胸腔鏡検査および胸腔鏡下手術

執筆者:Rebecca Dezube, MD, MHS, Johns Hopkins University
レビュー/改訂 2019年 6月
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胸腔鏡手技では,内視鏡を挿入して胸膜腔を視覚化する。胸腔鏡は胸腔内の観察(胸腔鏡検査),または外科的手技のために用いられる。

胸腔鏡による外科手技は,より一般的には胸腔鏡下手術(VATS)と呼ばれる。

胸腔鏡検査が内視鏡検査室で意識下鎮静で行われるのに対し,VATSは全身麻酔を必要とし,手術室で行われる。いずれの手技でも,明瞭な視野を得るために気胸を誘発させる。

適応

胸腔鏡は以下の目的で使用される:

  • より侵襲性の低い検査では診断が不確定である場合に,滲出性胸水ならびに種々の胸膜病変および肺病変を評価する

  • 悪性胸水が再発する患者における胸膜癒着術

  • 膿胸の患者における小房の破壊

胸膜の悪性疾患および結核性疾患に対する診断精度は95%である。

VATSの一般的な適応は以下の通りである:

  • 原発性自然気胸の治療

  • 気腫における肺嚢胞切除術および肺容量減少手術

  • 楔状切除術

  • 肺実質の生検

  • 肺葉切除術および肺全摘除術(一部の施設)

VATSのあまり一般的でない適応は以下の通りである:

  • 良性縦隔腫瘤の切除

  • 食道癌の生検および病期分類

  • 重度の多汗症またはカウザルギーに対する交感神経切除術

  • 肺,胸膜,または横隔膜の損傷の修復

禁忌

胸腔鏡の禁忌は胸腔穿刺の場合と同じである。

絶対的禁忌は次の通りである:

  • 癒着により胸膜腔が閉塞している場合

血流の豊富ながん,重症の肺高血圧症,および重症の嚢胞性肺疾患の患者では,生検は相対的禁忌である。

手技

胸腔鏡検査は呼吸器内科医が行うこともあるが,VATSは胸部外科医が行う。いずれも胸腔ドレーン挿入の手技に類似している。トロカールを皮膚切開部から肋間に刺入し,トロカールを通して胸腔鏡を挿入する。切開を追加することでビデオカメラや付属機器の使用が可能になる。

胸腔鏡検査またはVATS後には,胸腔ドレーンの留置が通常1~2日間必要である。

合併症

胸腔鏡の合併症は胸腔穿刺と同様であり,以下のものがある:

  • 処置後の発熱(16%)

  • 胸膜の裂けによる空気の漏れ(2%)かつ/または皮下気腫(2%)

まれではあるが重篤な合併症として以下のものがある:

  • 出血

  • 肺の穿孔

  • ガス塞栓

また,全身麻酔の合併症が生じるリスクもある。

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