股部白癬の症状としては、かゆみを伴う発疹がみられ、痛みを伴うこともあります。
診断は鼠径部の診察の結果に基づいて下されます。
治療としては、抗真菌薬を患部に直接塗ったり、ときに内服したりします。
(皮膚真菌感染症の概要 皮膚真菌感染症の概要 真菌は通常、足の指の間、性器の周辺、乳房の下など、体の皮膚同士が触れ合っていて、湿度が高くなる部分(湿潤部位)に住み着きます。一般的な真菌による皮膚感染症(皮膚真菌感染症)は、酵母( カンジダ属や 癜風菌など)または 皮膚糸状菌(エピデルモフィトン属[Epidermophyton]、ミクロスポルム属[Microspor... さらに読む も参照のこと。)
股部白癬は 皮膚糸状菌症 皮膚糸状菌症(白癬、たむし)の概要 皮膚糸状菌症は、数種類の真菌によって引き起こされる皮膚および爪の真菌感染症で、感染部位によって分類されています。皮膚糸状菌による感染症は、たむしや白癬と呼ばれることもあります。 皮膚糸状菌症の症状は、発疹、鱗屑(りんせつ)、かゆみなどです。 診断では通常、患部を診察するとともに、皮膚または爪のサンプルを顕微鏡で観察するほか、ときに培養検査を行います。 抗真菌薬を患部に直接塗ったり、内服したりすることで、通常は治癒します。... さらに読む の一種です。股部白癬は主に白癬菌属(Trichophyton)の真菌によって引き起こされます。
この感染症は、女性より男性ではるかに多く発生しますが、これは陰嚢と大腿部の間に湿気がこもりやすいためです。股部白癬は暖かい気候や湿ったきつい衣類を着ていることで最もよく生じます。肥満の人では、皮膚がこすれ合う部分(間擦部位)に湿気がこもるため、リスクが生じます。
性器周辺の間擦部位(皮膚がこすれ合う部分)から発症し、太もも上部の内側にまで広がる可能性があり、両側に生じることもあります。通常、陰嚢には感染しないか、わずかに感染するのみです。発疹の境界部には、鱗屑(りんせつ)がみられ、ピンク色になっています。股部白癬はかなりかゆくなることがあり、痛みを伴うこともあります。しばしば再発しますが、とりわけ 爪真菌症 爪真菌症 爪真菌症とは、爪の真菌感染症のことです。 ( 爪の病気の概要も参照のこと。) 約10%の人が爪真菌症にかかっており、手指の爪よりも足の指の爪に多くみられます。高齢者(特に男性)、足の血行が悪い人(末梢動脈疾患[ フットケア])、糖尿病患者( 糖尿病でみられる足の問題)、免疫機能が低下している人(病気や薬剤による)、 みずむしや 爪異栄養症の人によくみられます。 爪真菌症はしばしば再発し、長期にわたる治療後に再発することもあります。... さらに読む や みずむし みずむし(足白癬) みずむし(足白癬)は、足の皮膚に生じる皮膚糸状菌(真菌)感染症です。 足白癬の症状としては、足に鱗屑(りんせつ)が蓄積し、ときに発赤とかゆみがみられます。 診断は足の診察の結果に基づいて下されます。 治療では、抗真菌薬を患部に直接塗ったり、場合によっては内服したりし、また足を乾燥した状態に保つ対策を取ります。 足の指の間 さらに読む (足白癬)のある人では、真菌がその感染部位から鼠径部に広がることがあるため、特に再発が多くみられます。再燃は夏季によく生じます。
股部白癬の診断
医師による鼠径部の診察
皮膚の擦過物の検査
股部白癬の診断は通常、身体診察の結果から明らかになります。
股部白癬の治療
抗真菌薬の外用薬、ときに内服薬
股部白癬の治療では抗真菌薬のクリームまたはローション(ミコナゾール、ナフチフィン[naftifine]、ケトコナゾール、クロトリマゾールなど)を使用します。(表「 皮膚に塗って使用する主な抗真菌薬(外用薬) 皮膚に塗って使用する主な抗真菌薬(外用薬) 」も参照のこと。)
感染範囲が広い場合、炎症が起きている場合、または治癒が難しい場合は、抗真菌薬の服用(イトラコナゾールやテルビナフィンなど)が必要になることもあります。