皮膚幼虫移行症はアンシロストーマ属(Ancylostoma)と呼ばれる 鉤虫 鉤虫感染症 鉤虫(こうちゅう)感染症は、腸に起こる線虫感染症の一種で、かゆみを伴う発疹、呼吸症状、および消化管症状を引き起こし、最終的に持続的な失血により鉄欠乏性貧血を生じさせます。 土の中にいる鉤虫の幼虫は、人間の皮膚を突き破って侵入することができるため、はだしで歩いているときに感染することがあります。 まず、幼虫が侵入した部分の皮膚にかゆみを伴う発疹が現れ、その後に発熱、せき、喘鳴(ぜんめい)、もしくは腹痛、食欲不振、下痢が起こります。... さらに読む の一種によって引き起こされます。鉤虫は寄生虫です。 寄生虫 寄生虫感染症の概要 寄生虫とは、他の生物(宿主[しゅくしゅ])の体表や体内にすみつき、宿主を利用して(例えば、栄養素を奪うことによって)生きている生物のことです。この定義は細菌、真菌、ウイルスなど多くの微生物に当てはまりますが、「寄生虫」という用語は以下のものを指して用いられます。 単一の細胞のみで構成される原虫(... さらに読む とは、他の生物(宿主[しゅくしゅ])の体表や体内にすみつき、生きるための栄養を宿主に依存している生物のことです。この種の鉤虫はふつう、一生のある期間は犬や猫の腸内に、ある期間は人間の皮膚内に寄生しています。鉤虫の卵はイヌやネコの糞中に排泄され、温かく湿った土や砂に放置されると幼虫にかえります。幼虫は成熟すると、幼虫が存在している土や砂の上で人が裸足で歩いたり日光浴をしたりする際に、皮膚を貫通できるようになります。
皮膚幼虫移行症は世界中でみられますが、熱帯環境で最もよくみられます。
鉤虫は通常、足、脚、殿部、背中などの侵入点から始まって皮膚の下をあちこち掘り進み、その通過したあとが、曲がった糸のような盛り上がった赤褐色の発疹として皮膚に現れます。この発疹は強いかゆみを伴います。小さな隆起や水疱がみられる場合もあります。しばしば、隆起や水疱をかくことで皮膚に細菌感染が生じます。
皮膚幼虫移行症の診断
医師による評価
皮膚幼虫移行症の診断は、発疹の外観および部位と、土や砂に最近触れたかどうかに基づいて下されます。
皮膚幼虫移行症の治療
チアベンダゾールの液剤またはクリーム剤かアルベンダゾールの軟膏
アルベンダゾールまたはイベルメクチン
この感染症は数週間から数カ月で自然に治りますが、治療を行うことで、かゆみが抑えられ、かくことで生じることがある細菌感染のリスクが低下します。この感染症の治療としては、チアベンダゾールの液剤またはクリーム剤かアルベンダゾールの軟膏を患部に塗るのが効果的です。
鉤虫を殺傷して感染症を治すために、ときにアルベンダゾールやイベルメクチンを経口投与することもあります。