さな頭、低い位置に付いた異常な形の耳、狭い骨盤、短い胸骨などがよくみられます。出生時から身体的な異常が明らかである場合もあります。一方で、新生児の時点では異常があまり重度ではない場合もあります。

手は拳を握る形になっていて、しばしば人差し指が中指と薬指の上にあります。指の爪は十分に発達していません。皮膚のひだが、特に首の後ろ側に、よくみられます。足の親指が短く、しばしば上に曲がっています。内反足と揺り椅子状足底という異常がよくみられます。

18トリソミーでみられる身体的異常
18トリソミーでみられる耳介低位と手の握り
18トリソミーでみられる耳介低位と手の握り

Image courtesy of the Centers for Disease Control and Prevention Public Health Image Library.

18トリソミーでみられる揺り椅子状足底
18トリソミーでみられる揺り椅子状足底

Image courtesy of the Centers for Disease Control and Prevention Public Health Image Library.

18トリソミーでみられる手の握り
18トリソミーでみられる手の握り

Image courtesy of the Centers for Disease Control and Prevention Public Health Image Library.

よくみられる内反足

体内の異常

内臓にも異常があります。心臓、肺、消化管、腎臓には、重度の異常がみられることがあります。男児では、停留精巣がみられることがあります。腹壁にヘルニアや筋肉の離開がみられることもあります。

18トリソミーの診断

  • 出生前:胎児の超音波検査または母親の血液検査

  • 絨毛採取、羊水穿刺、またはその両方

  • 出生後:乳児の外見と乳児の血液検査

次世代シークエンシング技術も参照のこと。)

出生前の段階では、胎児の超音波検査で認められた異常から、18トリソミーが疑われることがあります。母親の血液中に含まれる胎児のDNAを検出する検査を行うこともでき、そのDNAを分析して、18トリソミーのリスクが高いかどうかを判断することもできます。この検査は非侵襲的出生前スクリーニング(NIPS)やセルフリー胎児DNA分析と呼ばれています。これらの検査の結果から18トリソミーが疑われたら、多くの場合、絨毛採取羊水穿刺、またはその両方を行って診断を確定します( see page 染色体異常と遺伝子異常の検査)。

出生後には、乳児の身体的な外見から18トリソミーの診断が示唆されることがあります。18トリソミーの診断を確定するには、典型的には血液検査を行って乳児の染色体を分析します。

18トリソミーの予後(経過の見通し)と治療

  • 家族に対する支援

18トリソミーに対する特別な治療法はありません。約半数の患児が生後1週間以内に死亡し、1歳になるまで生存できる患児はわずか5~10%です。しかし最近では、18トリソミーの人の生存期間が延びていて、18トリソミーをもって成人になった人もいます。このような生存児では、特定の腫瘍(肝臓の肝芽腫や腎臓のウィルムス腫瘍など)の発生リスクが高くなります。それらの腫瘍や合併症の発見に役立てるために、医師は定期的に血液検査と画像検査(腹部と腎臓の超音波検査など)を受けるよう勧めることがあります。

その後も生存する患児には、重度の発達の遅れと重度の障害がみられます。家族が支援を求めることが推奨されます。

さらなる情報

役立つ可能性がある英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  1. 18トリソミー財団(Trisomy 18 Foundation):擁護、教育、支援、一般人の意識向上のためのプログラムやサービスを掲載

  2. 18、13トリソミーと関連疾患を対象とする支援組織(Support Organization for Trisomy 18, 13, and Related Disorders [SOFT]):18トリソミー、13トリソミー、または他の関連する染色体異常症をもつ人のケアを担っている人々に対して、各種の資源、研究情報、地域サービス、および支援サービスを提供している組織

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