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遺伝性ニューロパチー

執筆者:

Michael Rubin

, MDCM, New York Presbyterian Hospital-Cornell Medical Center

レビュー/改訂 2020年 12月
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遺伝性ニューロパチーには,先天性に生じる様々な変性性末梢神経障害(例,シャルコー-マリー-トゥース病)がある。

遺伝性ニューロパチーは以下のように分類される:

遺伝性ニューロパチーは,原発性のものもあれば, レフサム病 古典的レフサム病 ペルオキシソームは,β酸化に必要な酵素類を含む細胞内小器官である。これらの酵素はミトコンドリアのものと機能がほぼ重複しているが,ミトコンドリアには20~26の炭素鎖をもつ極長鎖脂肪酸の代謝酵素が存在しないという点が異なっている。そのため,ペルオキシソーム病は一般に極長鎖脂肪酸の高値を伴って発症する(肢根型点状軟骨異形成症およびレフサム病は除く)。これらの疾患のスクリーニングに極長鎖脂肪酸値が役立つ可能性があるが,他の検査(例,血漿中のフ... さらに読む ポルフィリン症 ポルフィリン症の概要 ポルフィリン症は,ヘム生合成経路における遺伝的または後天的な酵素欠損によりヘモグロビンの代謝に異常が生じるまれな疾患である。これらの欠損によりヘム前駆体が蓄積し,毒性が生じる。ポルフィリン症はどの酵素が欠損しているかによって定義される。主な臨床像は,内臓神経異常(急性ポルフィリン症)と皮膚光線過敏症(皮膚ポルフィリン症)の2つである。... さらに読む ファブリー病 ファブリー病 ファブリー病は,αガラクトシダーゼAの欠損に起因する スフィンゴリピドーシス(遺伝性代謝疾患の1つ)で,被角血管腫,四肢末端の異常感覚,角膜混濁,反復性の発熱発作,および腎または心不全を引き起こす。 詳細については, 主なスフィンゴリピドーシスの表を参照のこと。 遺伝性代謝疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。 ファブリー病は,トリヘキソシルセラミドの正常な異化に必要なライソゾーム酵素であるα-ガラクトシダーゼAの... さらに読む ファブリー病 など,他の遺伝性疾患に続発するものもある。

運動・感覚性ニューロパチー

運動・感覚性ニューロパチーには3つの主要な病型(CMT1,CMT2,CMT3)があり,いずれも小児期に始まる。比較的頻度の低い一部の病型は出生時に始まり,より重度の能力障害を来す。

CMT1およびCMT2(シャルコー-マリー-トゥース病の亜型,腓骨部筋萎縮症とも呼ばれる)は,最も頻度の高い病型であり,通常は常染色体優性遺伝疾患であるが,劣性またはX連鎖性の場合もある。CMT1は,17番染色体短腕に位置するPMP22(peripheral myelin protein-22)遺伝子の重複(コピー数の増加)によって生じ,これがCMT1症例の70~80%を占める。

CMT1およびCMT2は,筋力低下と筋萎縮(特に腓骨筋および下肢遠位筋)を特徴とする。患者はしばしば神経障害の家族歴をもつ。自然経過は様々である:無症状で(神経伝導検査における)伝導速度の遅延しか認めない患者もいる一方,より重症の患者もいる。

CMT1患者は,小児期半ばに下垂足および緩徐進行性の遠位筋萎縮を生じ,コウノトリ様脚変形を来して受診することがある。両手の内在筋萎縮は後から起こる。振動覚,痛覚,および温度覚が手袋靴下型に減弱する。深部腱反射も消失する。家系内の保因者においては,高い足底弓または槌趾が唯一の徴候である場合がある。神経伝導速度は遅延し,遠位潜時が長くなる。節性脱髄および再髄鞘化が生じる。肥厚した末梢神経を触診できることがある。疾患は緩徐に進行し,寿命に影響を及ぼすことはない。ある亜型では,男性は重度の症状を呈する一方,女性は症状が軽度であるか罹患しない。

CMT2の遺伝学的性質はよくわかっていない。この病型はCMT全症例の約25%を占める;病原性変異が同定されている患者はごく少数(おそらく25%)に過ぎず,多くの亜型がある。CMT2AはCMT2の最も頻度の高い表現型であり,ミトコンドリア融合タンパク質のミトフシン2をコードする遺伝子(MFN2)の変異に起因することが最も多い。CMT2Aは通常,常染色体優性遺伝疾患であり,軸索型である。緩徐に進行し,筋力低下は通常中年期以降に生じる。神経伝導速度は比較的正常であるが,感覚神経活動電位および複合筋活動電位の振幅は小さい。生検では軸索(ワーラー)変性を認める。

CMT3(Dejerine-Sottas病としても知られる)は,ミエリン形成減少を伴うまれな先天性の神経障害であり,PMP22MPZEGR2などいくつかの遺伝子に変異がみられる常染色体優性または劣性遺伝疾患として生じる。小児期に進行性の筋力低下および感覚消失ならびに深部腱反射消失で発症する。最初はシャルコー-マリー-トゥース病に類似するが,筋力低下がより急速に進行する。脱髄および再髄鞘化が生じ,肥大した末梢神経およびオニオンバルブが神経生検により認められる。

感覚・自律神経性ニューロパチー

遺伝性ニューロパチーの診断

  • 臨床的評価

  • 電気診断検査

遺伝性ニューロパチーは筋力低下の特徴的な分布,足の変形,および家族歴から示唆され,診断は電気診断検査により確認すべきである。

遺伝子解析が利用できる。

遺伝性ニューロパチーの治療

  • 支持療法

装具の使用は下垂足の矯正に有用である;足を安定させる整形外科手術も有用なことがある。

理学療法(筋力を強化する)および作業療法が役立つ可能性がある;疾患が進行しても職業的技術を維持できるよう若年患者を準備させるために,職業カウンセリングが役立つ可能性がある。

遺伝性ニューロパチーの要点

  • 遺伝性ニューロパチーの病変部位は,運動および感覚神経,感覚神経,感覚および自律神経,または運動神経のみのいずれかである。

  • 運動・感覚性ニューロパチーには3つの主要な病型があり,型によって重症度と進行速度が異なるが,ほぼ全例が小児期に始まる。

  • 下垂足の矯正のために装具を使用し,機能を維持するために理学療法および作業療法を勧める;ときに整形外科手術が必要になる。

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