敗血症および敗血症性ショック

執筆者:Paul M. Maggio, MD, MBA, Stanford University Medical Center
レビュー/改訂 2020年 1月
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敗血症は,感染症への反応が制御不能に陥ることで生命を脅かす臓器機能障害が生じる臨床症候群である。敗血症性ショックでは,組織灌流が危機的に減少する;肺,腎臓,肝臓をはじめとする急性多臓器不全が起こる場合もある。免疫能が正常な患者における敗血症の一般的な原因は,多様なグラム陽性または陰性菌などによる。易感染性患者では,まれな細菌または真菌が原因になることがある。徴候には発熱,低血圧,乏尿,および錯乱などがある。診断は主として臨床的に行い,感染を証明するための培養結果を参考にする;早期発見および治療が極めて重要である。治療は積極的な急速輸液,抗菌薬の投与,感染または壊死組織の外科的切除,排膿,および支持療法である。

ショックおよび急速輸液も参照のこと。)

敗血症は,死亡リスクが中等度(例,10%)から相当な程度(例,40%超)に及ぶ疾患スペクトラムであり,死亡リスクは様々な病原体および宿主因子に加え,認識のタイミングや治療の適切さによって変わる。

敗血症性ショックは,敗血症の中でも,循環および/または細胞内代謝の重度の異常により死亡率が著明に高い病態を指す。敗血症性ショックでは,十分な輸液を行っても平均動脈圧を65mmHg以上に維持するために昇圧薬を必要とする状態が続き(持続的な低血圧),血清乳酸濃度が18mg/dL[2mmol/L]を超えたままとなる([1])。

全身性炎症反応症候群(SIRS)という概念は,バイタルサインおよび検査結果の特定の異常によって定義されるもので,初期の敗血症の同定に長年利用されてきた。しかしながら,このような概念モデルを利用する際に最も重要なのが死亡リスクであるにもかかわらず,SIRSを用いた基準は死亡リスクに対する感度も特異度も低いことがわかっている。特異度が低いのは,おそらくSIRSでみられる反応が病的な変化というより,むしろ生体の適応である場合が多いためと考えられる。

総論の参考文献

  1. 1.Singer M, Deutschman CS, Seymour CW, et al: The third international consensus definitions for sepsis and septic shock (sepsis-3).JAMA 315:801–810, 2016.

敗血症および敗血症性ショックの病因

敗血症性ショックの症例の大部分は,院内感染によるグラム陰性桿菌またはグラム陽性球菌によって引き起こされ,易感染性患者ならびに慢性および消耗性疾患の患者に起こることが多い。まれに,カンジダ(Candida)または他の真菌によって引き起こされる。最近手術を受けた患者では敗血症性ショックの原因として術後感染(深部または表層)を疑うべきである。ブドウ球菌性およびレンサ球菌性毒素によって起こる特殊でまれな型のショックは,毒素性ショック症候群と呼ばれる。

敗血症性ショックは,新生児(新生児敗血症を参照),高齢者,および妊婦により多く起こる。素因としては以下のものがある:

  • 糖尿病

  • 肝硬変

  • 白血球減少(特にがんや細胞傷害性薬剤による治療に伴うもの)

  • 侵襲性のあるデバイス(気管内チューブ,血管内または尿道カテーテル,ドレーン,その他の異物)

  • 抗菌薬またはコルチコステロイドによる治療

一般的に感染源となる部位には,肺,尿路,胆管,および消化管などがある。

敗血症および敗血症性ショックの病態生理

敗血症性ショックの発生機序は完全には解明されていない。炎症性刺激(例,細菌毒素)が,腫瘍壊死因子(TNF)およびインターロイキン1(IL-1)を含む炎症メディエーターの産生を惹起する。これらのサイトカインは,好中球の内皮細胞に付着し,凝固機構を活性化して,微小血栓を生じさせる。これらのサイトカインはまた,ロイコトリエン,リポキシゲナーゼ,ヒスタミン,ブラジキニン,セロトニン,およびIL-2を含む多数の他のメディエーターも放出する。これらには,IL-4およびIL-10などの抗炎症メディエーターが拮抗して,ネガティブフィードバックの機構が働く。

最初に,動脈および細動脈が拡張し,末梢動脈抵抗が減少する;心拍出量は一般的には増加する。この段階はwarm shockと呼ばれる。その後,心拍出量が減少し,血圧が下がり(末梢血管抵抗の増加を伴うことも伴わないこともある),ショックの典型的な特徴が現れる。

心拍出量が増加する段階でも,血管作動性メディエーターにより血流は毛細血管(交換血管)を迂回する(血液の分布異常)。このシャントが原因で毛細血管流量が減少する上,微小血栓による毛細血管閉塞の影響も加わって酸素の運搬が減少し,二酸化炭素および老廃物の除去が妨げられる。灌流の減少は腎臓,肺,肝臓,脳,および心臓をはじめとした臓器の機能障害,ときに臓器不全を引き起こす。

大量の凝固因子の消費を伴う血管内凝固,それに反応して起こる線溶系の過剰亢進,そして多くの場合は両者の合併により,凝固障害が発生する。

敗血症および敗血症性ショックの症状と徴候

敗血症の症状および徴候は軽微なこともあり,しばしば他の疾患の徴候と容易に誤解され(例,せん妄,原発性の心機能障害,肺塞栓症),特に術後患者で注意が必要である。敗血症では,患者は一般的に発熱,頻脈,発汗,および頻呼吸を呈する;血圧は正常のままである。原因となる感染症による,他の徴候がみられることがある。敗血症が悪化した場合,または敗血症性ショックが発生した場合には,特に高齢または非常に若年の患者では,錯乱や意識レベルの低下が初期徴候となることがある。血圧は低下するが,皮膚は温かく,パラドクスである。その後,四肢が冷たく蒼白になり,末梢のチアノーゼおよび皮膚の斑状の変化を生じる。臓器機能障害が起こると,侵された臓器に特異的なさらなる症状および徴候が生じる(例,乏尿,呼吸困難)。

敗血症および敗血症性ショックの診断

  • 臨床像

  • 血圧,心拍数,酸素モニタリング

  • 血算と白血球分画,電解質およびクレアチニン,乳酸

  • 侵襲的中心静脈圧(CVP),PaO2,および中心静脈酸素飽和度(ScvO2)の測定

  • 血液,尿,および術患者の術創などの潜在的な感染部位からの培養

感染を有する患者が全身性の炎症徴候または臓器機能不全を生じた場合,敗血症が疑われる。同様に,敗血症でなければ説明のつかない全身性の炎症徴候を有する患者には感染症の評価を行うべきであり,病歴聴取,身体診察,尿検査および尿培養(特にカテーテルを留置された患者),血液培養,その他疑わしい体液の培養などの検査を施行する。術後敗血症または潜在的な原因による敗血症が疑われる患者では,疑われる感染部位によって,超音波検査,CT,MRIが必要になる場合もある。重症敗血症では,C反応性タンパク(CRP)およびプロカルシトニンの血中濃度が上昇して診断の補助となることもあるが,特異的ではない。最終的に,診断は臨床所見による。

病歴聴取,身体診察,心電図,および血清心筋マーカーの測定により,ショックの他の原因(例,循環血液量減少,心筋梗塞)を除外すべきである。心筋梗塞を伴わない場合でも,敗血症による灌流低下の結果,非特異的ST-T異常,T波逆転,ならびに上室性および心室性不整脈など,心筋虚血の心電図所見がみられることがある。

臓器機能障害をできる限り早く検出することが重要である。いくつかのスコアリングシステムが考案されているが,sequential organ failure assessment score(SOFAスコア)およびquick SOFAスコア(qSOFA)は,死亡リスクに関して妥当性が高く,比較的使いやすい。quick SOFAスコアは,血圧,呼吸数,グラスゴー昏睡スケールに基づいているもので,臨床検査結果を待つ必要がない。感染が疑われる患者で集中治療室(ICU)に収容されていない場合には,quick SOFAスコアは,全身性炎症反応症候群(SIRS)およびSOFAスコアよりも入院患者死亡率の予測因子として優れている。感染が疑われる患者で集中治療室(ICU)に収容されている場合には,SOFAスコアが,全身性炎症反応症候群(SIRS)およびqSOFAスコアよりも入院患者死亡率の予測因子として優れている(1)。

以下の基準のうち,2つ以上が認められる患者はSIRSの基準を満たしており,さらなる臨床的評価と検査が必要である。

  • 体温 > 38°C(100.4°F)または < 36°C(96.8°F)

  • 心拍数 > 90/分

  • 呼吸数 > 20回/分またはPaCO2 < 32mmHg

  • 白血球数 > 12,000/μL(12 × 109/L),< 4,000/μL(4 × 109/L)または 桿状核球 > 10%

以下のqSOFA基準のうち,2つ以上が認められる患者はさらなる臨床的評価と検査が必要である。

  • 呼吸数 ≥ 22回/分

  • 精神状態の変化

  • 収縮期血圧 ≤ 100mmHg

ICU環境下ではSOFAスコアはqSOFAスコアよりもいくぶん頑健であるが,臨床検査を必要とする(Sequential Organ Failure Assessmentスコアの表を参照)。

表&コラム

血算,動脈血ガス,胸部X線,血清電解質,BUN(血中尿素窒素),クレアチニン,PCO2,および肝機能がモニタリングされる。血清乳酸濃度,中心静脈酸素飽和度(ScvO2),またはその両方が,治療の方針を決めるのに役立つ。白血球数は減少することも(< 4000/μL[< 4 × 109/L]),増加することも(> 15,000/μL[> 15 × 109/L])あり,多形核白血球は20%にまで低下することがある。敗血症またはショックの重症度,患者の免疫状態,感染症の病因に応じて,敗血症の経過中に白血球数は増えることも減ることもある。コルチコステロイド併用により白血球数は上昇し,病勢による白血球数の変化が顕在化しない場合がある。

乳酸血症を部分的に代償する機構として,呼吸性アルカローシス(PaCO2の低下および動脈血pHの上昇)を伴う過換気が早期に生じる。血清重炭酸塩値は通常低く,血中乳酸濃度は増加する。ショックが進行するにつれ,代謝性アシドーシスが進行し,血液のpHが低下する。初期の低酸素性呼吸不全は,PaO2:FIO2比を低下させるほか,ときに低酸素血症の顕在化を引き起こし,PaO2 < 70mmHgとなる。急性呼吸窮迫症候群(ARDS)により,胸部X線上にびまん性浸潤影が現れることがある。腎機能不全の結果,通常BUNおよびクレアチニンは進行性に上昇する。ビリルビンおよびトランスアミナーゼが上昇することもあるが,もともと肝機能が正常な患者で肝不全が顕在化することはまれである。

多くの重症敗血症の患者が,相対的な副腎機能不全(すなわち,コルチゾールの基礎値が正常またはわずかに上昇しているが,さらなるストレスまたは外因性の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)に反応して有意に上昇することはない)を発症する。副腎機能は午前8時に血清コルチゾールを測定して検査する;コルチゾール濃度 < 5μg/dL(< 138 nmol/L)では機能が不十分である。また,合成ACTHの250μg注射の前後にコルチゾールを測定する方法もある;この場合,コルチゾール濃度の上昇が9μg/dL未満(< 248 nmol/L)は機能が不十分とみなされる。しかし,難治性の敗血症性ショックでは,コルチコステロイド療法を開始する前のコルチゾール検査は不要である。

ショックの種類が不明な場合または大量の輸液(例,生理食塩水>4~5Lを6~8時間以内に投与)が必要な場合,中心静脈または肺動脈カテーテルによる血行動態の評価が行われる。

ICUにおけるベッドサイドでの心エコー検査は,血行動態の代替モニタリング法として非侵襲的かつ実用的である。他の型のショックでは典型的には心拍出量が減少し末梢血管抵抗が増加するのに対し,敗血症性ショックでは,心拍出量は増加し末梢血管抵抗は減少する。

循環血液量減少性,閉塞性または心原性ショックとは異なり,敗血症性ショックでは,中心静脈圧(CVP)や肺動脈楔入圧(PAOP)が異常を呈する可能性は低い。

診断に関する参考文献

  1. 1.Seymour CW, Liu VX, Iwashyna TJ, et al: Assessment of clinical criteria for sepsis: For the Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock (Sepsis-3).JAMA 215(8):762–774, 2016.

敗血症および敗血症性ショックの予後

敗血症性ショック患者の全死亡率は減少しており,現在,平均して30~40%である(患者の背景によって,10~90%まで幅がある)。早期(例,本症が疑われてから6時間以内)に積極的な治療を開始しなかった場合,しばしば転帰は不良である。一旦代謝性アシドーシスが非代償期に入り乳酸アシドーシスが重症化すると,特に多臓器不全を伴う場合には,敗血症性ショックは不可逆的となり,死に至る可能性が高い。死亡率は,MEDSスコアを含む様々なスコアで推定できる。多臓器不全スコアでは6つの器官系の機能不全が評価され,このスコアは死亡リスクと強く相関する。

敗血症および敗血症性ショックの治療

  • 輸液およびときに昇圧薬による循環の回復

  • 酸素投与

  • 広域抗菌薬

  • 感染部位のコントロール

  • ときに他の支持的療法(例,コルチコステロイド,インスリン)

敗血症性ショックの患者はICUで治療すべきである。以下を1時間毎にモニタリングすべきである:

  • CVP,PAOP,またはScvO2

  • パルスオキシメトリー

  • 動脈血ガス

  • 血糖値,乳酸濃度,および電解質濃度

  • 腎機能

腎血流量の良い指標である尿量を測定すべきである(一般には,尿道カテーテル留置は必須でない限りは避けるべきである)。乏尿(例,0.5mL/kg/時未満)もしくは無尿の発生,またはクレアチニン値の上昇は,腎不全が切迫していることを示唆する。

敗血症の時宜を得た診断および治療のための,エビデンスに基づいたガイドラインおよび公式のプロトコルに従うことで,死亡率および入院期間が減少することが示されている(1)。

循環の回復

輸液は,循環を回復させるために最初に用いられる方法である。等張の電解質輸液(例,生理食塩水)が望ましい。重症敗血症または敗血症性ショックの患者の場合,ときにアルブミンを初期輸液のボーラス投与に加える;アルブミンは電解質輸液製剤より高価であるが,通常は安全に電解質輸液製剤に加えることができる。スターチを溶質とした輸液(例,ヒドロキシエチルスターチ)は死亡率の上昇と関連しており,使用すべきではない。

まず,急速に1Lの電解質輸液製剤を投与する。多くの患者は最初の4~6時間に最低でも30mL/kgを必要とする。しかし,治療の目標は一定量の輸液を投与することではなく,体液過剰による肺水腫をおこさずに組織灌流を回復することである。

再灌流が奏効しているかどうかの指標には,ScvO2および乳酸クリアランス(すなわち血清乳酸濃度の変化率)などがある。目標ScvO2は ≥ 70%である。乳酸クリアランスの目標値は10~20%である。肺水腫のリスクは前負荷を最適化することによりコントロール可能である;CVPが8mmHg(10cmH2O)またはPAOPが12~15mmHgになるまで輸液を投与すべきである;しかしながら,機械的人工換気下の患者ではより高いCVP値が必要である。必要な輸液の量はしばしば正常の血液量をはるかに超え,4~12時間かけて10Lに及ぶことがある。PAOPまたは心エコー法により,体液過剰による左室機能の低下および初期の肺水腫を同定できる。

敗血症性ショックの患者で,CVPまたはPAOPが目標値まで上昇した後も低血圧が持続する場合,平均血圧を少なくとも65mmHgまで上昇させるためにノルアドレナリン(患者ごとに厳密に合わせた用量)またはバソプレシン(最大で0.03単位/分まで)を投与することがある。2つ目の薬剤が必要になればアドレナリンを追加する場合もある。しかし,これらの薬剤を高用量で投与すると血管収縮が引き起こされ,臓器灌流不全およびアシドーシスを来すことがある。

酸素投与

酸素はマスクまたは鼻カニューレによって投与される。その後,呼吸不全に対して気管挿管および機械的人工換気が必要になることがある(ARDSにおける機械的人工換気を参照)。

抗菌薬

血液,体液,および創部の検体をグラム染色および培養用に採取した後,可能な限り早く非経口(parenteral)抗菌薬を静脈投与すべきである。敗血症を疑ったら,極めて迅速に経験的治療(empiric therapy)をすぐに開始することが重要であり,これが救命の鍵を握る可能性がある。抗菌薬を選択する際は,疑わしい感染源(例,肺炎,尿路感染症),臨床状況,起因菌および入院病棟または施設に特有の感受性パターンに対する知識や予想,以前の培養結果などに基づき,根拠ある推測を行う必要がある。

最初はグラム陽性および陰性細菌に対する広域抗菌薬を使用することが多い;易感染性患者にはさらに抗真菌薬を経験的に投与すべきである。開始レジメンには多くの選択肢がある;入手可能であれば,起因菌および抗菌薬への感受性パターン(アンチバイオグラム)に関する施設内の傾向を活用して,経験的治療(empiric therapy)を選ぶべきである。通常,経験的にグラム陽性菌をカバーする抗菌薬にはバンコマイシンおよびリネゾリドなどがある。グラム陰性菌に対する経験的治療(empiric therapy)はさらに選択肢が広く,具体的には広域ペニシリン系(例,ピペラシリン/タゾバクタム),第3または第4世代セファロスポリン系,イミペネム,アミノグリコシド系薬剤などがある。初期には広域なスペクトルのものを使用するが,培養および感受性試験のデータに基づきスペクトルを狭めていく。

パール&ピットフォール

  • 施設や病棟(care unit)に特異的な起因菌の種類および感受性のトレンドに関する情報は,エンピリックな抗菌薬選択の重要な指標となる。

感染部位のコントロール

感染部位は可能な限り早くコントロールすべきである。静脈カテーテル,尿道カテーテル,および気管内チューブは交換するか,可能なら除去すべきである。膿瘍は排膿し,壊死組織(例,壊疽を起こした胆嚢,壊死した軟部組織の感染部位)は外科的に切除しなければならない。切除が不可能な場合(例,併存症または血行動態の不安定性のため),外科的ドレナージが役立つことがある。感染部位を除去しない限り,抗菌薬療法のかいなく患者の状態は悪化し続ける。

他の保存的方法

高血糖は感染症に対する免疫反応を損なうため,重症(critically ill)患者では,糖尿病かどうか不明な場合でも,血糖値を正常化することで転帰が改善される。インスリンの持続静注(開始量1~4単位/時)では,血糖値を110~180mg/dL(7.7~9.9mmol/L)に保つために投与量を調節する。このアプローチを行う場合,頻繁な(例,1~4時間毎)血糖値の測定が必要である。

輸液,感染部位コントロール,抗菌薬,昇圧薬による治療でも血圧低下が続く患者では,コルチコステロイド療法が有益なことがある。治療開始前にコルチゾール値を測定する必要は全くない。薬理学的用量を用いるのではなく補充療法を行う。ヒドロコルチゾン50mgを6時間毎(もしくは100mgを8時間毎)に静注するというレジメンがある。継続治療は患者の反応に基づいて行う。

治療に関する参考文献

  1. 1. Bhattacharjee P, Edelson DP, Churpek MM: Identifying patients with sepsis on the hospital wards.Chest 151:898–907, 2017.doi: 10.1016/j.chest.2016.06.020

敗血症および敗血症性ショックの要点

  • 敗血症および敗血症性ショックは,感染症への反応が制御不能に陥ることで生命を脅かす臓器機能障害が生じる臨床症候群が次第に重症化する病態である。

  • 要因は組織灌流の危機的な減少であり,肺,腎臓,肝臓をはじめとした急性多臓器不全を招くことがある。

  • 早期の発見および治療が生存率の改善の鍵である。

  • 中心静脈酸素飽和度(ScvO2)および前負荷を最適化し,血清乳酸濃度を下げるため,輸液のほか,ときに昇圧薬を調節しながら投与し,蘇生を行う。

  • カテーテルやチューブを抜去し,感染または壊死した組織を除去し,膿瘍をドレナージすることにより,感染部位をコントロールする。

  • 最も可能性の高い細菌を標的として広域抗菌薬を経験的投与し,培養および感受性試験の結果に基づき,より特異性の高い薬剤に切り替えていく。

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