(成人における 統合失調症 統合失調症 統合失調症は,精神病(現実との接触の喪失),幻覚(誤った知覚),妄想(誤った確信),まとまりのない発語および行動,感情の平板化(感情の範囲の狭まり),認知障害(推理および問題解決の障害),ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが,遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。通常,症状は青年期または成人期早期に始まる。診断を下すには,6カ月以上持続する症状のエピソードが1回以上は認められなければならな... さらに読む も参照のこと。)
統合失調症の発症は,典型的には青年期中期から30歳代中盤にかけてみられ,発症のピークは20代である。青年と若年成人における特徴は類似している。思春期前の小児の統合失調症(小児期発症統合失調症)は,青年/若年成人発症型と同様の症状で12歳未満で発症するものであるが,極めてまれである。
最初のエピソードは通常は若年成人で起こるが,要因となる神経発達上の事象および経験の一部はより早期(例,周産期)に起きている。
そのような周産期の危険因子としては,以下のものがある:
遺伝性疾患(特に小児期発症リスクを増大させるもの)
影響を受けやすい期間中の特定の薬剤または物質(例,大麻)への曝露
出生前の低栄養
分娩合併症,低酸素症,周産期感染症,常位胎盤早期剥離または胎盤機能不全
小児期の脳損傷
その後に生じる他の危険因子(例,青年期における薬物使用)も統合失調症発症の誘因となる可能性がある。
思春期前の小児における小児期発症統合失調症の症状と徴候は,通常は青年および成人におけるそれと類似するが,妄想および幻視(頻度は小児でより高い)の精細さは比較的低い。その他の特徴も小児期発症統合失調症を青年/若年成人型と鑑別するのに役立つ:
より重症の症状
濃厚な家族歴
遺伝学的異常,発達異常(例,広汎性発達障害,知的能力障害),および運動異常の有病率が高い
発症前の社会的困難の有病率が高い
潜行性の発症
認知機能の悪化
神経解剖学的変化(脳皮質灰白質体積の進行性減少,脳室体積の増加)
幼児における突発的な精神病については,精神状態変化の生理的原因を検索するための徹底的な医学的評価とともに,常に医学的な緊急事態として治療を行うべきであり,そのような原因としては以下のものがある:
薬剤(幼児では精神刺激薬およびコルチコステロイド;青年では薬物乱用)
中枢神経系感染症または損傷
甲状腺疾患
最近の研究から,テトラヒドロカンナビノール(THC)を含有する大麻製品を使用している青年において特定の精神病性障害(すなわち, 双極性障害 小児および青年における双極性障害 双極性障害は,躁状態,抑うつ状態,正常な気分状態の期間が交互に出現することによって特徴づけられ,さらにそれぞれが1回につき数週間から数カ月間継続する障害である。診断は臨床基準に基づく。治療は気分安定薬(例,リチウム,ある種の抗てんかん薬,抗精神病薬),精神療法,および抗うつ薬の併用である。 双極性障害は,典型的には青年期中期から20代中盤にかけて発症する。多くの小児において,初発症状は1回以上の... さらに読む および統合失調症)の発生リスクが高まることが示唆されている。このリスク増加は遺伝因子で説明することができない。米国では,近年のマリファナ合法化により,この広く使用されているレクリエーショナルドラッグの安全性に関して,青年(とその親)が誤った安心感を抱いてしまう可能性が懸念されている。
小児および青年における統合失調症の治療は複雑で,転帰は様々であり,小児および青年専門の精神科医への紹介が強く推奨される。
参考文献
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