上強膜炎

執筆者:Melvin I. Roat, MD, FACS, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University
レビュー/改訂 2019年 10月
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    上強膜炎は,再発性で,通常は特発性の自然に治癒する上強膜組織の炎症であり,視力を脅かすことはない。症状は,眼球の限局性の充血,刺激症状,および流涙である。診断は臨床的に行う。治療は対症療法である。

    上強膜は結膜と強膜の間の血管に富む薄い組織である。

    上強膜炎は若年成人に起こり,より女性に多い。通常は特発性である;結合組織疾患およびまれに重篤な全身性疾患に伴うこともある(約15%の患者にみられる)。(結膜および強膜疾患の概要も参照のこと。)

    軽度の刺激症状が生じる。さらに,鮮赤色の斑点が眼球結膜直下に現れる(単純性上強膜炎)。充血および浮腫を伴う隆起した結節(結節性上強膜炎)がみられることもある。眼瞼結膜は正常である。

    上強膜炎は,充血が眼球の一部に限局し,流涙がはるかに少なく眼脂がないことで,結膜炎と鑑別される。羞明および重度の疼痛を欠くことにより,強膜炎と鑑別される。

    本疾患は自然治癒する。システムレビュー(review of systems)から基礎にある原因が示唆されない場合は,全身性疾患に対する診断評価をルーチンに行う根拠はない。

    コルチコステロイドの局所投与(例,1%酢酸プレドニゾロン点眼,1日4回を7日間,3週間かけて漸減)または非ステロイド系抗炎症薬の経口投与により,通常は発症期間が短縮する;コルチコステロイドは通常眼科医によって処方される。外見を改善するための血管収縮薬(例,テトラヒドロゾリン,ブリモニジン酒石酸塩0.025%)の局所投与は任意であるが,常用すると,リバウンドにより充血が悪化することがある。

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