皮膚悪性腫瘍の概要

執筆者:Gregory L. Wells, MD, Ada West Dermatology and Dermatopathology
レビュー/改訂 2020年 12月
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皮膚悪性腫瘍は最も頻度の高い悪性腫瘍であり,一般的には露光部の皮膚に生じる。その発生率は戸外労働者,スポーツ愛好者,および日光浴愛好者で高く,皮膚のメラニン色素量と反比例し,皮膚の色の薄い人々が最も罹患しやすい。皮膚悪性腫瘍はまた,治療目的のX線照射または発がん物質への曝露(例,ヒ素の摂取)から何年も経過して発生することもある。

米国では毎年,330万人を超える人々で,のべ540万例を超える皮膚悪性腫瘍の新規症例が診断されている。(The Skin Cancer Foundationを参照のこと。)

皮膚悪性腫瘍の組織型で最も頻度が高いのは以下のものである:

皮膚悪性腫瘍の組織型で比較的頻度が低いのは以下のものである:

ボーエン病は表在性の有棘細胞癌である。ケラトアカントーマは高分化型の有棘細胞癌である可能性がある。

皮膚悪性腫瘍は当初は無症状のことが多い。最も頻度の高い臨床像は,消退しない不整な紅色または色素性病変である。拡大しているように見える病変は,圧痛,軽度の炎症,痂皮形成,偶発的な出血の有無を問わず,全て生検すべきである。早期に治療すれば,大半の皮膚悪性腫瘍は治癒を望める。

パール&ピットフォール

  • 外観が悪性腫瘍に典型的なものかどうかを問わず,拡大する病変や予想より遷延する皮膚病変には全て生検を行う。

スクリーニング

一部には皮膚悪性腫瘍のスクリーニングを目的とする診察と自己検診を支持している専門家団体もあるが,US Preventive Services Task Forceによる検討では,これを支持するのに十分なエビデンスは見出されなかった。(US Preventive Services Task Forceによる皮膚悪性腫瘍のスクリーニングおよび皮膚悪性腫瘍に関するカウンセリングについての推奨の要約も参照のこと。)

予防

多くの皮膚悪性腫瘍に紫外線曝露が関連しているとみられるため,曝露を抑えるためのいくつかの対策が推奨される。

  • 日光の回避:普段から日陰にいるようにし,午前10時から午後4時まで(日光が最も強い時間帯)の戸外活動を最小限とし,日光浴や日焼けマシーンの使用を控える

  • 防護用の衣服の着用:長袖シャツ,ズボン,つばの広い帽子

  • サンスクリーン剤の使用:UVA/UVBに対する広域の防御効果がある紫外線防御指数(SPF)30以上のものを指示通りに使用する(すなわち,2時間毎および水泳後または発汗後に塗布し直す);日光曝露の時間を延長させるために使用すべきではない

これらの対策で黒色腫の発生率や死亡率が低下するかどうかを判断するには,現状のエビデンスでは不十分であるが,非黒色腫皮膚がん(基底細胞癌有棘細胞癌)においては,紫外線防御を行うことで新たな悪性腫瘍の発生を着実に減少させる。

皮膚悪性腫瘍についてのより詳細な情報

以下の英語の資料が有用であろう。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. The Skin Cancer Foundation: Information about skin cancer facts and statistics

  2. The US Preventive Services Task Force Recommendations for Skin Cancer: Counseling

  3. The US Preventive Services Task Force Recommendations for Skin Cancer: Screening

  4. 米国皮膚科学会皮膚悪性腫瘍情報センター Consumer-friendly information about finding, treating, and raising awareness for skin cancers

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