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気管支カルチノイド

執筆者:

Robert L. Keith

, MD, Division of Pulmonary Sciences and Critical Care Medicine, University of Colorado School of Medicine

レビュー/改訂 2020年 7月
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気管支カルチノイドは,気管支粘膜から生じる,まれな(成人の全ての肺癌の1~2%),増殖速度の遅い神経内分泌腫瘍である;40代~60代で発症する。

カルチノイド腫瘍 カルチノイド腫瘍の概要 カルチノイド腫瘍は,消化管(90%),膵臓, 気管支のほか,まれに泌尿生殖器においても神経内分泌細胞から発生する。消化管カルチノイド全体の95%以上が虫垂,回腸,直腸という3カ所から発生する。 カルチノイドはしばしば良性であるか,浸潤性であっても限局的であるが,回腸および気管支を侵すものは悪性であることが多い。悪性腫瘍は高分化型から低分化... さらに読む は,消化管(90%),膵臓,気管支のほか,まれに泌尿生殖器においても神経内分泌細胞から発生する。カルチノイドは良性であるか局所浸潤のみである場合が多いが,気管支を侵すものは悪性であることが多い。一般的に,カルチノイド腫瘍の一部では内分泌活性を示し,その可能性は原発部位によって異なるが,回腸および近位結腸で発生した腫瘍で最も高く(40~50%),気管支カルチノイドではより低い。

気管支カルチノイド患者の半数は無症状であるが,残り半数は呼吸困難,喘鳴,咳嗽などの気道閉塞症状を呈し,しばしば喘息と誤診される。反復性肺炎,喀血,および胸痛もよくみられる。

カルチノイド症候群の症状として以下のものがある:

  • 紅潮

  • 下痢

  • 気管支攣縮

カルチノイド症候群の慢性の続発症には以下のものがある:

  • 毛細血管拡張症

  • 右心系の弁膜症

  • 後腹膜線維症

気管支カルチノイドでは,セロトニンによる弁損傷に起因して,まれに左心系の心雑音(僧帽弁狭窄または僧帽弁逆流)が生じる(消化管カルチノイドでみられる右心系の弁膜病変とは対照的である)。

気管支カルチノイドの診断

  • 気管支鏡下生検

気管支カルチノイドの診断は気管支鏡下生検に基づいて行うが,評価にはしばしば最初に胸部CTを用い,これにより最大3分の1の患者において腫瘍の石灰化像が明らかになる。

インジウム111標識オクトレオチドによるシンチグラフィーは,局所浸潤および転移の判定に有用である。

尿中のセロトニンおよび5-ヒドロキシインドール酢酸が高値であれば,診断の裏付けになるが,これらの値が上昇する頻度は高くない。

気管支カルチノイドの治療

  • 手術

気管支カルチノイドの治療は外科切除 ± アジュバント化学療法および/または放射線療法である。

予後は腫瘍の種類によって異なる。5年生存率は,高分化型のカルチノイドでは > 90%であり,非定型の腫瘍では50~70%である。

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