乳腺炎

執筆者:Julie S. Moldenhauer, MD, Children's Hospital of Philadelphia
レビュー/改訂 2020年 5月
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乳腺炎は疼痛のある乳房の炎症であり,通常は感染を伴う。

産褥後期での発熱は乳腺炎によることが多い。ブドウ球菌属細菌が最も一般的な原因である。

乳房膿瘍は非常にまれであり,ときにメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)により起こる。

乳腺炎の症状には高熱があり,乳房症状としては,紅斑,硬結,圧痛,疼痛,腫脹,触れた際の熱感などがある。乳腺炎は授乳開始時に頻繁に起こる乳頭の痛みやひび割れとは異なる。

乳腺炎の診断は臨床的に行う。

治療

  • ブドウ球菌に有効な抗菌薬

乳腺炎の治療には,水分摂取の奨励,最も頻度の高い原因病原体である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を標的とする抗菌薬の投与がある。例を以下に示す:

  • ジクロキサシリン500mg,経口,6時間毎,7~10日間

  • ペニシリンアレルギーのある女性には,セファレキシン500mg,経口,1日4回またはクリンダマイシン300mg,経口,1日3回の10~14日間投与

エリスロマイシン250mg,経口,6時間毎の投与が用いられることは比較的まれである。

改善がみられず膿瘍がない場合は,耐性菌をカバーするよう,バンコマイシン(1g,静注,12時間毎)またはセフォテタン(1~2g,静注,12時間毎)の投与を考慮すべきである。罹患した乳房を空にすることも治療の一環であるため,投薬中も授乳を続けるべきである。

乳房膿瘍は切開排膿で主に治療する。黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対する抗菌薬がしばしば用いられる。

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(S. aureus)に対する抗菌薬が乳腺炎または乳房膿瘍の治療に必要かどうかは明らかでない。

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