気分障害は,長期間にわたる過度の悲しみ,過度の喜び,またはその両方から成る情動の障害である。気分障害は小児や青年でも発症することがある(小児および青年における抑うつ障害 小児および青年における抑うつ障害 抑うつ障害は,機能の障害やかなりの苦悩を発生させるほど重度または持続的な悲しみまたは易怒性を特徴とする。診断は病歴および診察による。治療は,抗うつ薬,支持療法および認知行動療法,またはこれらの治療法の組合せによる。 (成人における 抑うつ障害群の考察も参照のこと。) 小児および青年の抑うつ障害としては以下のものがある:... さらに読む ならびに 小児および青年における双極性障害 小児および青年における双極性障害 双極性障害は,躁状態,抑うつ状態,正常な気分状態の期間が交互に出現することによって特徴づけられ,さらにそれぞれが1回につき数週間から数カ月間継続する障害である。診断は臨床基準に基づく。治療は気分安定薬(例,リチウム,ある種の抗てんかん薬,抗精神病薬),精神療法,および抗うつ薬の併用である。... さらに読む を参照)。
気分障害は以下のように分類される:
不安症および関連症群 不安症の概要 恐怖や不安は誰もが日常的に経験するものである。 恐怖とは,直ちに認識可能な外部からの脅威(例,侵入者,凍結した路面でスピンする車)に対する情動的,身体的,および行動的な反応である。 不安とは,神経過敏や心配事による苦痛で不快な感情状態であり,その原因はあまり明確ではない。脅威が生じる厳密な時期と不安との間に強い結びつきはなく,不安は脅威の... さらに読む は,気分障害には分類されないが,気分に影響を及ぼす。
悲しみや喜び(高揚感)といった気分の変化は日常生活の一部である。悲しみは挫折,失望,および他の落胆する状況に対する普遍的な反応である。喜びは成功,達成,および他の励みとなる状況に対する普遍的な反応である。悲嘆は悲しみの一形態であり,喪失に対する正常な情動反応と考えられる。死別反応とは,愛する者の死に対する情動反応を具体的に指す用語である。
気分障害は,悲しみまたは高揚が過度に強く,持続的であり,悲しみまたは高揚以外にも気分障害の症状を一定数以上伴い,かつ患者の機能を著しく障害している場合に診断される。この場合,強い悲しみをうつ病,強い高揚感を躁病と呼ぶ。抑うつ障害群はうつ病を特徴とし,双極性障害群はうつ病と躁病の様々な組合せを特徴とする。
気分障害における自殺
抑うつ障害患者における 自殺 自殺行動 自殺行動には自殺既遂と自殺企図が含まれる。自殺を想像する,自殺について真剣に考える,または自殺を計画することは,自殺念慮と呼ばれる。 (American Psychiatric Association’s Practice Guideline for the Assessment... さらに読む の生涯リスクは,2~15%であり,疾患の重症度に依存している。以下の状況では自殺リスクがさらに増加する:
治療開始時で,精神運動活動が正常に戻りつつあるが,気分はなお暗いままの場合
個人的に重要な記念日
飲酒 アルコール使用障害とリハビリテーション アルコール使用障害では,飲酒のパターンが生じ,典型的には渇望と耐性(tolerance)の症状および/または心理社会的な悪影響のある離脱症状が伴う。アルコール依存症およびアルコール乱用は一般的であるが,あまり厳密に定義されていない用語であり,アルコール関連の問題を有する人に適用される。... さらに読む および 物質使用 物質使用障害 物質使用障害は 物質関連障害の一種であり,物質の使用に関連する重大な問題を体験しているにもかかわらず,患者がその物質を使用し続ける病的な行動パターンを伴う。脳内神経回路の変化などの生理学的臨床像が認められることもある。 関わる物質は多くの場合, 一般的に物質関連障害を引き起こす10の薬物クラスに含まれるものである。このような物質はいずれも... さらに読む を伴う場合
自殺企図(特に暴力的な方法を用いた場合)の後の数週間から数カ月間
気分障害のその他の合併症
気分障害のその他の合併症としては以下のものがある:
社会的機能,社会的交流の維持,および日常活動への参加における軽度から完全な不能に至るまでの障害
食物摂取の障害