POEMS症候群はおそらく, 形質細胞疾患 形質細胞疾患の概要 形質細胞疾患は,以下を特徴とする病因不明の多様な疾患群である: B細胞単一クローンの過剰な増殖 血清,尿,またはその両方に,構造的および電気泳動的に均一な(単クローン性)免疫グロブリンまたはポリペプチドのサブユニットの存在 (免疫グロブリンの構造的特徴および分類については, 抗体を参照のこと。)... さらに読む に起因する循環血液中の免疫グロブリンによって引き起こされる。循環血液中のサイトカイン(インターロイキン1-β,インターロイキン6),血管内皮増殖因子,および腫瘍壊死因子αも増加する。
患者には以下がみられる場合がある:
肝腫大
性腺機能低下症
形質細胞腫による単クローン性IgAおよびIgGの過剰産生
皮膚異常(例,色素沈着,皮膚肥厚,男性型多毛症,血管腫,多毛症)
破骨細胞による骨病変
単クローン性免疫グロブリン血症
POEMS症候群のその他の症候としては,浮腫,腹水,胸水,乳頭浮腫,および発熱などがある。POEMS症候群の患者の約15%がキャッスルマン病(リンパ増殖性疾患の一種であり,HIVまたはヒトヘルペスウイルス8型感染に関連する病型もある)を合併する。
病態生理が不明なその他の症候群と同様に,POEMS症候群は一連の症状および徴候に基づいて診断される。基準は,多発神経障害および単クローン性異常タンパク血症の存在に加え,本疾患のその他の症状のいずれか2つが認められることである。
POEMS症候群の治療
放射線療法
化学療法と造血幹細胞移植の併用または化学療法単独
POEMS症候群の治療では,骨病変または骨髄病変に対して放射線療法または化学療法を行い,ときにそれに続いて自家 造血幹細胞移植 造血幹細胞移植 造血幹細胞(HSC)移植は,造血器悪性腫瘍( 白血病, リンパ腫, 骨髄腫)および他の血液疾患(例,原発性免疫不全症, 再生不良性貧血, 骨髄異形成)で治癒をもたらす可能性がある手技で,急速に発展しつつある。造血幹細胞移植は,ときに化学療法に反応する固形腫瘍(例,一部の胚細胞腫瘍)に用いられることもある。( 移植の概要も参照のこと。) 造血幹細胞移植は,以下の機序によって寛解に導く:... さらに読む を行う(1 治療に関する参考文献 POEMS(多発神経障害[polyneuropathy],臓器腫大[organomegaly],内分泌障害[endocrinopathy],単クローン性免疫グロブリン血症[monoclonal gammopathy],皮膚変化[skin changes])は非自己免疫性の多腺性機能不全症候群である。 POEMS症候群はおそらく, 形質細胞疾患に起因する循環血液中の免疫グロブリンによって引き起こされる。循環血液中のサイトカイン(インターロ... さらに読む )。5年生存率は約60%である。
治療に関する参考文献
1.Dispenzieri A: POEMS syndrome: 2017 update on diagnosis, risk-stratification, and management.Am J Hematol 92:814–829, 2017.doi: 10.1002/ajh.24802