けがをして出血すると、傷ついた血管をふさいで出血を止めるために、血液が血栓(血液のかたまり)を作ります。血液には、血栓をつくるための 特別な凝固物質 血液凝固因子 止血とは、傷ついた血管からの出血を止めようとする体の働きです。止血の過程では、血液の凝固が起こります。 凝固の働きが弱すぎると、軽いけがでも、大量の出血が起きるようになります。 凝固の働きが強すぎると、出血が起きていない血管がふさがれてしまうことがあります。 そのため、人の体には、血液の凝固を抑制し、必要なくなった血のかたまりを溶かすため... さらに読む と 血小板 血小板 血液の主な成分 血漿(けっしょう) 赤血球 白血球 血小板 さらに読む (とても小さな血液の細胞)が含まれています。
血栓ができるはずではないときに血栓ができて、血管がつまってしまうことがあります。
播種性血管内凝固症候群(DIC)とはどのような病気ですか?
凝固とは固まるという意味の言葉です。播種性とは、全身に広がるという意味です。血管内とは、血管の中という意味です。
つまり、播種性血管内凝固症候群は、全身の血液にたくさんの小さな血栓ができてしまう病気です。
播種性血管内凝固症候群でできる血栓は、たくさんの細い血管をふさいで、臓器への血液の流れを減少させます。
臓器がうまく働かなかったり、臓器にずっと残るダメージが生じることがあります。
播種性血管内凝固症候群によってできたたくさんの小さな血栓が、体にある血液をかためる物質や血小板を使い果たしてしまいます。
血液をかためる物質や血小板が使い果たされると、深刻な出血が起こりやすくなります。
播種性血管内凝固症候群は、感染症や大きなけがによって突然起こることもあれば、(たいていはがんによって)ゆっくりと起こることもあります。
医師は播種性血管内凝固症候群を止めることはできませんが、播種性血管内凝固症候群の原因になっている病気を治療します。
播種性血管内凝固症候群の原因は何ですか?
播種性血管内凝固症候群につながることのある病気には次のものがあります:
重い感染症、特に 敗血症 敗血症 敗血症は、細菌が体内の血液の中に入 さらに読む (深刻な血液の感染症)
たとえば大きなけがや手術の合併症など、原因にかかわらず血圧が深刻なほど低くなること(ショック ショック ショックは、臓器に十分な血液と酸素が送られないことによって起 さらに読む )
妊娠の合併症
一部のがん
播種性血管内凝固症候群にはどのような症状がありますか?
播種性血管内凝固症候群は、その原因によって、突然始まる場合とゆっくりと始まる場合があります。
突然始まる播種性血管内凝固症候群(敗血症やショックなどで起こります)は、たいてい次の症状を引き起こします:
注射や点滴で針を刺したところからの出血
皮膚にあざができる
嘔吐したり、便に血が混じる
突然始まる播種性血管内凝固症候群によって起こった出血は、とても止まりにくいことがあります。
ゆっくりと始まる播種性血管内凝固症候群(がんの人などで起こります)は、たいていは出血の異常よりも凝固の異常を引き起こします。
脚の血栓 深部静脈血栓症(DVT) 血栓症とは、血のかたまり(血栓といいます)によって血管がふさがれる病気です。
さらに読む によって、腫れ、痛み、または赤みが起こることがあります。 肺の血栓 肺塞栓症 肺とは、肺臓を意味する医学用語です。... さらに読む によって、呼吸が苦しくなることがあります。
播種性血管内凝固症候群になると死んでしまうことがあります(特に播種性血管内凝固症候群の原因になった病気も危険な場合)。
医師はどのようにして、私が播種性血管内凝固症候群かどうかを判断しますか?
医師は血液検査をして、血液の凝固の度合いを調べます。また、血液の中にある血小板や一部の凝固物質の量もはかります。
医師は播種性血管内凝固症候群をどのように治療しますか?
医師は播種性血管内凝固症候群を引き起こしている病気やけがを治療します。原因を取り除くと、ふつうは凝固や出血の異常は治まります。
突然始まる播種性血管内凝固症候群は、臓器を傷つけ、大量の出血につながることがあるため、緊急事態です。医師は、輸血をしたり、出血が止まるのを助ける薬を与えることがあります。
出血がなく、血栓がおもな問題の場合は、医師は血が固まるのをおくらせる薬を使うことがあります。