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脳死

執筆者:

Kenneth Maiese

, MD, Rutgers University

レビュー/改訂 2020年 9月
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脳死は,全脳および脳幹の機能が喪失した状態であり,昏睡,自発呼吸の消失,および全ての脳幹反射の消失に至る。深部腱反射,足底屈曲反射,逃避反射などの脊髄反射は維持されることがある。回復することはない。

脳死の概念は,全ての脳活動が完全に停止しているにもかかわらず,人工呼吸器と薬剤投与によって心肺機能とその他の身体機能を維持できるようになったことから生まれた。脳死(すなわち,全脳機能,特に脳幹機能の完全停止)が人間の死であるという考え方は,世界のほとんどの地域で法的および文化的に認められている。

脳死の診断

  • 臨床基準による一連の判定

  • 無呼吸テスト

  • ときに脳波,脳血管画像,またはその両方

医師が脳死を宣告するには,脳損傷の器質的または代謝的な原因が判明し,かつ麻酔または筋弛緩作用を有する可能性がある薬剤の使用(特に自己投与の場合)が除外されなければならない。

低体温症がある場合は,深部体温が35℃未満であれば36℃以上まで緩徐に復温する必要があり,またてんかん重積状態が疑われる場合には,脳波検査を行うべきである。成人では,合併する全ての医学的状態が除外され,必須のテストによる包括的な神経学的診察を完了して初めて,脳死を確定することができる。小児では,48時間以上の間隔を空けて2回検査を行うよう医師に助言している州もあるが,成人患者にはこのアプローチが一貫して推奨または要求されているわけではない(脳死判定のガイドライン[1歳以上の患者の場合] 脳死判定のガイドライン(1歳以上の患者の場合)† 脳死判定のガイドライン(1歳以上の患者の場合)† の表を参照)。

検査項目としては以下のものがある:

  • 瞳孔反応の評価

  • 前庭眼反射,頭位変換眼球反射,角膜反射

  • 無呼吸テスト

ときに脳活動または脳血流がないことを確認するために脳波および脳灌流の検査が用いられることがあり,家族に追加的な証拠を示すのに役立つが,これらの検査は通常は必要ない。これらの検査が適応となるのは,血行動態的に無呼吸テストに耐えられない場合と,施行する神経学的診察を1つに限るのが望ましい場合(例,移植のための臓器採取を可能にする)である。

脳死の予後

脳死の診断はその個人の死と同じ意味をもつ。それ以上治療を行っても死を避けられない。

脳死が確認されたら,全ての心肺補助治療を終了させる。換気補助の停止により末期的な不整脈が生じる。末期的な無呼吸中に脊髄反射が起こることがあり,具体的には背中の反り返り,頸部回転,下肢の硬化,上肢の屈曲(いわゆるラザロ徴候)などがみられる。人工呼吸器の停止時に立ち会いを希望する家族には,このような反射運動について説明を行う必要がある。

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