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鼠径肉芽腫

(donovanosis)

執筆者:

Sheldon R. Morris

, MD, MPH, University of California San Diego

レビュー/改訂 2020年 12月
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鼠径肉芽腫は,Klebsiella(かつてのCalymmatobacterium)granulomatisによって引き起こされる,性器および会陰部皮膚のまれな進行性感染症である。この疾患は,緩徐に進行する隆起性で強い発赤を伴う無痛の皮膚病変を特徴とし,しばしば潰瘍化するが,所属リンパ節腫脹はまれである。診断は臨床基準および鏡検による。治療は抗菌薬により,通常はテトラサイクリン系,マクロライド系,またはトリメトプリム/スルファメトキサゾールを使用する。

K. granulomatisによる感染症は極めてまれであるが,パプアニューギニア,オーストラリア,南アフリカ,カリブ地域,ならびにブラジルおよびインドの一部といった地域で過去に報告されている。

鼠径肉芽腫の症状と徴候

感染部位は以下の通りである:

  • 男性では陰茎,陰嚢,鼠径部,および大腿

  • 女性では外陰,腟,および会陰

  • 肛門性交の受け側の患者の肛門および殿部

  • 男女とも顔面

約1~12週間の潜伏期に続いて,無痛性の赤い皮膚小結節がゆっくりと拡大して隆起し,強い発赤を伴い(beefy red),湿潤かつ平滑な,悪臭を伴う病変となる。この病変は緩徐に拡大し,しばしば潰瘍化して,他の皮膚領域に広がることもある。病変はゆっくり治癒し,瘢痕を残す。他の細菌による二次感染がよくみられ,広範な組織破壊に至る可能性がある。リンパ節腫脹はまれである。

ときに,鼠径肉芽腫が血流を介して骨,関節,または肝臓に広がることがあり,無治療では貧血や消耗を来して,まれに死亡することもある。

鼠径肉芽腫の画像

鼠径肉芽腫の診断

  • 病変から採取した液体中に,鏡検でDonovan小体を証明する

流行地域から来た,特徴的病変を有する患者では,鼠径肉芽腫が疑われる。

鼠径肉芽腫の診断は,病変部の縁から掻爬により採取した液の塗抹標本中にDonovan小体(ギムザまたはライト染色でマクロファージの細胞質内に見える多数の桿菌)を顕微鏡で確認することにより確定する。これらの塗抹標本には多数の形質細胞が含まれる。

診断が不明な場合,または病変の乾燥,硬化,もしくは壊死により十分な組織液を採取できない場合,生検標本が採取される。この細菌は普通の培地では培養できない。

鼠径肉芽腫の治療

  • 抗菌薬(各種)

多くの経口抗菌薬がこの細菌を死滅させるが,テトラサイクリン系,マクロライド系,およびトリメトプリム/スルファメトキサゾール(TMP-SMX)が最も効果的で,次いでセフトリアキソン,アミノグリコシド系,フルオロキノロン系,およびクロラムフェニコールがある。

推奨される経口レジメンとしては以下のものがある:

  • ドキシサイクリン100mg,1日2回,3週間

  • TMP/SMX 160/800mg,1日2回,3週間

  • エリスロマイシン500mg,1日4回,3週間

  • アジスロマイシン1g/週を3週間

抗菌薬の静注または筋注(例,セフトリアキソン)も選択肢の1つである。

治療に対する反応は7日以内にみられるはずであるが,広範囲に及ぶ症例では治癒が遅いことがあり,病変が再発することもあるため,その場合より長期の治療が必要となる。HIV感染患者にはより長期の,または集中的な治療が必要となることもある。治療が成功したと思われる場合は,その後6カ月にわたりフォローアップを継続すべきである。

現在のセックスパートナーは,診察を受け,感染している場合は治療を受けるべきである。

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