コーガン症候群

(コーガン症候群)

執筆者:Melvin I. Roat, MD, FACS, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University
レビュー/改訂 2020年 5月
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コーガン症候群はまれな自己免疫疾患で,眼および内耳を侵す。

コーガン症候群は若年成人に発生し,患者の80%は14~47歳である。本疾患は,角膜および内耳に共通する未知の自己抗原に対する自己免疫反応が原因であると考えられている。約10~30%の患者では重度の全身性血管炎もみられ,その中には生命を脅かす大動脈炎も含まれる場合がある。

角膜疾患に関する序論も参照のこと。)

コーガン症候群の症状と徴候

主症状は,眼科系が38%,前庭聴覚系が46%,その両方が15%である。5カ月までに患者の75%に眼症状および前庭聴覚症状が両方現れる。非特異的な全身愁訴には,発熱,頭痛,関節痛,および筋肉痛などがある。

眼病変は,以下のものがいくつか複合したものである:

  • 両側性角膜実質炎またはその他の角膜実質の炎症

  • 上強膜炎または強膜炎

  • ぶどう膜炎

  • 視神経乳頭炎

  • その他の眼窩炎症(例,硝子体炎,脈絡膜炎)

眼症状としては,刺激症状,疼痛,羞明,視力低下などがある。眼診察では,角膜実質炎に典型的な斑状の角膜実質浸潤巣,眼充血,視神経浮腫,眼球突出,またはこれらの症状の組合せがみられる。

前庭聴覚

前庭聴覚の症状としては,感音難聴,耳鳴,回転性めまいなどがある。

血管系

大動脈炎が重度であれば,拡張期心雑音を認めることがある。肢の血管が侵されれば跛行がみられることもある。

コーガン症候群の診断

  • 臨床的評価

診断は,臨床所見および適切な血清学的検査によって角膜実質炎のその他の原因(例,梅毒,ライム病,エプスタイン-バーウイルス感染症)を除外することに基づく。コーガン症候群の患者では,内耳抗原に対する抗体,抗Hsp70抗体(感音難聴を合併),および抗好中球細胞質抗体(血管炎を合併)が認められている。コーガン症候群が疑われる場合,眼科医および耳鼻咽喉科医による緊急評価が適応となる。

コーガン症候群の治療

  • 眼病変に対し,コルチコステロイドを初期に局所投与,またときに全身投与

無治療では,角膜瘢痕化および視力障害を来し,60~80%の患者で永久的な難聴を生じる可能性がある。角膜炎(および角膜病変の症状),上強膜炎,および前部ぶどう膜炎は,通常1%酢酸プレドニゾロンを1時間毎に最大1日4回,2~3週間外用することにより治療できる。より深部の眼炎症を治療する際や,また,特に永久化する前に前庭聴覚症状を治療する際には,プレドニゾン1mg/kgの1日1回経口投与をできる限り早く開始し,2~6カ月間継続する。医師によっては,難治例に対してシクロホスファミド,メトトレキサート,シクロスポリン,またはインフリキシマブを追加する。

コーガン症候群の要点

  • コーガン症候群は主に眼および前庭聴覚系を侵すまれな自己免疫症候群である。

  • ときに,生命を脅かす大動脈炎が発生する。

  • 治療しなければ,視力障害および聴力障害が永久に残る可能性がある。

  • 眼科医および耳鼻咽喉科医による緊急評価が適応となる。

  • 治療は一般にコルチコステロイド(外用および全身投与)による。

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