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尋常性ざ瘡

(にきび)

執筆者:

Jonette E. Keri

, MD, PhD, University of Miami, Miller School of Medicine

レビュー/改訂 2020年 7月
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尋常性ざ瘡は,毛包脂腺系(毛包とそれに付属する皮脂腺)の閉塞および炎症の結果として,面皰,丘疹,膿疱,結節,嚢腫などが形成される病態である。ざ瘡は顔面および体幹上部に生じる。青年期に最も多くみられる。診断は診察による。治療には重症度に応じて,皮脂産生,面皰形成,炎症,および細菌増殖を抑制すると同時に角化を正常化させることを目的とした,多岐にわたる外用薬および全身薬を使用することができる。

米国では,ざ瘡は最も頻度の高い皮膚疾患であり,全人口の80%が生涯のいずれかの時点で罹患する。

尋常性ざ瘡の病態生理

ざ瘡は以下に示す4つの主要因子の相互作用によって発生する:

  • 過剰な皮脂産生

  • 皮脂および角化細胞による毛包の閉塞

  • ヒトに常在する嫌気性菌であるCutibacterium acnes(以前のPropionibacterium acnes)の毛包への定着

  • 複数の炎症メディエーターの放出

ざ瘡は以下のように分類できる:

  • 非炎症性:面皰を特徴とする:

  • 炎症性:丘疹,膿疱,結節,および嚢腫を特徴とする:

非炎症性ざ瘡

面皰とは,毛包内に皮脂の栓が詰まった状態である。面皰は,皮膚表面で毛包が開いているか閉じているかによって,開放面皰または閉鎖面皰と呼ばれる。皮脂の栓は開放面皰からは容易に圧出できるが,閉鎖面皰から除去することは比較的困難である。閉鎖面皰は炎症性ざ瘡の前駆病変である。

炎症性ざ瘡

丘疹と膿疱は,C. acnesが閉鎖面皰に定着して,皮脂を遊離脂肪酸に分解し,その脂肪酸が毛包上皮を刺激する結果,好中球,次いでリンパ球による炎症反応が惹起され,それにより上皮がさらに傷害されることによって生じる。炎症を起こした毛包は真皮側に破裂し(ときに物理的操作または過度の擦過によって誘発される),そこで面皰の内容物により局所的な炎症反応がさらに引き起こされ,丘疹が形成される。炎症が激しい場合は,肉眼的に膿を伴った膿疱が生じる。

結節と嚢腫は,炎症性ざ瘡の別の臨床像である。結節は複数の毛包を含むことのある深い病変であり,嚢腫は波動を呈する大きな結節である。

尋常性ざ瘡の病因

最も頻度の高い誘因は以下のものである:

  • 思春期

思春期になると,アンドロゲン分泌の急激な増加により皮脂産生が刺激され,角化細胞の過剰増殖が生じる。

その他の誘因としては以下のものがある:

  • 妊娠または月経周期に伴って生じるホルモン分泌の変化

  • 毛包を閉塞する化粧品,洗浄剤,ローション,および衣服

  • 高い湿度および発汗

ざ瘡の増悪と不十分な洗顔,自慰,および性交との間に関連は認められない。脱脂乳製品および高糖質食との関連を示唆した研究もある。日光には抗炎症作用があるため,ざ瘡は夏季に軽減することがある。ざ瘡と高インスリン血症の関連も示唆されているが,これにはさらなる検討が必要である。一部の薬剤(例,コルチコステロイド,リチウム,フェニトイン,イソニアジド)は,ざ瘡を悪化させたり,ざ瘡様発疹を引き起こしたりする。

尋常性ざ瘡の症状と徴候

皮膚病変と瘢痕は,大きな精神的苦痛の原因となることがある。結節および嚢腫は疼痛を伴うことがある。個々の段階では各種の病変が併存する。

面皰は白色面皰または黒色面皰として出現する。白色面皰(閉鎖面皰)は,皮膚常色または白色調の直径1~3mmの触知可能な病変であり,黒色面皰(開放面皰)は,外観は白色面皰と似ているが,中心に黒点がある。

ざ瘡の臨床像

丘疹および膿疱は直径2~5mmの赤色病変である。丘疹は比較的深い病変である。膿疱は丘疹よりも浅い病変である。

集簇性ざ瘡(acne conglobata)は,尋常性ざ瘡の最重症の病型であり,女性より男性に多くみられる。膿瘍,排膿を伴う瘻孔,瘻孔を形成した面皰,ならびにケロイド様および萎縮性瘢痕が生じる。背部および胸部が重度に侵される。上肢,腹部,殿部,さらには頭皮まで侵されることがある。

電撃性ざ瘡(acne fulminans)は,発熱を伴って急性発症する潰瘍性のざ瘡で,融合した膿瘍が突然出現して出血性壊死に至るのが特徴である。白血球増多,関節痛,および関節腫脹も生じることがある。

顔面膿皮症(電撃性酒さ[rosacea fulminans]とも呼ばれる)は,若年女性の顔面中央に突然出現する。電撃性ざ瘡に類似することがある。発疹は紅色局面と膿疱で構成され,下顎,頬部,および前額部に生じる。丘疹と結節が生じて融合することもある。

尋常性ざ瘡の診断

  • 寄与因子(例,ホルモン性,機械的,または薬物関連性)に関する評価

  • 重症度(軽症,中等症,重症)の判定

  • 心理社会的影響の評価

尋常性ざ瘡の診断は診察による。

鑑別診断には, 酒さ 症状と徴候 酒さは,顔面紅潮,毛細血管拡張,紅斑,丘疹,および膿疱と重症例でみられる鼻瘤を特徴とする慢性炎症性疾患である。診断は特徴的な外観および病歴に基づく。治療は重症度に応じて異なり,メトロニダゾールの外用,抗菌薬の外用および内服,イベルメクチンの外用,まれにイソトレチノイン,重度の鼻瘤に対する手術などがある。... さらに読む 症状と徴候 (面皰はみられない),ステロイドざ瘡(面皰はなく,膿疱は通常同じ発生段階にある), 口囲皮膚炎 口囲皮膚炎 口囲皮膚炎は,丘疹膿疱性の発疹を主体とする顔面の紅斑性皮疹で, ざ瘡や 酒さに類似するが,典型例では口の周辺から始まる。診断は病変の外観による。治療法としては,原因の回避や抗菌薬の外用のほか,ときに抗菌薬の内服などがある。 口囲皮膚炎については,外用コルチコステロイドや水および歯磨剤に含まれるフッ素に対する曝露をはじめとして,様々な原因が... さらに読む 口囲皮膚炎 (通常は口周囲および眼周囲に分布する),ざ瘡型薬疹などがある( Professional.see table 薬物反応の種類と典型的な原因薬剤 薬物反応の種類と典型的な原因薬剤 薬物反応の種類と典型的な原因薬剤 )。ざ瘡の重症度は,病変の数および種類に基づいて軽症,中等症,重症に分類される,標準化された分類法の一例の概要を表 ざ瘡の重症度分類 ざ瘡の重症度分類 ざ瘡の重症度分類 に示す。

尋常性ざ瘡の予後

重症度を問わず,ざ瘡は通常20代の前半から半ばまでに自然消退するが,比較的少数ながらかなりの数の患者(通常は女性)で40代までざ瘡が残り,そのような患者では,妊娠可能年齢であるために,治療法の選択肢が制限される場合がある。多くの成人では,ときおり孤立性に軽症のざ瘡病変が生じる。非炎症性ざ瘡と軽症の炎症性ざ瘡は,通常は瘢痕を残すことなく治癒する。中等症から重症の炎症性ざ瘡も治癒するが,しばしば瘢痕を残す。瘢痕の影響は身体的なものだけではなく,ざ瘡は青年にとって大きな精神的ストレスになることがあり,ざ瘡を難しい人間関係への対処を避ける言い訳にして引きこもる青年もいる。重症例では,患者および親に対する支持的なカウンセリングが適応となることもある。

尋常性ざ瘡の治療

  • 面皰:トレチノインの外用

  • 軽症の炎症性ざ瘡:レチノイド単剤の外用,あるいはレチノイド + 抗菌薬,過酸化ベンゾイル,またはその両方の外用

  • 中等症のざ瘡:抗菌薬の内服 + 軽症のざ瘡と同様の外用療法

  • 重症のざ瘡:イソトレチノインの内服

  • 嚢腫性ざ瘡:トリアムシノロンの病変内注射

ざ瘡は病変の進展,瘢痕化,および心理的苦痛の軽減を目的として治療することが重要である。

ざ瘡の治療では,皮脂産生,面皰形成,炎症,および細菌数を抑制し,角化を正常化させることを目的として,多岐にわたる外用薬および全身薬を使用する( Professional.see figure ざ瘡治療における様々な薬剤の作用機序 ざ瘡治療における様々な薬剤の作用機序 ざ瘡治療における様々な薬剤の作用機序 )。一般に治療法は重症度に従って選択するが,具体的な選択肢を ざ瘡治療に使用される薬剤 ざ瘡治療に使用される薬剤 ざ瘡治療に使用される薬剤 の表に要約する。American Academy of Dermatologyのguidelines of care for the management of acne vulgarisも参照のこと。

患部は毎日洗浄すべきであるが,洗浄回数を必要以上に増やしたり,抗菌石鹸を使用したり,こすったりしても,効果が増すわけではない。

青年期の治療抵抗性のざ瘡では,糖質の少ない食事と脱脂乳摂取の適度な制限を考慮することもある。

イオウ,サリチル酸,グリコール酸,レゾルシノールといったケミカルピーリング用の薬剤は,治療の補助として有用となりうるが,もはやあまり使用されていない。

経口避妊薬は炎症性および非炎症性ざ瘡の治療に効果的であり,またスピロノラクトン(50mg,経口,1日1回で開始し,必要に応じて,数カ月後に100~150mg[最大200mg],経口,1日1回に増量する)も,女性でときに有用となるもう一つの抗アンドロゲン薬である。主に炎症性ざ瘡を対象として,様々な光線療法が単独または外用光感受性物質との併用で効果的に用いられている。

治療には患者の教育と治療計画を患者にとって現実的なものに個別化することを含めるべきである。治療の失敗は治療計画の遵守不足,またフォローアップの不足によることが多い。専門医へのコンサルテーションが必要になる場合もある。

ざ瘡治療における様々な薬剤の作用機序

ざ瘡治療における様々な薬剤の作用機序

軽症のざ瘡

軽症のざ瘡に対する治療は,6週間または病変に反応がみられるまで継続すべきである。病変のコントロールを維持するために維持療法が必要になることもある。

面皰が主体のざ瘡には,一般に単剤療法で十分である。面皰に対する治療の中心は,忍容性に応じた連日のトレチノインの外用である。トレチノインの外用に耐えられない患者には,代替法として,アダパレンゲル,タザロテンクリームまたはゲル,アゼライン酸クリーム,およびグリコール酸またはサリチル酸の連日の外用がある。有害作用には,紅斑,灼熱感,チクチク感,皮膚の剥離などがある。アダパレンおよびタザロテンはレチノイドであり,トレチノインと同様,いくらかの刺激性があり,光感作を引き起こす傾向がある。アゼライン酸は,レチノイドとは異なる機序で面皰を消失させる作用と抗菌作用を有し,レチノイドと相乗効果を示す可能性がある。

軽症で丘疹と膿疱が主体の(炎症性)ざ瘡の治療には,2剤併用療法(例,トレチノインと過酸化ベンゾイル,外用抗菌薬,またはこの両方との併用)を用いるべきである。外用抗菌薬は通常,エリスロマイシンまたはクリンダマイシンとする。過酸化ベンゾイルとこれらの抗菌薬を併用することで,耐性菌出現の抑制に役立つ可能性がある。トレチノインの代わりに,あるいはトレチノインに加えて,グリコール酸を使用してもよいが,グリコール酸はもはや一般的には用いられていない。これらの治療のいずれも,皮膚の乾燥および刺激性を除けば(過酸化ベンゾイルでまれにアレルギー反応),有意な有害作用はない。

外用療法で効果が得られない患者では,面皰圧出器を用いた面皰の物理的圧出という選択肢がある。面皰圧出は,医師,看護師,または医師助手(physician assistant)が行うことができる。面皰圧出器の一方の先端には,閉鎖面皰を穿刺する刃または銃剣状の構造がある。もう一方の先端で圧迫を加えて面皰を圧出する。

経口抗菌薬(例,テトラサイクリン,ミノサイクリン,ドキシサイクリン,エリスロマイシン)は,病変の分布が広範なために外用療法が実際的でない場合に使用することができる。

中等症のざ瘡

中等症のざ瘡には,抗菌薬による経口全身療法が最善の治療法である。ざ瘡に効果的な抗菌薬としては,テトラサイクリン,ミノサイクリン,エリスロマイシン,ドキシサイクリン,サレサイクリン(sarecycline)などがある。十分な効果を得るには12週以上を要する。

軽症のざ瘡と同様の外用療法を通常は経口抗菌薬と併用する。

ドキシサイクリンとミノサイクリンが第1選択の薬剤であり,ともに食後の内服が可能である。テトラサイクリンも第1選択となりうるが,食後の内服ができず,ドキシサイクリンやミノサイクリンと比べると効力が劣る可能性がある。ドキシサイクリンとミノサイクリンの用法・用量は50~100mg,経口,1日2回である。ドキシサイクリンは光線過敏症を引き起こす可能性があり,ミノサイクリンは長期使用すると有害作用(薬剤性ループスや色素沈着など)の頻度が増加する可能性がある。テトラサイクリンの用法・用量は250mgまたは500mg,経口,1日2回,食間である。病勢コントロールの達成後(通常は2~3カ月)に抗菌薬耐性が発生する可能性を低下させるため,コントロールを維持できる範囲内で用量を最大限漸減する。サレサイクリン(sarecycline)は新しいテトラサイクリン系抗菌薬である。用量は体重に基づき,33~54kgは60mg,経口,1日1回;55~84kgは100mg,経口,1日1回;85~136kgは150mg,経口,1日1回である。外用療法で病勢のコントロールを維持できている場合は,抗菌薬の内服を中止してもよい。

その他の選択肢としてエリスロマイシンとアジスロマイシンがあるが,消化管に対して有害作用を示す可能性があり,抗菌薬耐性の頻度が高い。トリメトプリム/スルファメトキサゾールを使用する医師もいるが,抗菌薬耐性が発生する可能性があり,またこの組合せによりまれな薬物有害反応が生じる可能性もある。

抗菌薬を長期使用していると,鼻周囲と顔面中央部にグラム陰性菌による膿疱性毛包炎が生じることがある。このまれな重複感染症は,治療困難になることがあり,抗菌薬の内服を中断してイソトレチノインの内服で治療するのが最善である。グラム陰性菌が惹起した毛包炎に対する別の治療法は,アンピシリンの投与である。女性では,抗菌薬を長期使用するとカンジダ腟炎を起こすことがあるため,局所および全身療法でざ瘡を根治できない場合は,ざ瘡に対する抗菌薬療法は中止しなければならない。

患者が女性で抗菌薬の内服で反応が得られない場合は,経口抗アンドロゲン薬(経口避妊薬および/またはスピロノラクトン)の試験的投与を考慮してもよい。

重症のざ瘡

抗菌薬が奏効しない中等症のざ瘡患者と重症の炎症性ざ瘡患者では,イソトレチノインの内服が最善の治療法である。イソトレチノインの用量は通常1mg/kg,1日1回,16~20週間であるが,2mg/kg,1日1回まで増量してもよい。有害作用のためにこの用量に耐えられない場合は,0.5mg/kg,1日1回まで減量してもよい。治療の終了後も,ざ瘡が改善し続けることがある。

大半の患者では2コース目の治療は不要であるが,必要な場合は,4カ月間中止してから,あるいは重症例では例外的により早期に再開する。初回治療が低用量(0.5mg/kg)の場合には,再治療が必要になる可能性が高い。この用量(欧州では非常に頻用されている)では,有害作用は少なくなるものの,通常は長期の治療が必要になる。累積的な投与が支持されてきており,総用量が120~150mg/kgの場合に再発率の低下が認められたが,累積用量としてより高い220mg/kgを提唱する専門家もいる(2 治療に関する参考文献 尋常性ざ瘡は,毛包脂腺系(毛包とそれに付属する皮脂腺)の閉塞および炎症の結果として,面皰,丘疹,膿疱,結節,嚢腫などが形成される病態である。ざ瘡は顔面および体幹上部に生じる。青年期に最も多くみられる。診断は診察による。治療には重症度に応じて,皮脂産生,面皰形成,炎症,および細菌増殖を抑制すると同時に角化を正常化させることを目的とした,多岐... さらに読む 治療に関する参考文献 )。

イソトレチノインはほぼ常に効果的であるが,結膜および性器粘膜の乾燥,口唇の荒れ,関節痛,抑うつ,脂質値の上昇,妊娠中に投与した場合の先天異常のリスクといった有害作用があるため,使用は制限される。粘膜および皮膚の乾燥は通常,水分補給後にワセリンを塗布することで軽減できる。関節痛(主に大関節または腰部)は約15%の患者に発生する。抑うつおよび自殺のリスク増大が大々的に喧伝されているが,おそらくまれである。炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎)の発症または悪化リスクとイソトレチノインの使用との関連を示唆する報告があるが,現時点ではそのような関連がある可能性は低いようである(3 治療に関する参考文献 尋常性ざ瘡は,毛包脂腺系(毛包とそれに付属する皮脂腺)の閉塞および炎症の結果として,面皰,丘疹,膿疱,結節,嚢腫などが形成される病態である。ざ瘡は顔面および体幹上部に生じる。青年期に最も多くみられる。診断は診察による。治療には重症度に応じて,皮脂産生,面皰形成,炎症,および細菌増殖を抑制すると同時に角化を正常化させることを目的とした,多岐... さらに読む 治療に関する参考文献 )。

治療開始前に血算,肝機能検査,トリグリセリドおよびコレステロール値の測定を行うべきである。各検査項目は4週時点でも再評価し,そこで異常がなければ治療終了時まで再検査は必要ない。薬剤の使用中止を要するほどのトリグリセリド値の上昇はまれである。肝機能に影響が出ることはほとんどない。イソトレチノインには催奇形性があるため,妊娠可能年齢の女性には,治療前の1カ月間,治療中,さらに治療中止後も少なくとも1カ月間にわたり,2種類の避妊法を実践する必要があることを伝える。治療開始前および治療終了後1カ月目までは,1カ月毎に妊娠検査を行うべきである。

嚢腫性ざ瘡

硬い(嚢腫性)ざ瘡があり,速やかな臨床的改善と瘢痕化の軽減を希望する患者に対しては,2.5mg/mLトリアムシノロンアセトニド懸濁液(10mg/mL懸濁液を希釈する必要がある)0.1mLの病変内注射が適応となる。局所的に萎縮が生じることがあるが,通常は一過性である。非常にブヨブヨした孤立性の病変に対しては,しばしば切開排膿が有益であるが,瘢痕を残すことがある。

その他の病型のざ瘡

顔面膿皮症は,コルチコステロイドおよびイソトレチノインの内服により治療する。

電撃性ざ瘡は,一般的にコルチコステロイドの内服と抗菌薬の全身投与により治療される。

集簇性ざ瘡は,重症の場合と抗菌薬の全身投与が無効に終わった場合,イソトレチノインの内服とコルチコステロイドの全身投与により治療する。

内分泌異常(例,多嚢胞性卵巣症候群,女性の男性化副腎腫瘍)によるざ瘡については,抗アンドロゲン薬の適応となる。スピロノラクトンには抗アンドロゲン作用がいくらかあり,ときに50~150mg(最大200mg),1日1回の経口投与で,ざ瘡治療に処方されることがある。欧州では酢酸シプロテロンが使用されている。他の方法が無効に終わった場合は,エストロゲン/プロゲステロンを含有する経口避妊薬を試みてもよいが,その効果を評価するには6カ月以上の治療が必要である。

瘢痕化

小さな瘢痕は,ケミカルピーリング,レーザー治療,または削皮術で治療できる。孤立性の深い瘢痕は切除してもよい。幅が広く浅い陥凹は,subcision法またはコラーゲンもしくはその他の充填剤の注入で治療できる。コラーゲン,ヒアルロン酸,ポリメタクリル酸メチルなどの充填剤は一時的なものであり,定期的に繰り返し使用する必要がある。

治療に関する参考文献

  • 1.Bienenfeld A, Nagler AR, Orlow SJ: Oral antibacterial therapy for acne vulgaris: An evidence-based review.Am J Clin Dermatol 18(4):469–490, 2017.doi: 10.1007/s40257-017-0267-z.

  • 2.Blasiak RC, Stamey CR, Burkhart CN, et al: High-dose isotretinoin treatment and the rate of retrial, relapse, and adverse effects in patients with acne vulgaris.JAMA Dermatol 149(12):1392–1398, 2013.doi: 10.1001/jamadermatol.2013.6746.

  • 3.Lee SY, Jamal MM, Nguyen ET, et al: Does exposure to isotretinoin increase the risk for the development of inflammatory bowel disease?A meta-analysis.Eur J Gastroenterol Hepatol 28(2):210–216, 2016. doi: 10.1097/MEG.0000000000000496.

尋常性ざ瘡についてのより詳細な情報

以下の英語の資料が有用であろう。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

尋常性ざ瘡の要点

  • 非炎症性ざ瘡は面皰を特徴とし,炎症性ざ瘡は丘疹,膿疱,結節,および嚢腫を特徴とする。

  • 軽症および中等症のざ瘡は通常,20代半ばまでに瘢痕化することなく治癒する。

  • 誘因(例,毛包を閉塞する化粧品および衣服,洗浄剤,ローション,高い湿度,一部の薬物および化学物質,おそらく脱脂乳または高糖質食の大量摂取)の回避を患者に推奨する。

  • ざ瘡による身体的影響のみならず,心理的影響についても考慮する。

  • 外用面皰改善薬(例,トレチノイン)に加えて,炎症性ざ瘡には,過酸化ベンゾイル,外用抗菌薬,またはその両方を処方する。

  • 中等症のざ瘡には経口抗菌薬を,重症のざ瘡には経口イソトレチノインを処方する。

  • 嚢腫性ざ瘡は,急性病変に対して必要に応じてトリアムシノロンの病変内注射により治療する。

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