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授乳と食事に関する問題

執筆者:

Christopher P. Raab

, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

レビュー/改訂 2021年 8月
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やさしくわかる病気事典

授乳や食事に関する一般的な問題としては、 胃食道逆流 小児の胃食道逆流 胃食道逆流とは、食べものと胃酸が胃から食道に、ときには口の中にまで戻ってくることです。 逆流の原因として考えられるのは、授乳中の乳児の姿勢、授乳量が多すぎた場合、カフェイン、ニコチン、タバコの煙にさらされた場合、食物不耐症や食物アレルギー、消化管の異常などがあります。 乳児では、嘔吐、過度の吐き出し、摂食障害や呼吸障害がみられたり、不機嫌なように見えることもあります。 この病気の診断に際して行われる検査には、バリウム検査、食道pHモニタ... さらに読む 胃腸炎 胃腸炎の概要 胃腸炎とは、胃と腸(小腸および大腸)の粘膜に炎症が起きた状態のことです。通常は微生物が感染することで起こりますが、毒性のある化学物質や薬の摂取が原因で起こることもあります。 胃腸炎の通常の原因は感染ですが、毒性物質や薬の摂取が原因となることもあります。 典型的には下痢、吐き気、嘔吐、腹痛がみられます。... さらに読む 胃腸炎の概要 過食 栄養過剰 授乳や食事に関する一般的な問題としては、 胃食道逆流、 胃腸炎、 過食、 少食、 脱水(水分の喪失)などが挙げられます。 治療しなくても治るものもあれば、医師の診察や入院を必要とするものもあります。 適切な栄養素を適切な方法で与えることで改善できる問題もあります。 乳幼児における授乳や食事に関する問題は、通常は軽微なものですが、ときとして深刻な結果を招く場合もあります。 溢乳(げっぷ)とは、飲み込んだ人工乳または母乳を口や鼻から自然に吐... さらに読む 少食 栄養不足 授乳や食事に関する一般的な問題としては、 胃食道逆流、 胃腸炎、 過食、 少食、 脱水(水分の喪失)などが挙げられます。 治療しなくても治るものもあれば、医師の診察や入院を必要とするものもあります。 適切な栄養素を適切な方法で与えることで改善できる問題もあります。 乳幼児における授乳や食事に関する問題は、通常は軽微なものですが、ときとして深刻な結果を招く場合もあります。 溢乳(げっぷ)とは、飲み込んだ人工乳または母乳を口や鼻から自然に吐... さらに読む 脱水 小児の脱水 脱水は体からの水分の喪失であり、通常は嘔吐または下痢が原因です。 脱水は、著しい量の 体内の水分と、様々な程度で 電解質が失われると生じます。 症状には、のどの渇き、活動性の低下、唇や口の中の乾燥、尿量の減少などがあります。 重度の脱水は生命を脅かすことがあります。 脱水の治療には水分と電解質を口から与え、重篤な場合には静脈内投与します。 さらに読む (水分の喪失)などが挙げられます。

  • 治療しなくても治るものもあれば、医師の診察や入院を必要とするものもあります。

  • 適切な栄養素を適切な方法で与えることで改善できる問題もあります。

乳幼児における授乳や食事に関する問題は、通常は軽微なものですが、ときとして深刻な結果を招く場合もあります。

溢乳(いつにゅう)

溢乳(げっぷ)とは、飲み込んだ人工乳または母乳を口や鼻から自然に吐き出してしまうことです。これは過剰でない限り正常なことです。乳児は、授乳中や授乳後、背をまっすぐにして座っていられないため、溢乳はほぼすべての乳児でみられます。また、食道と胃を隔てている弁(括約筋)が未発達で、胃の内容物をしっかり中に保っておくことができないことも原因の1つです。乳児の哺乳が速すぎたり、空気を飲み込んだ場合、溢乳が悪化します。普通は、生後7~12カ月の間になくなります。

溢乳は以下の方法により減らすことができます。

  • 乳児のおなかがすきすぎる前に授乳する

  • 授乳しているとき、4~5分おきにげっぷをさせる

  • 授乳中と授乳後は立て抱きにしておく

  • 哺乳びんを押したり、上下逆さにしたりするとほんの数滴だけが出るように調整しておく

嘔吐

乳児の嘔吐は、急性ウイルス性胃腸炎が原因であることがほとんどです。ウイルス性 胃腸炎 胃腸炎の概要 胃腸炎とは、胃と腸(小腸および大腸)の粘膜に炎症が起きた状態のことです。通常は微生物が感染することで起こりますが、毒性のある化学物質や薬の摂取が原因で起こることもあります。 胃腸炎の通常の原因は感染ですが、毒性物質や薬の摂取が原因となることもあります。 典型的には下痢、吐き気、嘔吐、腹痛がみられます。... さらに読む 胃腸炎の概要 は、吐き気、嘔吐、 下痢 小児の下痢 下痢は小児でとてもよくみられる病気です( 成人の下痢も参照)。下痢とは、小児の正常なパターンとは違う、軟便または水様便が頻繁に排泄される状態です。血液や粘液が下痢に混じっていることもあります。健康な小児では、年齢と食事内容によって排便回数や便の硬さが違うため、軽い下痢を起こしているのか、または正常なのかを判断するのが難しい場合があります。例えば、離乳食をまだ始めていない母乳栄養の乳児は、軟らかい便を頻繁に排泄しますが、これは正常です。こ... さらに読む 、けいれんを引き起こす消化管の感染症です。 耳の感染症 幼児における中耳の感染症の概要 中耳の感染症(中耳炎)は鼓膜のすぐ奥の空間(中耳)の感染症です。 中耳の感染症(中耳炎)は年長児や成人( 急性中耳炎を参照)にも起こりますが、生後3カ月から3歳の小児に極めてよくみられます。中耳の感染症は かぜ(感冒)とほぼ同程度によくある病気です。以下のようないくつかの理由から、幼児は特に中耳炎にかかりやすい状態にあります。 耳管の太さと長さが成人と異なる 一般的に感染症にかかりやすい... さらに読む 尿路感染症 小児の尿路感染症(UTI) 尿路感染症(UTI)とは、細菌による膀胱の感染症( 膀胱炎)、腎臓の感染症( 腎盂腎炎[じんうじんえん])、またはその両方がある状態です。 尿路感染症は細菌によって引き起こされます。 乳児や年齢の低い小児に尿路感染症がみられる場合は、ときに泌尿器系に構造的異常があるために発症しやすくなっていることがあります。 新生児と乳児では発熱以外の症状が出ないことがありますが、年長児では、排尿するときに痛みや灼熱感があったり、膀胱周辺が痛んだり、頻... さらに読む など体の他の部位での感染が原因で嘔吐が起こることもあります。

頻度は下がりますが、重篤な病気が原因である場合もあります。 まれに、生後2週間から4カ月の乳児が胃の出口(幽門)の閉塞(肥厚性幽門狭窄症 肥厚性幽門狭窄症 肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)は、胃と腸がつながっている部分の筋肉が過剰に厚くなる(肥厚)ことで胃の内容物の排出が妨げられる状態です。 肥厚した筋肉により部分的な閉塞が起こり、胃の内容物が小腸へ通過するのが妨げられます。 乳児は食欲旺盛ですが、食後すぐに激しく吐き出し(噴出性嘔吐)、脱水と低栄養に至る可能性があります。 診断は腹部超音波検査の結果に基づいて下されます。... さらに読む 肥厚性幽門狭窄症 )が原因で、噴き出すような(噴出性)嘔吐をすることがあります。 髄膜炎 小児の髄膜炎 細菌性髄膜炎とは、脳と脊髄を覆う膜( 髄膜)に起きる重篤な感染症です。 細菌性髄膜炎は、月齢の高い乳児と小児では、通常は呼吸器系に入った細菌によって引き起こされ、新生児では、しばしば血流の細菌感染症( 敗血症)の結果として引き起こされます。 年長児や青年では発熱を伴う項部硬直、頭痛、錯乱がみられ、新生児や幼若な乳児では通常、むずかる、食べなくなる、嘔吐するなどの症状が現れます。... さらに読む (脳と脊髄の周りの組織の感染症)、 腸閉塞 腸閉塞 腸閉塞とは、腸管内で食べもの、水分、消化分泌液、ガスの通過が完全に止められているか、深刻な通過障害が起きている状態のことです。 成人で最も一般的な原因は、以前に受けた腹部の手術による瘢痕(はんこん)組織、ヘルニア、腫瘍です。 痛み、腹部膨満、食欲不振がよくみられます。 診断は、身体診察とX線検査の結果に基づいて下されます。 閉塞を取り除くための手術がしばしば必要になります。 さらに読む 、代謝性疾患、頭蓋内圧の上昇(脳内への液体の貯留 水頭症 水頭症とは、脳内の正常な空間(脳室)や、脳を覆う組織の内側の層および中間の層の間(くも膜下腔)に液体が過剰にたまった状態です。過剰に貯まった液体によって、通常は頭囲の拡大と発達異常が生じます。 脳内の正常な空間(脳室)にある液体が排出されないと水頭症が起こります。 この液体の蓄積には、先天異常、脳内出血、脳腫瘍などの多くの原因があります。 典型的な症状としては、頭の異常な拡大や発達異常などがあります。... さらに読む 水頭症 脳内の腫瘤 脳腫瘍の概要 脳腫瘍は脳内で増殖する組織で、がんの場合(悪性)と、がんでない場合(良性)があります。脳内で発生するものと、体の別の部位から脳に転移してきたものとがあります。 症状としては、頭痛、人格の変化(抑うつ、不安、自制がきかなくなるなど)、脱力、異常感覚、平衡感覚の消失、集中力の低下、けいれん発作、協調運動障害などがみられます。 脳腫瘍は画像検査で発見できますが、しばしば確認のために腫瘍の生検が必要になります。... さらに読む による)、および 虫垂炎 虫垂炎 虫垂炎とは、虫垂に感染と炎症が起きた状態です。 しばしば虫垂の内部に閉塞が生じることで虫垂が炎症を起こし、感染症が生じます。 腹痛、吐き気、発熱がよくみられます。 試験開腹または画像検査(CT検査や超音波検査など)が行われます。 治療としては、虫垂を切除する手術と感染症に対する抗菌薬の投与が行われます。 さらに読む などの生命を脅かす病気が原因で嘔吐が起こることもあります。

胃腸炎による嘔吐は、ほとんどの場合、治療しなくても治まります。水分と電解質(ナトリウムや塩化物など)を含む市販の飲みものを与えると、 脱水 小児の脱水 脱水は体からの水分の喪失であり、通常は嘔吐または下痢が原因です。 脱水は、著しい量の 体内の水分と、様々な程度で 電解質が失われると生じます。 症状には、のどの渇き、活動性の低下、唇や口の中の乾燥、尿量の減少などがあります。 重度の脱水は生命を脅かすことがあります。 脱水の治療には水分と電解質を口から与え、重篤な場合には静脈内投与します。 さらに読む (水分の喪失)を予防または治療できます。頻回に嘔吐している小児には、大量の水分を少ない回数で与えるよりも少量の水分を何回も与える方がよいでしょう。比較的年長の小児には、アイスキャンデーやゼリーを与えてもよいですが、これらの食べものが赤い色をしていた場合、再び吐いたときに血のようにみえて紛らわしくなることがあります。

嘔吐がある小児に以下がみられる場合、医師の診察が必要です。

  • 重度の腹痛

  • 水分を摂取し保持できない

  • 高熱がある

  • 嗜眠状態であるか極めて具合が悪い、または普段と振る舞いがかなり異なる

  • 12時間以上嘔吐が続いている

  • 血液または緑色のもの(胆汁)を吐く

  • 8時間以上排尿しない

これらの症状は、脱水またはもっと重い病態を示唆します。

栄養過剰

栄養過剰とは、小児の健全な発育に必要とされる以上の栄養を与えることをいいます。小児が泣くとつい食べものを与えてしまったり、哺乳びんを気晴らしや遊びのような感覚で与えたり、哺乳びんをずっと持たせたままにしていたりすると、小児が栄養過剰になります。いい子にしていたときのご褒美に食べものを与えたり、おなかがすいていないのに残さず食べさせようとしたりするのも、栄養過剰の原因となります。栄養過剰は短期的に見ると、 溢乳 溢乳(いつにゅう) 授乳や食事に関する一般的な問題としては、 胃食道逆流、 胃腸炎、 過食、 少食、 脱水(水分の喪失)などが挙げられます。 治療しなくても治るものもあれば、医師の診察や入院を必要とするものもあります。 適切な栄養素を適切な方法で与えることで改善できる問題もあります。 乳幼児における授乳や食事に関する問題は、通常は軽微なものですが、ときとして深刻な結果を招く場合もあります。 溢乳(げっぷ)とは、飲み込んだ人工乳または母乳を口や鼻から自然に吐... さらに読む 下痢 小児の下痢 下痢は小児でとてもよくみられる病気です( 成人の下痢も参照)。下痢とは、小児の正常なパターンとは違う、軟便または水様便が頻繁に排泄される状態です。血液や粘液が下痢に混じっていることもあります。健康な小児では、年齢と食事内容によって排便回数や便の硬さが違うため、軽い下痢を起こしているのか、または正常なのかを判断するのが難しい場合があります。例えば、離乳食をまだ始めていない母乳栄養の乳児は、軟らかい便を頻繁に排泄しますが、これは正常です。こ... さらに読む の原因となります。 長期的に見ると、 肥満 青年における肥満 肥満の定義は、BMI(ボディマスインデックス)が各年齢と性別の95パーセンタイル以上であることとされています。 遺伝やある種の病気によっても肥満は起こりますが、青年の肥満のほとんどは、運動不足や活動レベルで必要とされるよりも多くのカロリーを摂取することが原因です。 肥満の診断は、BMIが各年齢および性別の95パーセンタイル以上であることに基づいて下されます。 肥満の治療では、栄養のある食事をとり、運動を増やすことが役に立ちますが、減量薬... さらに読む の原因になることがあります。

栄養不足

栄養不足とは、小児の健全な発育に必要とされるだけの栄養が与えられていないことをいいます。 これは数ある 発育不良 発育不良 発育不良とは、体重増加と体の成長の遅れのことをいい、発達や成熟の遅れにつながります。 病気や適切な栄養をとれないことが原因で発育不良が起こります。 小児の成長曲線、身体診察、健康歴、家庭環境に基づいて診断を下します。 生後1年間の栄養が不足すると、小児に発達の遅れが生じることがあります。 治療法としては、栄養のある食事や病気の治療などがあります。 さらに読む の原因のうちの1つであり、小児自身に問題がある場合もあれば、世話をする人に問題がある場合もあります。栄養不足は、小児がぐずったり注意散漫でじっと座って食べられない場合や、吸ったり飲み込んだりする能力に問題がある場合に起こります。不適切な 授乳方法 母乳哺育 新生児にとって母乳は理想的な栄養源です。乳児には母乳と人工乳のどちらを与えてもよいですが、世界保健機関(WHO)と米国小児科学会(AAP)は、およそ6カ月間は授乳のみとし、それから固形食を開始する方針を推奨しています。ほかにも、授乳を続けながら生後4カ月から6カ月の間に 固形食を開始する方針を推奨している組織もあります。現在では、生後4カ月から6カ月の間に固形食を開始することが一部の食物アレルギーの発症予防につながる可能性を示唆した科学... さらに読む 母乳哺育 や誤った人工乳の作り方も、栄養不足の原因になることがあります(人工乳による授乳 人工乳による授乳 病院では、一般に新生児には出生後すぐに授乳を行い、その後は、欲しがったときに授乳するのが理想的です。生後最初の1週間は、1回の授乳で約15~60ミリリットル飲みますが、その後は徐々に量が増えて、2週目までには1回に約90~120ミリリットルを、1日に6~8回飲むようになります。新生児には、毎回一定量を飲みきるよう無理強いせず、おなかがすいて欲しがったときに好きなだけ与えるようにします。成長するにしたがって乳児が飲む量は増え、3~4カ月頃... さらに読む 人工乳による授乳 )。貧困や栄養のある食べものが手に入らない状況は、栄養不足の主な原因です。ときに、虐待傾向のある親や精神障害のある親が小児に食べものを意図的に与えない例もあります。乳児では授乳不足により脱水や 黄疸 新生児黄疸 黄疸とは、血流中のビリルビンの増加が原因で、皮膚や眼が黄色くなることです。ビリルビンは、古くなった赤血球や損傷した赤血球を再利用する正常なプロセスの中で、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに生成される、黄色い物質です。ビリルビンは血流によって肝臓に運ばれ、胆汁(肝臓で作られる消化液)の一部として肝臓から排泄されるように処理されます。肝臓でのビリルビンの処理において、ビリルビンは抱合と呼ばれる過程で別の化学物質に結合し... さらに読む 新生児黄疸 (皮膚が黄色くなる)が生じることがあります。

地域社会団体(女性、乳児、小児のためのプログラム[WICプログラム]など)は、人工乳の購入を補助したり、人工乳の正しい作り方と授乳の方法を教えたりしています。乳児が予測体重をかなり下回っていて食事管理を必要としている場合、医師は評価のために入院させます。親が 虐待やネグレクト(育児放棄) ネグレクトと虐待の種類 小児虐待には、小児に対して危害が及ぶか危害が及ぶ可能性がある、あるいは危害を示唆する脅しがある状況など、親、養育者、またはそれ以外の後見人(例、聖職者、コーチ、教師)による18歳未満の小児に対するあらゆる種類の虐待およびネグレクトが含まれます。小児に対するネグレクトとは、小児の身体的、情緒的な基本的ニーズを満たそうとしないことをいいます。... さらに読む ネグレクトと虐待の種類 をしている場合は、児童相談所などが介入します。

さらなる情報

役立つ可能性がある英語の資料を以下に示します。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

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