血液は、動脈と静脈の中を流れている赤い液体です。組織や臓器が生きていくのに必要な酸素、水、栄養素を送り届けています。体の中には、およそ5リットルの血液があります。 心臓 心臓の生物学 心臓は、筋肉でできた、中が空洞になっている臓器です。心臓 さらに読む は、一定のペースで動き続けることで、ポンプのように血液を全身に送り届けています。
血液は何をしていますか?
血液は、体内の配送サービスを担っています。血液は:
体内のすべての組織に酸素、水、栄養素を運んでいます。
いらなくなった物質を組織から集めて、そこから取り除きます。
体外から入ってきたものに対する体の防衛を助ける細胞やタンパク質を運んでいます。
体の中の 細胞 細胞 細胞は、体を作り上げている基本的な部品のようなものです。すべての 組織や臓器は、何十億という数の細胞でできています。人間の細胞の大きさは様々ですが、いずれも非常に小さなものです。最も大きな細胞である受精卵でさえ、小さくて肉眼で見ることはできません。 人の体内のすべての細胞は、母親の卵子と父親の精子という2つの細胞の子孫です。卵子と精子が結... さらに読む はすべて、酸素と水がないと生きていけません。細胞はまた、糖、タンパク質、脂肪などの栄養素も必要とします。血液は肺の中で酸素を取りこみ、胃や腸からは水分と栄養素を回収します。
細胞が栄養素を処理すると、老廃物ができてしまいます。酸素と栄養素は、二酸化炭素と、尿として体から出ていく老廃物に変わります。二酸化炭素は血液によって 肺 呼吸器系の概要 人間の体は生きていくために、十分なエネルギーを生み出す必要があります。このエネルギーは、酸化という過程で、食物中の分子を燃やす(食物中の分子が酸素と結合する)ことによって生み出されます。酸化の過程では、炭素と水素が酸素と結合し、二酸化炭素と水ができます。このように、酸素を消費し、二酸化炭素を生成することは生命維持に不可欠な働きです。そのた... さらに読む に運ばれ、そこから呼吸によって体の外に出されます。老廃物は 腎臓 腎臓 腎臓は 尿路の中でもとりわけ特徴的な臓器で、ソラマメのような形をしています。左右とも長さは約12センチメートル、重さは約150グラムです。脊柱(背骨)の左右両側にあり、消化器系の臓器が納まっている空間(腹腔)より背中側に位置しています。 それぞれの腎臓には、大動脈から枝分かれした腎動脈と呼ばれる血管を通じて血液が流れ込みます。血液は腎動脈... さらに読む に運ばれて、そこで血液からろ過され、尿の中に出ていきます。ほかの老廃物は血液によって肝臓に運ばれ、そこで処理されて、取り除かれます。
免疫系 免疫系の大まかな説明 免疫系は、体を守るための仕組みです。体を病気 さらに読む は、細菌やがん細胞などの侵入者に対する体の防御システムです。血液は、免疫系の一部である特別な細胞やタンパク質を、それらが必要とされている場所まで運んでいます。
血液とは何ですか?
血液は次のものでできています:
液体(血漿)
赤血球
白血球
血小板
赤血球と白血球と血小板は、骨の内側にある骨髄というところで、いつもつくられています。
血漿
血漿は、ほとんどが水です。血漿は、大切なミネラルや塩分(電解質 電解質の大まかな説明 電解質とは、血液の中を循環しているミネラルのことです。それらのミネラルは、胃液、... さらに読む )と、多くの有用なタンパク質を運んでいます。一部のタンパク質は、 血栓ができる 血液はどのようにして固まるか 血栓は、出血している血管をふさぐために体がつくる物質のかたまりです。... さらに読む のを助けています。それ以外のタンパク質は、細菌などの侵入者を攻撃します。
赤血球
赤血球の中には、ヘモグロビンという赤い物質が含まれています。血液が肺の中を流れると、ヘモグロビンが酸素を取りこんで、組織に移動します。ヘモグロビンは二酸化炭素を肺に戻す役割もしていて、そのおかげで、人は息をはくことで、二酸化炭素を体外に出すことができます。
白血球
白血球は 免疫系 免疫系の大まかな説明 免疫系は、体を守るための仕組みです。体を病気 さらに読む の一部です。白血球は血液の中を移動して、細菌やがん細胞などの異物を見つけて攻撃します。白血球は特定の対象を攻撃すると、ふつうはその相手をおぼえるため、次に出会ったときには、よりすばやく攻撃することができます。
血小板
血小板は、赤血球や白血球よりも小さい粒子です。血液中のタンパク質といっしょに働いて、 血栓 血液はどのようにして固まるか 血栓は、出血している血管をふさぐために体がつくる物質のかたまりです。... さらに読む が作られるのを助けることで、 出血 あざと出血 けがをした後にあざができたり出血したりするのは正常なことです。 しかし中には、とても簡単 さらに読む を止めようとします。
血液にはどのような問題が起こりますか?
よくある血液の問題では、次の異常が起こります:
赤血球が減りすぎたり、増えすぎたりする
白血球が減りすぎたり、増えすぎたりする
血小板が減りすぎたり、増えすぎたりする
赤血球が減りすぎると(貧血 貧血の大まかな説明 貧血は 赤血球またはヘモグロビンが十分にない状態です。赤血球は、... さらに読む )、全身の組織に十分な酸素が供給されなくなるため、力が入らなくなったり、疲れを感じたりします。赤血球が増えすぎると、 真性多血症 真性多血症 真性多血症とは、骨髄増殖性腫瘍の一種で、骨髄中の造血細胞の異常によって全種類の血球が過剰生産される病気です。 真性多血症の原因は、ヤヌスキナーゼ2(JAK2)遺伝子の突然変異で、これにより血球の過剰な生産を促進するタンパク質(酵素)が作られます。... さらに読む という病気になる可能性があります。
白血球が減りすぎると 白血球減少症 白血球は、感染症やがんに対する 免疫系による防御の一部<...> さらに読む 、感染症にかかりやすくなります。 白血球が増えすぎること 白血球数の増加 白血球は、感染性微生物や外来物質から体を守る重要な役割を担っています( 免疫系)。白血球数は、正常な場合、血液1マイクロリットル当たり11,000個(1リットル当たり11 × 109個)未満です。 白血球数増加の最も一般的な原因には以下のものがあります。 感染への正常な生体反応... さらに読む は、 白血病 白血病 という血液のがんの徴候である可能性があります。
血小板が減りすぎると 血小板減少症(血小板数の減少)の大まかな説明 血小板は、血液の流れに乗って全身をめぐっている小<...> さらに読む 、けがをした後や手術を受けたときの出血の危険性が高まり、何もなくても出血が起きることもあります。血小板が増えすぎると、血液が正常に固まるのが難しくなります。これにより、血液の凝固が過剰になったり、不十分になったりします。