硬化性苔癬

執筆者:Shinjita Das, MD, Harvard Medical School
レビュー/改訂 2021年 8月 | 修正済み 2022年 9月
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硬化性苔癬(こうかせいたいせん)は、かゆみを引き起こす傾向のある病気で、肛門や性器周辺の部分に瘢痕を生じることがあります。

原因は解明されていませんが、免疫系による自分の体の一部の組織への攻撃(自己免疫疾患と呼ばれます)が関わっていると考えられています。この病気は一般的に肛門や性器の周辺部位に生じますが、まれに体の他の部位にもみられます。

硬化性苔癬の症状

最初、肛門や性器周囲の皮膚に皮下出血が生じることが多く、水疱ができることもあります。かゆみがよくみられ、ひどい場合もあります。しばらくの後に皮膚が薄くなって正常な色を失い、ひび割れや鱗屑を生じることがあります。患者によっては、違う形で進行し、皮膚が厚くなることもあります。最終的に、あらゆるタイプの慢性の硬化性苔癬は瘢痕化し、患部の正常な構造がゆがみます。小児では、硬化性苔癬の外観が性的虐待の結果に似ることがあります。まれですが、長期にわたり硬化性苔癬に侵されている部位に有棘細胞がん(皮膚がんの一種)が生じることがあります。

硬化性苔癬
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上の写真には、女性性器の皮膚が薄くなった部分、皮膚の色素が増加した部分、皮膚の色素が減少した部分が写っています。下の写真には、陰茎の頭部(亀頭)の皮膚で色素が減少した部分や色素がなくなった部分が写っています。
Photos courtesy of Joe Miller (top) and Brian Hill (bottom) via the Public Health Image Library of the Centers for Disease Control and Prevention.

硬化性苔癬の診断

  • 医師による評価

  • ときに皮膚生検

硬化性苔癬の診断は、典型的には発疹の外観と発生部位に基づいて下されます。

有棘細胞がん(皮膚がん)ではないことを確認するために、ときに肥厚した皮膚組織の生検が行われます(組織サンプルの顕微鏡による検査)。

硬化性苔癬の治療

  • コルチコステロイドのクリームまたは軟膏

強いコルチコステロイドのクリームまたは軟膏を皮膚に塗ります。

この病気は典型的には根治不能で、瘢痕ができることから、患者は長期にわたり治療を受けるとともに、皮膚がんに対する定期的な診察を受けます。

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