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小児予防接種の有効性および安全性

執筆者:

Michael J. Smith

, MD, MSCE, Duke University School of Medicine

レビュー/改訂 2021年 11月
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予防接種は重篤な疾患の予防に多大な効果を果たしてきた。その費用の低さ(特に長期の投与を要する薬剤と比較した場合)を考慮すると,ワクチンは最も費用対効果の高い医薬品の1つである。ワクチンの効果は非常に大きく,かつては極めて高い頻度でみられ,しばしば死に至っていた感染症は,現在の多くの医療従事者にとって,現場ではほとんど,または全く遭遇することのない疾患となっている。

ワクチンで予防可能な疾患の多くが米国ではまれとなったこと,また本来健康な小児を接種対象とすることから,ワクチンは安全性の高いものでなければ患者や養育者に受け入れられない。

ワクチンは(あらゆる医薬品と同じように)認可前に新しいワクチンをプラセボ(または存在する場合は既存のワクチン)と比較するランダム化比較試験(RCT)によって検証される。そうした認可前のRCTは,ワクチンの効力を評価することと,頻度の高い有害事象(例,発熱,注射部位発赤や腫脹,疼痛などの局所反応)を同定することを主な目的として設計される。しかしながら,有害事象の中には非常に頻度が低いために現実的な規模のRCTでは検出できず,ワクチンのルーチンの使用が開始されて初めて明らかになるものもある。そこで,認可後にワクチンの安全性をモニタリングするべく,Vaccine Adverse Event Reporting System(VAERS)およびVaccine Safety Datalink(VSD)と呼ばれる2つのサーベイランス制度が創設された。

VAERSは,米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)と米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)が共同で主導している安全性プログラムで,最近の予防接種後に有害事象が起きたと認識した患者個人からの報告を収集するために使用される。医療従事者にも予防接種後に特定の事象が発生すれば報告する義務があり,たとえワクチンに関連した事象という確信がない場合でも報告できることになっている。VAERSへの報告は,安全性上の懸念に対して迅速な評価を可能にしている。しかしながら,VAERSへの報告は予防接種と疑われる有害事象との時間的関連性を示すだけで,因果関係を証明するものではない。そのため,他の方法を用いてVAERSへの報告をさらに評価する必要がある。そのような方法の1つがVSDであるが,これは9つの大規模なマネージドケア機関(managed careorganization)による900万人以上のデータを利用している。そのデータには,予防接種の実施(通常診療の一環として診療記録に記載されたもの)と接種後の病歴(有害事象を含む)が記録されている。VAERSとは異なり,VSDには特定ワクチンの接種を受けた患者のほか,接種を受けなかった患者のデータも含まれている。そのためVSDは,予防接種後に偶然同時に発生した症状や疾患と実際の有害事象とを区別することで,有害事象の実際の発生率を明らかにするのに役立つ可能性がある。

より詳細な情報

有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

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