反抗挑発症

執筆者:Josephine Elia, MD, Sidney Kimmel Medical College of Thomas Jefferson University
レビュー/改訂 2021年 4月
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やさしくわかる病気事典

反抗挑発症(反抗挑戦性障害とも呼ばれます)は、否定的、反抗的、不服従の行動を繰り返し起こす病気で、多くの場合、権威のある人物が対象になります。

反抗挑発症のある小児は、頑固で気難しく、人の言うことを聞かず、怒りっぽくなりますが、身体的攻撃性や実際に他者の権利を侵すことはありません。反抗挑発症は軽度の素行症とみなされる場合もありますが、これら2つの病気には明確な相違点があります。反抗挑発症とは異なり、素行症の小児は良心に欠けているようにみえ、他者の権利を繰り返し侵害し、怒りっぽいという徴候がときにみられないことがあります。

就学前や青年期初期の小児の多くは、ときおり反抗的な行動をとるものですが、反抗挑発症と診断されるのは、反抗的な行動が6カ月以上続いていて、対人関係や学業成績に深刻な影響を及ぼしている場合だけです。

反抗挑発症が起こる原因は解明されていません。成人が大声で口論する家庭の小児によくみられるとされています。反抗挑発症は、今後の研究と治療が必要な根本的な問題を示しています。

反抗挑発症の症状

反抗挑発症の症状は多くの場合、就学前から中学生までの時期に現れます。

反抗挑発症の小児に典型的にみられる行動としては、以下のものがあります。

  • 成人と口論する

  • すぐにカッとなることが多い

  • 積極的に規則や指示に逆らう

  • わざと人を困らせる

  • 自分のミスを人のせいにする

  • 頭に血が上り、怒りっぽく、すぐイライラする

  • 悪意に満ち、意地が悪い

反抗挑発症の小児は善悪をしっかり理解しており、非常に間違ったことをしたときには罪悪感を抱きます。反抗挑発症の患者の多くは社会的な技能を欠いています。

反抗挑発症の診断

  • 症状と行動

反抗挑発症の診断は症状と行動に基づいて下されますが、症状と行動が6カ月以上続いていて、小児の日常生活に深刻な影響を与えている必要があります。

反抗挑発症が疑われる場合は、睡眠障害や食欲障害、不安などのうつ病の徴候が認められないか、すべての小児で慎重に評価します。小児の場合、うつ病不安症により反抗挑発症と同じ症状がみられることがあります。例えば、うつ病の主な症状が怒りっぽさである場合や、極度の不安から不安症の小児が言いつけに従わなかったり反抗的に振る舞ったりするといった症状がみられることがあります。しばしば、反抗挑発症によるその他の症状に基づいて、反抗挑発症と他の病気を区別する必要があります。

無治療の注意欠如・多動症(ADHD)でも、類似の症状が現れることがあるため、反抗挑発症との区別が必要です。ADHDを十分に治療すれば、通常これらの症状は軽くなります。

反抗挑発症の治療

  • 行動管理法

  • ときに集団療法

症状の一因になる問題(機能不全の家族やADHDなど)は、可能であれば治療すべきです。

反抗挑発症には、一貫したしつけや好ましい行動に対する適切な強化(ご褒美による)などを行う行動管理法による治療が最も効果的です。親や教師は児童カウンセラーや精神療法士からこの行動管理法の指導を受けることができます。

社会的技能の向上の助けになる集団療法が有益なことがあります。

うつ病や不安症を治療する薬剤が役立つこともあります。

治療を受けなくても、ほとんどの小児は時間とともに改善に向かいます。

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