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胎便栓症候群

(細左結腸症候群)

執筆者:

William J. Cochran

, MD, Geisinger Clinic

レビュー/改訂 2021年 8月
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胎便栓症候群は、粘り気の強い腸の内容物(胎便)によって大腸が閉塞した状態です。

  • 胎便栓症候群は、ヒルシュスプルング病または嚢胞性線維症が原因で生じる場合があります。

  • 典型的には、新生児に哺乳困難や嘔吐がみられ、腹部が大きくなり、出生後1~2日以内に排便の排泄がみられません。

  • 診断は症状とX線検査の結果に基づいて下されます。

  • 閉塞は浣腸に加えて、ときに手術によって治療します。

胎便とは、新生児で最初にみられる便のことで、濃い緑色をしています。出生時または出生直後に胎便の排泄がみられます。異常に胎便の粘り気が強かったり、タール状であったりすると、大腸(結腸)がふさがれることがあります。胎便栓症候群では、粘り気の強い胎便で結腸が完全に閉塞します。閉塞した部分より上では小腸が大きくなり(拡張)、腹部の膨らみ(膨隆)がみられます。

胎便栓症候群は通常、その他の点では健康な乳児に発生しますが、 早産児 早産児 早産児とは、在胎37週未満で生まれた新生児のことです。生まれた時期によっては、早産児の臓器は発達が不十分で、子宮外で機能する準備がまだできていないことがあります。 早産の既往、多胎妊娠、妊娠中の栄養不良、出生前ケアの遅れ、感染症、生殖補助医療(体外受精など)、高血圧などがある場合、早産のリスクが高くなります。 多くの臓器の発達が不十分であるため、早産児では呼吸したり哺乳したりすることが難しく、脳内出血、感染症や他の異常が起こりやすくなり... さらに読む 、糖尿病の母親から生まれた乳児、また 妊娠高血圧腎症 妊娠高血圧腎症および子癇 妊娠高血圧腎症は、妊娠20週以降に新たに発症する高血圧または既存の高血圧の悪化で、過剰な尿タンパク質を伴うものです。子癇(しかん)は妊娠高血圧腎症の女性に起こるけいれん発作で、ほかに原因がないものをいいます。 妊娠高血圧腎症によって胎盤剥離や早産が起こりやすくなり、出生直後の新生児に問題が生じるリスクが高まります。 妊婦の手、手指、首、足がむくむことがあり、重度の妊娠高血圧腎症を治療しないと、けいれん発作(子癇)や臓器損傷が起こることが... さらに読む 子癇(しかん) 妊娠高血圧腎症および子癇 妊娠高血圧腎症は、妊娠20週以降に新たに発症する高血圧または既存の高血圧の悪化で、過剰な尿タンパク質を伴うものです。子癇(しかん)は妊娠高血圧腎症の女性に起こるけいれん発作で、ほかに原因がないものをいいます。 妊娠高血圧腎症によって胎盤剥離や早産が起こりやすくなり、出生直後の新生児に問題が生じるリスクが高まります。 妊婦の手、手指、首、足がむくむことがあり、重度の妊娠高血圧腎症を治療しないと、けいれん発作(子癇)や臓器損傷が起こることが... さらに読む 、あるいは 切迫早産 切迫早産 妊娠37週以前に起こる陣痛は切迫早産とみなされます。 早産児として生まれた新生児には、深刻な健康上の問題が生じる可能性があります。 切迫早産の診断は通常明らかです。 安静にしたり、ときには薬剤を用いて、分娩を遅らせます。 抗菌薬やコルチコステロイドも必要な場合があります。 さらに読む の治療のために硫酸マグネシウムの投与を受けた母親から生まれた乳児により多くみられます。

胎便栓症候群は ヒルシュスプルング病 ヒルシュスプルング病 ヒルシュスプルング病は、腸管のリズミカルな収縮をコントロールしている神経のネットワークが大腸の一部分で失われている 先天異常です。その結果、 腸閉塞の症状が起こります。 この異常は大腸に起こり、腸管が正常に収縮しません。 典型的な症状としては、新生児では胎便の排泄が遅い、乳児では嘔吐、食べるのを嫌がる、腹部の膨隆などがあります。 直腸生検と直腸内圧の測定に基づいて診断します。... さらに読む 嚢胞性線維症 嚢胞性線維症(CF) 嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)は、特定の分泌腺が異常に粘り気の強い分泌物を生産し、それによって組織や器官、特に肺や消化管が損傷を受ける遺伝性疾患です。 嚢胞性線維症は、遺伝子変異を親から引き継ぐことで発生し、粘り気の強い濃厚な分泌物が肺やその他の臓器の働きを妨げます。... さらに読む など、ほかの病気の徴候である場合があります。 胎便性イレウス 胎便性イレウス 胎便性イレウスは、過度に粘り気の強い腸の内容物(胎便)によって生じる新生児における小腸の閉塞であり、通常は嚢胞性線維症に起因します。 胎便性イレウスは通常、嚢胞性線維症に起因します。 典型的に新生児に嘔吐がみられ、腹部が大きくなり、生後数日間のうちに排便がありません。 診断は症状とX線検査の結果に基づいて下されます。 閉塞は浣腸または手術によって治療します。 さらに読む は、胎便によって閉塞するのが小腸である点を除いて、胎便栓症候群と似ています。

胎便栓症候群の症状

新生児は出生後、通常12~24時間以内に胎便を排泄します。しかし、胎便性イレウスの新生児では、生後1~2日目までに胎便の排泄がみられず、嘔吐や腹部の膨らみといった腸閉塞の症状がみられます。医師が触診すると、腹壁ごしに拡張した小腸を感じられることがあります。

胎便栓症候群の診断

  • 腹部単純X線検査

  • 造影剤の注腸

  • ときにヒルシュスプルング病の検査

新生児に閉塞の症状がみられ、出生後1~2日以内に胎便を排泄しない場合に、胎便栓症候群が疑われます。腹部の単純X線検査で腸閉塞が示されることがあります。診断を確定するには、 造影剤 造影剤を用いるX線検査 X線は高エネルギーの放射線で、程度の差こそあれ、ほとんどの物質を通過します。医療では、極めて低線量のX線を用いて画像を撮影し、病気の診断に役立てる一方、高線量のX線を用いてがんを治療します(放射線療法)。 X線は単純X線検査のように単独で使用することもありますが、 CT検査などの他の手法と組み合わせて使用することもあります。( 画像検査の概要と バックグラウンド放射線も参照のこと。)... さらに読む (X線画像に写る液状の物質)を腸に注入してからX線検査を行います。造影剤によって結腸の輪郭が描出され、胎便の栓が観察できます。

胎便栓症候群の治療

  • 造影剤の注腸

  • まれに手術

胎便栓症候群の診断と治療には、造影剤を腸に注入する処置(注腸)が役立ちます。造影剤を腸に注入すると、結腸に液体が送り込まれて胎便の分解が促され、乳児が胎便を排泄できるようになります。

注腸で胎便の栓が除去されない場合は、手術で取り除く場合もあります。

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