脊椎・脊髄の外傷では,脊髄,脊椎,またはその両方に損傷が生じる。ときに脊髄神経も影響を受ける。脊柱の解剖については,別の章に記載されている。
脊髄損傷は以下の場合がある:
完全
不全
(外傷患者へのアプローチも参照のこと。)
病因
脊髄損傷
典型的な1年間で見たとき,米国における脊髄損傷の症例数は約12,000例であり,年間発生率は100万人当たり40例である。
脊髄損傷の最も一般的な原因は,以下のものである:
自動車事故(48%)
転倒・転落(16%)
残りの脊髄損傷は,暴行(12%),スポーツ(10%),および仕事上の事故が原因で生じている。約80%の患者が男性である。
高齢者では転倒が最も一般的な原因である。骨粗鬆症や関節の変性疾患があると,衝突速度が遅い状況での脊髄損傷のリスクが高まるが,これは変性した関節が異常な角度を形成したり,骨棘が脊髄に食い込んだり,骨が脆く重要な構造が容易に破損したりするためである。
鈍的で物理的な力が脊柱の椎骨,靱帯,もしくは椎間板に損傷を与え,脊髄組織に打撲,圧挫,もしくは断裂を引き起こす場合,または脊髄が穿通性損傷(例,銃撃やナイフによる創傷)を受けた場合に脊髄損傷が起こる。そのような損傷は,血管損傷も引き起こし,その結果虚血や血腫(典型的には硬膜外)を随伴し,さらなる損傷へとつながる可能性がある。全ての形態の損傷が脊髄浮腫の原因となる可能性があり,さらに血流や酸素化の低下を招く。損傷を受けた細胞からの過剰な神経伝達物質の放出,サイトカイン放出に伴う炎症性免疫反応,フリーラジカルの蓄積,およびアポトーシスを介して損傷が起こることがある。
脊椎損傷
脊椎損傷には以下の種類がある:
骨折:椎体,椎弓板,および椎弓根の他に,棘突起,関節突起,および横突起に生じる場合がある
脱臼:典型的には椎間関節面で生じる
亜脱臼:骨損傷のない靱帯断裂を伴うことがある
頸部では,後方要素の骨折や脱臼によって椎骨動脈が損傷することがあり,脳幹の卒中に類似する症候群が引き起こされる可能性がある。
椎骨の不安定損傷では,骨と靱帯の完全性が失われて自由に動くようになり,脊髄やその血管供給が圧迫を受ける可能性があり,結果として著しい疼痛が生じ,神経機能が低下することもある。脊椎のそのような動きは,患者の体位を変えるとき(例,救急搬送中,初期評価の最中)にも起こりうる。脊椎の安定型骨折では,そのような動きに抵抗できる。
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具体的な損傷は,一般的には受傷機転によって異なる。屈曲損傷は,椎体の楔状骨折や棘突起骨折を引き起こす可能性がある。より大きい屈曲の力によって両側性の椎間関節面脱臼が生じることがあるほか,C1またはC2のレベルで力が発生すると,歯突起骨折,環椎後頭関節もしくは環軸関節の亜脱臼,または骨折と亜脱臼の両方が生じることがある。回転損傷は,一側性の椎間関節面脱臼の原因となりうる。伸展損傷は,後部の神経弓の骨折を引き起こすことが最も多い。圧迫損傷は,椎体の破裂骨折の原因となりうる。
馬尾損傷
脊髄下端(脊髄円錐)は,通常L1のレベルに位置する。このレベルより下の脊髄神経は馬尾を構成している。そのため,このレベルより下で起きた脊椎損傷でみられる所見は,この部位の脊髄の障害,特に脊髄円錐症候群(脊髄症候群の表を参照)の所見と類似する可能性がある。
症状と徴候
脊髄損傷の主な徴候は損傷レベルに応じて異なり,損傷より上位の神経機能は損なわれず,損傷より下位の機能が欠損するか著しく低下する。標準的な0~5点の尺度を用いて筋力を評価する。具体的な臨床像は,正確なレベル(部位別の脊髄損傷の影響の表を参照)と脊髄損傷が完全損傷か不全損傷かによって異なる。脊髄損傷の急性期には持続勃起症が生じることがある。
運動および感覚機能に加えて,上位運動ニューロン徴候が脊髄損傷における重要な所見である。上位運動ニューロン徴候としては,深部腱反射および筋緊張の亢進,伸展性足底反応(母趾の挙上),クローヌス(足を急速に上方へ屈曲させたときに足首に現れる場合が最も多い),Hoffman徴候(中指の爪を弾くと母指の末節が屈曲すれば陽性)などがある。
脊椎損傷は,他の骨折および脱臼と同様,疼痛を伴うのが典型的であるが,他の疼痛を伴う損傷(例,長管骨の骨折)に気をとられている患者,または麻酔や頭部損傷のために意識レベルが変化した患者では,疼痛を訴えないことがある。
完全脊髄損傷
完全脊髄損傷は以下をもたらす:
直ちに生じる完全な弛緩性麻痺(肛門括約筋の緊張消失を含む)
全ての感覚および反射の消失
損傷レベル以下の自律神経機能障害
高位頸椎損傷(C5およびそれより上)は,呼吸を制御する筋肉に影響し,呼吸機能不全を引き起こす;人工呼吸器に依存する場合もあり,特にC3およびそれより上の損傷のある患者ではその可能性が高い。頸髄損傷による自律神経機能障害の結果,徐脈および低血圧が生じる可能性がある;この病態を神経原性ショックという。他の形態のショックとは異なり,皮膚は温かく乾燥したままである。不整脈および血圧の不安定性が発生することがある。高位の頸髄損傷患者では肺炎が死亡原因として頻度が高く,特に人工呼吸に依存している場合に高い。
下行性抑制の喪失を原因とする深部腱反射の亢進により,弛緩性麻痺は数時間から数日かけて次第に痙性麻痺へと移行する。その後,腰仙髄に損傷がなければ,屈筋の攣縮が現れ,自律神経反射が回復する。
不全脊髄損傷
不全脊髄損傷では,運動および感覚機能が喪失するほか,深部腱反射が亢進することがある。運動および感覚の消失は,病因に応じて永続的な場合と一時的な場合とがあり,震盪により機能が短時間消失することもあれば,挫傷や裂傷によりさらに長期間消失することもある。しかし,ときに脊髄が急速に腫脹して完全脊髄損傷に類似した完全な神経機能障害が生じる;この病態を脊髄ショックという(神経原性ショックと混同しない)。症状は1日から数日かけて消失するが,しばしば後遺障害が残る。
臨床像は脊髄の損傷部位に依存し,互いに異なるいくつかの症候群が認識されている(脊髄症候群の表を参照)。
ブラウン-セカール症候群が脊髄の片側切断によって生じる。損傷部位より下で同側の痙性麻痺および位置覚の消失,ならびに対側の温痛覚の消失を来す。
前部脊髄または前脊髄動脈への直接的な損傷により,前脊髄症候群が生じる。損傷部位より下の両側で運動および痛覚が消失する。後部脊髄の機能(振動覚,固有感覚)は損なわれない。
頸椎脊柱管の狭小化(先天性または退行性)がある患者には通常,過伸展損傷後に中心性脊髄損傷が発生する。下肢と比べて上肢の運動機能がはるかに大きく障害される。後柱が損傷を受けた場合は,姿勢感覚,振動覚,および軽い触覚が消失する。脊髄視床路が損傷を受けた場合は,痛覚,温度覚,およびしばしば軽い触覚または深部覚が消失する。通常,外傷による脊髄出血は頸髄の中心の灰白質に限局し,結果として,下位運動ニューロン損傷の徴候(筋力低下,筋萎縮,線維束性収縮,および上肢の腱反射低下)が現れ,これは通常永続的である。筋力低下がしばしば近位に起こり,痛覚と温度覚の選択的障害を伴う。
馬尾病変
通常は部分的な,運動もしくは感覚,またはその両方の消失が下肢遠位部で起こる。感覚症状は一般に両側性であるが,通常は非対称で,いずれか片側に強く出る。感覚は通常,会陰部において低下する(サドル型感覚脱失)。腸管および膀胱の機能障害,すなわち失禁または貯留が起こる可能性がある。男性の場合は勃起障害,女性の場合は性的反応の低下が生じることがある。肛門括約筋の緊張が弛緩し,異常な球海綿体反射および肛門括約筋反射を示す。これらの所見は,脊髄円錐症候群の所見と類似する。
脊髄損傷の合併症
診断
高リスク患者では症状がなくても損傷を考慮
CT
外傷によって生じる脊椎損傷は,必ずしも明白ではない。以下の所見がみられる患者では,脊椎および脊髄の損傷を考慮しなければならない:
頭部にかかる損傷
骨盤骨折
脊椎領域の穿通性損傷
自動車事故で生じた損傷
重度の鈍的損傷
高所からの転落または水中への飛び込みによる損傷
高齢者では,軽微な転倒後にも脊柱の損傷を考慮しなければならない。
感覚の異常,限局性の脊椎の圧痛,注意をそらすような痛みのある損傷,または神経脱落症状が一貫して説明できる患者においても,脊椎損傷または脊髄損傷を考慮すべきである。
脊椎損傷および脊髄損傷の診断では,画像検査とともに反射,運動,感覚などの神経機能の評価を行う。
損傷の臨床像は,American Spinal Injury Association(ASIA)機能障害スケールまたは類似の方法を用いて特徴づけることができる(脊髄損傷の機能障害尺度の表を参照)。
神経機能の評価
全ての四肢で運動機能を検査する。感覚機能の検索としては,軽い触覚(後柱の機能)およびピン痛覚(pinprick)(前脊髄視床路)の両方と位置覚の検査を行うべきである。遠位から近位へ検査し,背側で胸神経の根本を検査することで,いわゆるcervical cape状の神経分布に惑わされることなく,感覚レベルを最も正確に確認できる。持続勃起症は脊髄損傷を示唆する。直腸の緊張が低下することがあり,深部腱反射が過剰となるか,または消失することがある。
画像検査
従来,損傷の可能性がある全ての部位に単純X線撮影が行われてきた。X線上で異常にみえる部位および臨床所見から損傷リスクのある部位のCTを施行する。しかし,CTは診断精度がより高く,多くの外傷センターでは迅速に撮影できるため,脊椎・脊髄外傷の最初の画像検査として用いられることが増加している。
MRIが脊髄損傷の種類および部位の同定に役立つ;脊髄および他の軟部組織の最も精度の高い画像検査であるが,直ちに使用できない場合がある。
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骨折線が頸椎の横突孔を横断している場合は,椎骨動脈解離を除外するために通常は血管系の評価(一般的にはCT血管造影)が適応となる。
予後
脊髄中で離断または変性した神経は通常回復せず,しばしば機能障害が永続的となる。圧迫された神経組織は,機能を回復できる。受傷後1週間以内に運動または感覚が部分的に戻れば,順調な回復が予想される。6カ月経過後も残存する機能障害は永続的となる可能性が高いが,損傷から最長1年間はAmerican Spinal Injury Association(ASIA)gradeが1段階改善する可能性がある。いくつかの研究により,完全脊髄損傷の患者で脊髄刺激により一部の機能が回復したことが実証されている。
治療
固定
酸素化および脊髄灌流の維持
支持療法
適切であれば外科的固定
長期の対症療法およびリハビリテーション
緊急治療
急性頸椎および脊髄損傷の管理に関するガイドラインが,American Association of Neurological SurgeonsおよびCongress of Neurological Surgeonsから発行されている(1)。
重要な目標は脊椎または脊髄への二次損傷の予防である。
不安定型損傷では,脊椎の屈曲または伸展により,脊髄の挫傷や離断が生じる可能性がある。したがって,受傷者を動かす際の取り扱いが不適切であると,脊椎損傷により対麻痺,四肢麻痺,または死亡までもが引き起こされる可能性がある。
脊椎損傷がある可能性のある患者は,直ちに脊椎を固定すべきである;気管挿管中は頸部を用手的にまっすぐに保つ(正中固定)。できるだけ早く,硬くて平らなパッド付きバックボードまたは同様の表面上で脊椎を完全に固定して,過剰な圧力をかけずに脊椎の位置を安定化させる。頸椎を固定するために,硬性のカラーを用いるべきである。胸椎または腰椎損傷の患者は腹臥位または仰臥位で運んでよい。呼吸困難を誘発する可能性のある頸髄損傷患者は,気道を確保し胸部を圧迫しないように注意しながら,仰臥位にして運ぶべきである。外傷センターへの搬送が望ましい。
治療は低酸素症および低血圧(いずれも損傷した脊髄にさらなるストレスを与えうる)の回避に対して行うべきである。脊髄の血流を改善し,回復に悪影響を及ぼす可能性のある低血圧エピソードを減らすため,血圧をやや高めに維持し,平均動脈圧(MAP)≥85mmHgとすることを多くの専門家が支持している(1, 2, 3)。C5より上位の頸椎損傷では,通常は挿管および呼吸補助が必要である。
鈍的損傷の予後改善を目指して,脊髄損傷後8時間以内の高用量コルチコステロイドの投与が長らく行われてきたが,成人を対象とした複数の臨床試験において,臨床的な便益が一切実証されなかった上に,創傷感染,肺塞栓症,敗血症,および死亡のリスクが高まることが示されている(1)。このため,コルチコステロイドの使用は減少してきており,American Association of Neurologic Surgeons/Congress of Neurologic Surgeonsでは推奨されていないが,この問題については依然として多少の議論がある。
腫脹と局所的な疼痛が消失するまで安静,鎮痛薬,および筋弛緩薬により損傷を治療し,手術を併用する場合も併用しない場合もある。必要に応じて,追加で外傷患者に対する一般的な治療を行う。
不安定型損傷は,骨および軟部組織が治癒し正しいアライメントになるまで固定する;固定術および内固定術もときに必要となる。不全脊髄損傷の患者は,減圧後に神経学的に著しく改善する可能性がある。一方,完全損傷では,損傷レベルより下位の神経機能が実用的なレベルまで回復する可能性は低い。したがって,手術は早期の運動を可能にするための脊椎の安定化を目的とする。
早期の手術によって,より早期の運動とリハビリテーションが可能となる。最近の研究は,不全脊髄損傷に対する減圧術の最適なタイミングは損傷から24時間以内であることを示唆している。完全損傷では,ときに最初の数日で手術が行われるが,このタイミングが転帰に影響を及ぼすかどうかは明らかではない。
看護ケアには尿路および肺感染症と褥瘡の予防が含まれ,例えば,動けない患者には2時間毎に体位変換(必要であればStryker frameの上で)を行う。深部静脈血栓症の予防が必要である。抗凝固療法が禁忌で,動けない患者には,下大静脈フィルター留置術を考慮してもよい。
脊髄損傷後の長期ケア
一部の患者では薬剤で効果的に痙縮をコントロールすることができる。一般的には,バクロフェン5mg,1日3回経口(24時間に最高80mg)とチザニジン4mg,1日3回経口(24時間に最高36mg)が脊髄損傷後に発生した痙縮に対して用いられる。経口薬で効果がみられない患者では,バクロフェンの髄腔内投与を50~100μg,1日1回で考慮してもよい。
可能な限り完全な回復を助けるためにリハビリテーションが必要となる。リハビリテーションは,チームアプローチで提供されるのが最善であり,理学療法,技術訓練活動,および社会的,情緒的ニーズにこたえるためのカウンセリングを組み合わせる。チームは,リハビリテーションの訓練を受けて経験を積んだ医師(リハビリテーション医)が統率するのが最善であり,構成員としては通常,看護師,ソーシャルワーカー,栄養士,心理士,理学療法士,作業療法士,レクリエーション療法士,職業カウンセラーが含まれる。
理学療法は,筋力強化運動,拘縮を予防するための他動的ストレッチ運動,および装具,歩行器,車椅子など,活動性を改善するために必要となる補助器具の適切な使用に焦点を当てる。痙縮,自律神経過反射,および神経原性疼痛をコントロールする方法を教示する。
作業療法は,微細運動能力の再発達に焦点を当てる。排尿および排便管理プログラムでは,排尿・排便の技術を指導するほか,間欠的導尿が必要となることもある。緩下薬による定時の刺激を含む,腸管に対する処方がしばしば必要となる。
職業リハビリテーションには,微細および粗大運動能力の両方,ならびに認知能力の評価が含まれ,有意義な雇用に就ける可能性が判断される。次に職業教育の専門家が,可能な職場を特定し,補助器具や実際に働く場所の改修の必要性を判断する。レクリエーション療法士も同様のアプローチを用いて,参加が可能な趣味,運動,その他の活動を特定し,参加を促す。
心のケアは,体を制御できなくなった後に生じる離人感や,ほとんど不可避である抑うつを克服させることを目的とする。心のケアは,リハビリテーションの他の構成要素を成功させる上で基本となる要素であり,患者を教育し家族や友人の積極的な関わりを促すための努力を伴う必要がある。
研究段階の治療
損傷した脊髄において神経再生を促進し,瘢痕組織形成を最小限に抑える治療法が研究されている。そのような治療法としては,損傷のある脊髄レベルでポリマー製の支持体を移植する方法のほか,自家培養マクロファージ,ヒト由来胚性幹細胞乏突起膠細胞,神経幹細胞,栄養因子を注入する方法などがある。幹細胞研究が現在進行中である;多くの動物試験は有望な結果を示しており,ヒトを対象にした第I相および第II相の臨床試験もいくつか実施されている。
硬膜外への刺激装置の埋め込みは,脊髄損傷後の随意運動を改善するために研究されているもう1つの治療法である。硬膜外刺激により,損傷部以下の脊髄表面に電気パルスが送られる。
治療に関する参考文献
1.Hadley MN, Walters BC, Aarabi A, et al: Guidelines for the management of acute cervical spine and spinal cord injuries.Neurosurgery 72 (Supplement 3): 1–259, 2013.doi: doi.org/10.1227/NEU.0b013e318276ee7e.
2.Hawryluk G, Whetstone W, Saigal R, et al: Mean arterial blood pressure correlates with neurological recovery after human spinal cord injury: Analysis of high frequency physiologic data.J Neurotrauma 32(24):1958-1967, 2015.doi: 10.1089/neu.2014.3778
3.Vale FL, Burns J, Jackson AB, Hadley MN: Combined medical and surgical treatment after acute spinal cord injury: Results of a prospective pilot study to assess the merits of aggressive medical resuscitation and blood pressure management.J Neurosurg 87(2):239–246, 1997.
要点
明らかな脊髄外傷がある患者だけでなく,転倒・転落した可能性のある高齢患者をはじめとする脊髄損傷のリスクが高い患者や,知覚異常または脊髄損傷を示唆する神経脱落症状を認める患者,および限局性の脊椎圧痛がみられる患者でも,脊髄損傷を疑う。
不全脊髄損傷を確実に認識するために,運動機能および感覚機能(軽い触覚,ピン痛覚[pinprick],位置覚など)を検査し,上肢の不釣り合いな筋力低下がないか確認する。
リスクのある患者では,直ちに脊椎を固定する。
直ちにCTまたは使用できればMRIを手配する。
不全脊髄損傷の場合,24時間以内の手術を手配する。
不可逆的な脊髄損傷は,集学的リハビリテーションおよび痙縮を抑制する薬物で治療する。