(結節性紅斑 結節性紅斑 結節性紅斑は 脂肪織炎の一病型であり,脛部に圧痛を伴う赤色または紫色の皮下結節を触れるのが特徴であるが,ときに他の部位にも生じる。しばしば全身性の基礎疾患,特にレンサ球菌感染,サルコイドーシス,炎症性腸疾患に伴って発生する。診断は臨床的評価のほか,ときに生検による。治療は原因に応じて異なる。 結節性紅斑は主として20代から30代の人々に生じるが,あらゆる年齢層で発生する可能性があり,女性の方が頻度が高い。... さらに読む も参照のこと。)
脂肪織炎は,脂肪組織内で主に炎症が生じる部位によって,小葉性と隔壁性に分類できる。
脂肪織炎の病因
脂肪織炎には,以下のような複数の原因がある:
感染症
炎症性疾患(例, 結節性紅斑 結節性紅斑 結節性紅斑は 脂肪織炎の一病型であり,脛部に圧痛を伴う赤色または紫色の皮下結節を触れるのが特徴であるが,ときに他の部位にも生じる。しばしば全身性の基礎疾患,特にレンサ球菌感染,サルコイドーシス,炎症性腸疾患に伴って発生する。診断は臨床的評価のほか,ときに生検による。治療は原因に応じて異なる。 結節性紅斑は主として20代から30代の人々に生じるが,あらゆる年齢層で発生する可能性があり,女性の方が頻度が高い。... さらに読む ,硬化性脂肪織炎, 結節性多発動脈炎 結節性多発動脈炎(PAN) 結節性多発動脈炎は,典型的には中型の筋性動脈およびときに小型の筋性動脈を侵す全身性壊死性血管炎で,組織の二次的虚血を来す。腎臓,皮膚,関節,筋肉,末梢神経,および消化管が侵される頻度が最も高いが,どの臓器も侵される可能性がある。しかし,肺は通常障害を免れる。患者は典型的には全身症状(例,発熱,疲労)を呈する。診断には生検または動脈造影を必要とする。コルチコステロイドおよび免疫抑制薬による治療がしばしば効果的である。... さらに読む )
物理的因子(例,寒冷,外傷)
リンパ増殖性疾患
結合組織疾患(例, 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデスは,自己免疫を原因とする慢性,多臓器性,炎症性の疾患であり,主に若年女性に起こる。一般的な症状としては,関節痛および関節炎,レイノー症候群,頬部などの発疹,胸膜炎または心膜炎,腎障害,中枢神経系障害,血球減少などがある。診断には,臨床的および血清学的な基準が必要である。重症で進行中の活動性疾患の治療には,コルチコステロイドおよび免疫抑制薬を必要とする。 全症例のうち,70~90%が女性(通常妊娠可能年齢)に起こる。... さらに読む , 全身性強皮症 全身性強皮症 全身性強皮症は,皮膚,関節,および内臓(特に食道,下部消化管,肺,心臓,腎臓)におけるびまん性の線維化および血管異常を特徴とする,原因不明のまれな慢性疾患である。一般的な症状としては,レイノー現象,多発性関節痛,嚥下困難,胸やけ,腫脹などがあり,最終的には皮膚の硬化と手指の拘縮が起こる。肺,心臓,および腎臓の病変がほとんどの死亡の原因である。診断は臨床的に行うが,臨床検査は診断の裏付けになり,予後予測に役立つ。特異的治療は困難であり,合... さらに読む )
膵疾患
脂肪織炎の症状と徴候
脂肪織炎は四肢に加えて,ときに後胸部,腹部,乳房,顔面,または殿部に生じる圧痛および紅斑を伴う皮下結節を特徴とする。まれに,結節が腸間膜,肺,陰嚢,頭蓋に生じることもある。脂肪織炎に伴って全身性炎症の徴候を認めることもある。
脂肪織炎の診断
臨床的評価
切除生検または切開生検
脂肪織炎の診断は通常,臨床的な外観により,生検で確定できる。
脂肪織炎の治療
支持療法
抗炎症薬
免疫抑制薬
脂肪織炎の原因になる基礎疾患があれば,それを治療する。脂肪織炎には特異的な根治的治療法はない。これまでに非ステロイド系抗炎症薬,抗マラリア薬,ジアフェニルスルホン,サリドマイドなど,いくつかの戦略が用いられて,それなりの成果を残している。
コルチコステロイド(1~2mg/kg,経口または静注,1日1回)および他の免疫抑制薬または化学療法薬が進行性の症状または全身性疾患の徴候を示す患者の治療に用いられている。
脂肪織炎の要点
脂肪織炎の原因は多彩である。
脂肪織炎は臨床的評価(圧痛を伴う赤みのある皮下結節の存在など)により診断し,切除または切開生検により診断を確定する。
脂肪織炎の治療は支持療法であり,特に症状が重度の場合は,抗炎症薬または免疫抑制薬による治療を考慮する。