(血栓性疾患の概要 血栓性疾患の概要 健常者では,凝固を促進する力と凝固を阻止する力および線維素を溶解する力との間で 恒常性が保たれている。多くの遺伝的因子,後天的因子,および環境因子により,凝固の方向にバランスが傾き,病的な血栓が静脈(例, 深部静脈血栓症[DVT]),動脈(例, 心筋梗塞, 虚血性脳卒中),または心腔内に形成されることがある。血栓は,形成された部位で血流閉... さらに読む も参照のこと。)
プロテインCは,第VII,第IX,および第X因子,プロトロンビン,ならびにプロテインSおよびZと同じようにビタミンK依存性タンパク質である。活性化プロテインC(APC)は,第Va因子および第VIIIa因子を分解するため,生来の血漿抗凝固因子となる。遺伝的または後天的異常によりプロテインCが減少すると, 静脈血栓症 深部静脈血栓症(DVT) 深部静脈血栓症(DVT)とは,四肢(通常は腓腹部または大腿部)または骨盤の深部静脈で血液が凝固する病態である。DVTは肺塞栓症の第1の原因である。DVTは,静脈還流を阻害する病態,内皮の損傷または機能不全を来す病態,または凝固亢進状態を引き起こす病態によって発生する。DVTは無症状の場合もあるが,四肢に疼痛および腫脹が生じる場合もあり,肺塞栓症が直接の合併症の1つである。診断は病歴聴取と身体診察で行われ,客観的検査法(典型的にはdupl... さらに読む が生じやすくなる。
ヘテロ接合体の血漿プロテインC欠乏症の有病率は0.2~0.5%である;この欠乏症の人の約75%に静脈血栓塞栓症が認められる(50歳までに50%)。
ホモ接合体または複合ヘテロ接合体の欠乏症では,新生児電撃性紫斑病,すなわち重度の新生児播種性血管内凝固症候群(DIC)がみられ,これは通常生後1日目に斑状出血ならびに静脈及び動脈の広範な血栓として現れる。
後天的なプロテインCの減少は,肝疾患または 播種性血管内凝固症候群(DIC) 播種性血管内凝固症候群(DIC) 播種性血管内凝固症候群(DIC)は,循環血中のトロンビンおよびフィブリンの異常な過剰生成に関係する。その過程で血小板凝集および凝固因子消費が亢進する。緩徐に(数週間または数カ月かけて)進行するDICでは,主に静脈の血栓性および塞栓性の症状がみられる;急速に(数時間または数日で)進行するDICでは,主に出血が生じる。重度で急速進行性のDICは,血小板減少症,部分トロンボプラスチン時間およびプロトロンビン時間の延長,血漿Dダイマー(または血... さらに読む の患者,およびワルファリン療法中にみられる。
診断は,プロテインCに関する血漿の抗原量測定および機能測定に基づく。
プロテインC欠乏症の治療
抗凝固療法
症状を伴う血栓症の患者には,ヘパリンまたは低分子ヘパリンに続いてワルファリンを投与する抗凝固療法が必要である。ビタミンK拮抗薬であるワルファリンを初期治療に用いると,ビタミンK依存性の凝固因子が治療域まで減少する前にビタミンK依存性のプロテインCの濃度が低下することにより,ときに血栓性の皮膚梗塞が引き起こされる。
トロンビン(ダビガトラン)または第Xa因子(例,リバーロキサバン,アピキサバン)を阻害する 直接作用型経口抗凝固薬(DOAC) 治療 健常者では,凝固を促進する力と凝固を阻止する力および線維素を溶解する力との間で 恒常性が保たれている。多くの遺伝的因子,後天的因子,および環境因子により,凝固の方向にバランスが傾き,病的な血栓が静脈(例, 深部静脈血栓症[DVT]),動脈(例, 心筋梗塞, 虚血性脳卒中),または心腔内に形成されることがある。血栓は,形成された部位で血流閉... さらに読む が本疾患に対してワルファリンの代わりにおそらく使用可能であるが,依然として確実ではない。
新生児電撃性紫斑病は,(正常血漿または精製濃縮物を用いた)プロテインC補充療法とともにヘパリンまたは低分子ヘパリンを用いた抗凝固療法を行わない限り致死的である。