過期産児および過熟児

執筆者:Arcangela Lattari Balest, MD, University of Pittsburgh, School of Medicine
レビュー/改訂 2021年 4月
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過期産児とは,在胎42週以降に出生した新生児である。過熟児とは,dysmaturityの徴候がみられる過期産児のことである。

過期産の原因は一般に不明であるが,過期産歴がある場合リスクは2~3倍上昇する。過期産は,胎児の下垂体-副腎系に影響する異常(例,無脳症,副腎低形成,先天性副腎過形成症)および胎盤性サルファターゼ欠損に関連する伴性遺伝性魚鱗癬によって起こる可能性がある。

病態生理

ほとんどの場合,胎児の発育は分娩まで持続する。しかし,一部の例では,妊娠の経過に伴って胎盤が退縮し,多発梗塞および絨毛の変性が発生して胎盤機能不全を引き起こす。これらの症例では,胎児は母体から十分な栄養および酸素を受け取れないため,やせて(軟部組織消耗による)グリコーゲン貯蔵が枯渇した栄養不良児となり,羊水量が減少する。このような新生児はdysmatureであり,胎盤機能不全の発生時期と病態の重症度によっては在胎不当過小児である場合がある。胎盤機能不全とdysmaturityは在胎期間のどの時点でも発生する可能性があるが,41~42週を超えて妊娠が経過する場合に最も多い。

合併症

過熟児は,主に以下のために正期産児より罹病率および死亡率が高い:

周産期仮死は胎盤機能不全のほか,羊水過少に続発する臍帯圧迫によって起こる可能性がある。

羊水量の減少により,あまり希釈されていない胎便を吸引するため,胎便吸引症候群は非常に重度である場合がある。遷延性肺高血圧症はしばしば胎便吸引後に発生する。

新生児低血糖は,出生時の不十分なグリコーゲン貯蔵によって起こる合併症である。嫌気的代謝が残りの貯蔵グリコーゲンを急速に消費するため,周産期仮死が起こると低血糖が悪化する。

症状と徴候

過熟児は覚醒しており,成熟しているようにみえる。過熟児では軟部組織,特に皮下脂肪の量が少ない。皮膚は,四肢においてたるみがみられ,しばしば乾燥して落屑がある。手足の爪は長い。爪および臍帯が,子宮内で排泄された胎便により着色していることがある。

診断

  • 過期産児では在胎期間

  • 過熟児では在胎期間および身体診察

過期産は新生児の在胎期間に基づいて診断する。

過熟は在胎期間と身体所見に基づいて診断する。

治療

  • 合併症の治療

過去20年の産科医療の向上により,在胎41週以降に分娩される新生児数は著しく減少し,これにより胎便吸引症候群の発生率も低下した。

過熟児およびdysmature児には低血糖のリスクがあり,その点を考慮してモニタリングおよび管理すべきである。

周産期仮死の乳児では,疾患経過の重症度に応じて管理方針が異なる。中等度から重度の脳症を有し,かつ出生時の重度のアシドーシス,5分後以降のアプガースコア低値,長時間にわたる蘇生の必要性のいずれか1つにでも該当する乳児には,低体温療法が役立つ場合がある。

娩出時の気管内吸引は胎便吸引症候群の発生率も重症度も減少させないため,分泌液の見た目の粘稠度や児の活動レベルにかかわらず,気管挿管は換気補助が必要な児に限定すべきである。胎便吸引症候群の乳児は,換気補助を必要とする可能性がある;高頻度換気がときに役立つ。しばしば鎮静を要する。

サーファクタント治療は全死亡率を低下させないが,体外式膜型人工肺(ECMO)による治療が必要になる可能性を低下させるため,著しい呼吸窮迫がみられる児にはサーファクタントがしばしば使用される。ECMOは比較的少数の新生児センターでしか使用できないため,従来の医学的治療に反応しない低酸素性呼吸不全の患児に対してのみ用いる。

遷延性肺高血圧症は,支持療法および一酸化窒素吸入または他の肺血管拡張薬により治療する。

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