非特異性間質性肺炎

執筆者:Joyce Lee, MD, MAS, University of Colorado School of Medicine
レビュー/改訂 2019年 9月
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非特異性間質性肺炎は,主に女性,非喫煙者,および 50歳の患者に生じる特発性間質性肺炎である。患者には咳嗽および呼吸困難がみられ,それが数カ月から数年間持続することがある。診断は,高分解能CTおよび肺生検による。治療にはコルチコステロイドのほか,ときに他の免疫抑制療法を使用する。

非特異性間質性肺炎(NSIP)は特発性間質性肺炎の一種である。これは特発性肺線維症(IPF)に比べてはるかにまれである。患者の多くは女性であり,40~50歳に多く,原因または関連する要因は不明である。しかしながら,結合組織疾患(特に,全身性強皮症または自己免疫性筋炎)のある患者,一部の薬剤性肺障害,および過敏性肺炎の患者でも同様の病理過程が起こりうる。

NSIPの臨床像はIPFと類似する。咳嗽および呼吸困難が,数カ月から数年間存在する。

全身症状はまれであるが,微熱および倦怠感は起こりうる。

非特異性間質性肺炎の診断

  • 高分解能CT(HRCT)

  • 外科的肺生検

説明のつかない亜急性または慢性の咳嗽および呼吸困難のある患者では非特異性間質性肺炎の診断を考慮すべきである。診断にはHRCTを要し,常に外科的肺生検による確認が必要である。NSIPは除外診断により診断し,その過程では可能性のある別の診断(特に結合組織疾患,過敏性肺炎,および薬剤毒性など)を臨床的に注意深く検討する必要がある。

胸部X線では,主に下肺野の網状陰影がみられる。また,両側に斑状陰影が認められることもある。

HRCT所見には,両側性の斑状すりガラス陰影,不規則線状影,および気管支拡張像(牽引性気管支拡張)などがあり,一般に下肺野に分布する。胸膜下はスペアされることがある。蜂巣肺はまれである。

患者の半数以上に気管支肺胞洗浄液中のリンパ球増多がみられるが,この所見は非特異的である。

NSIPの診断には外科的肺生検が必要である。組織学的には,患者の多くである程度の線維化がみられる。NSIPの主な特徴は,時相が均一な炎症および線維化であり,通常型間質性肺炎における不均一性とは対照的である。変化の時相は均一であるものの,正常な肺領域が所々に存在することで斑状になることもある。

非特異性間質性肺炎の治療

  • コルチコステロイド単独,またな免疫抑制薬との併用

非特異性間質性肺炎の患者の多くは,コルチコステロイド単独または免疫抑制薬(例,アザチオプリン,ミコフェノール酸モフェチル,シクロホスファミド)との併用治療に反応する。

予後は,外科的肺生検中にみられた線維化の程度に主に依存すると考えられる。主に細胞性の病変である場合,ほぼ全ての患者が少なくとも10年間生存する。しかしながら,線維化の程度が増加するにつれ生存率は低下していき,一部の研究では線維化を伴うNSIPで生存期間の中央値が3~5年とされている。

非特異性間質性肺炎の要点

  • 非特異性間質性肺炎は頻度が低い;患者の多くは女性であり,40~50歳に多く,既知のリスクを有さない。

  • 結合組織疾患(特に全身性強皮症および自己免疫性筋炎),薬剤性肺障害,および過敏性肺炎を除外し,外科的肺生検を行う。

  • コルチコステロイド単独,または免疫抑制薬(例,アザチオプリン,ミコフェノール酸モフェチル,シクロホスファミド)との併用により治療する。

  • 生検で線維化が多くみられるほど予後は不良である。

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