活性化プロテインC(APC)抵抗性第V因子

執筆者:Joel L. Moake, MD, Baylor College of Medicine
レビュー/改訂 2021年 1月
意見 同じトピックページ はこちら

第V因子の突然変異は,活性化プロテインCによる正常な分解および不活化に対する抵抗性を生じさせ,静脈血栓症の素因となる。

血栓性疾患の概要も参照のこと。)

活性化プロテインC(APC)は,プロテインSと結合して第Va因子および第VIIIa因子を分解し,それによって凝固を抑制する(血液凝固経路の図を参照)。第V因子に起こるいずれの変異もAPCによる不活化に対する抵抗性を生じさせ,血栓症への傾向を増大させる。

これらの変異の中で第V因子Leiden変異が最もよくみられる。ホモ接合体の変異は,ヘテロ接合体の変異よりも血栓症のリスクを高める。

血液凝固経路

単一遺伝子欠陥としての第V因子Leiden変異は,欧州人集団の約5%にみられるが,アジアまたはアフリカ系の集団ではまれである。「特発性」静脈血栓症の患者では20~60%にみられる。

APC抵抗性第V因子の診断

  • 血漿凝固試験

診断は以下に基づく:

  • 機能的な血漿凝固試験:第V因子Leiden変異があれば,患者血漿の希釈ラッセル蛇毒時間(dRVVT,機能が正常な第X因子及び第V因子に依存する)は,蛇毒によって活性化されたプロテインCの存在下で延長しない。

  • 第V因子遺伝子の解析

APC抵抗性第V因子の治療

  • 抗凝固療法

注射剤のヘパリンまたは低分子ヘパリンに続いて経口ワルファリンを投与する抗凝固療法は,静脈血栓症に対して,または血栓リスクが高い患者(例,不動状態,重度の外傷,手術により)の予防に使用される。

トロンビン(ダビガトラン)または第Xa因子(例,リバーロキサバン,アピキサバン)を阻害する直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)が本疾患に対してワルファリンの代わりにおそらく使用可能であるが,依然として確実ではない。

quizzes_lightbulb_red
Test your KnowledgeTake a Quiz!
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら!ANDROID iOS