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アイザックス症候群

(ニューロミオトニア)

執筆者:

Michael Rubin

, MDCM, New York Presbyterian Hospital-Cornell Medical Center

レビュー/改訂 2020年 12月
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アイザックス症候群は,持続的な筋攣縮(ミオキミア)を含む神経筋症状を引き起こす自己免疫性末梢神経障害である。

アイザックス症候群(ニューロミオトニア)は,自己免疫性のperipheral nerve hyperexcitability syndromeの一種であり,一般に電位依存性カリウムチャネルの疾患(イオンチャネル病)と考えられており,ときに 腫瘍随伴症候群 腫瘍随伴症候群 腫瘍随伴症候群とは,腫瘍またはその転移巣から離れた部位で生じる症状である。 発生機序は依然として明らかにされていないが,これらの症状は,腫瘍から分泌される物質によって二次的に発生したり,腫瘍を標的とした抗体が他の組織と交差反応した結果として発生したりする場合がある。症状は,いずれの臓器または生理系でも発生する可能性がある。がん患者の最大20%で腫瘍随伴症候群がみられるが,これらの症候群が認識されない場合も多い。... さらに読む 腫瘍随伴症候群 として発生する。他の疾患(例, 重症筋無力症 重症筋無力症 重症筋無力症は,自己抗体および細胞性の機序を介したアセチルコリン受容体の破壊に起因する,反復発作性の筋力低下および易疲労性である。若年女性と高齢男性で多くみられるが,あらゆる年齢の男女に起こりうる。症状は筋の活動により悪化し,安静により軽減する。診断は,血清抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体値,筋電図検査,およびときにエドロホニウム静注試験により行い,エドロホニウム静注試験は筋力低下を一時的に緩和する。治療法としては,抗コリンエステ... さらに読む ,胸腺腫, 橋本甲状腺炎 橋本甲状腺炎 橋本甲状腺炎は甲状腺の慢性自己免疫性炎症で,リンパ球の浸潤を伴う。所見には,無痛性の甲状腺腫大および甲状腺機能低下症状がある。診断には抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の抗体価高値を証明することが含まれる。生涯にわたるL-チロキシン補充が一般的には必要となる。 ( 甲状腺機能の概要も参照のこと。) 橋本甲状腺炎は北米の原発性甲状腺機能低下症の最も一般的な原因であると考えられている。女性に数倍多く発生する。発生率は年齢とともに上昇し,... さらに読む ビタミンB12欠乏症 ビタミンB12欠乏症 食事によるビタミンB12欠乏症は通常,不十分な吸収に起因するが,ビタミンサプリメントを摂らない完全菜食主義者に欠乏症が生じることがある。欠乏症により,巨赤芽球性貧血,脊髄および脳の白質への障害,ならびに末梢神経障害が起こる。診断は通常,血清ビタミンB12値の測定によって行う。シリング試験が病因の特定に役立つ。治療はビタミンB12の経口または静脈内投与による。葉酸塩(葉酸)は,貧血を軽減することがあるが,神経脱落症状を進行させることがある... さらに読む セリアック病 セリアック病 セリアック病は,遺伝的感受性を有する者に免疫を介して発生する疾患で,グルテン不耐症によって引き起こされ,粘膜炎症および絨毛萎縮が生じ,その結果,吸収不良を来す。症状としては通常,下痢や腹部不快感などがみられる。診断は小腸生検により行い,生検では特徴的であるが非特異的な病理的変化である絨毛萎縮が示され,この変化は厳格なグルテン除去食で消失する。 セリアック病は 吸収不良を引き起こす疾患である。... さらに読む セリアック病 結合組織疾患 小児における結合組織疾患に関する序論 結合組織に関わる疾患は200以上ある。一部の疾患は免疫系の過剰な活性を特徴とし,結果として組織に炎症および全身的な障害が生じる(例, 全身性エリテマトーデス[SLE]および 若年性特発性関節炎[以前は若年性関節リウマチとして知られていた])。結合組織の生化学的異常または構造的欠陥が関与する疾患もある。これらの疾患は遺伝性のものもあれば,病... さらに読む )に伴って発生することもあり,遺伝することもある。

アイザックス症候群の症状と徴候

アイザックス症候群では四肢が最も侵される。ミオキミア(蠕虫の入った袋のような動きと表現される持続的な筋攣縮)が必須の条件である。その他の症状としては,線維束性収縮,手足の攣縮,間欠性痙攣,発汗増加,偽性ミオトニア(強度の筋収縮後の弛緩障害,ただし真性ミオトニアにみられる漸増・漸減する筋電図の異常はない)などがある。

アイザックス症候群の診断

  • 臨床的評価

  • 神経伝導検査および筋電図検査の結果

アイザックス症候群の診断は,上記の臨床所見に加えて,特徴的な異常を呈する神経伝導検査および筋電図検査の結果に基づいて行う;それらの異常としては,神経伝導検査での後放電(after-discharge)のほか,針筋電図検査における線維束性収縮電位(fasciculation potential),ミオキミア放電(myokymic discharge),ニューロミオトニア放電(neuromyotonic discharge),線維自発電位(fibrillation potential),および痙攣放電(cramp discharge)などが四肢遠位筋に最も顕著に認められる。

臨床検査には,Caspr2(contactin-associated protein-like 2)に対する抗体,横紋筋の電位依存性カルシウムチャネル,グリアジン,グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD),筋アセチルコリン受容体(AChR),および抗電位依存性カリウムチャネル抗体(抗VGKC抗体)の測定を含めるべきである。抗Caspr2抗体を有する患者の約20%に胸腺腫またはその他の固形腫瘍がみられ,胸部CTまたはMRIにより診断されることがある。

アイザックス症候群の治療

  • 症状を緩和するための薬剤

  • 血漿交換または免疫グロブリン静注療法(IVIG)

アイザックス症候群の症状を緩和する可能性がある薬剤には,カルバマゼピン,フェニトイン,ガバペンチン,メキシレチン(使用経験は少ない),バルプロ酸,ラモトリギン,およびクロナゼパムなどがある。

アイザックス症候群の要点

  • アイザックス症候群の必須所見としてミオキミアがあり,これは蠕虫が入った袋のような動きと表現される持続的な筋攣縮で,典型的には四肢にみられる。

  • 診断は臨床所見,神経伝導検査および筋電図検査の結果,ならびに特定の抗体マーカーに対する臨床検査に基づく。

  • 症状を緩和する薬剤(例,カルバマゼピン,フェニトイン,ガバペンチン),血漿交換,ときにIVIGで治療する。

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