甲状腺は、首ののどぼとけの下にある腺です。
甲状腺からは、甲状腺ホルモンが放出されます。このホルモンは、あなたの体の化学的な働きの速度(代謝率)を調節します。体内のほとんどすべての細胞に、甲状腺ホルモンが必要です。甲状腺ホルモンにはほかにもいろいろな働きがあり、たとえば、次のようなことの調節を助けています:
カロリーを消費する速さ
心拍の速さ
体温
甲状腺が甲状腺ホルモンをつくるには、ヨウ素が必要です。必要なヨウ素の量はほんの少しです。しかし、甲状腺はヨウ素がないと、甲状腺ホルモンが十分につくれません。
甲状腺の位置
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甲状腺機能低下症とはどのような病気ですか?
甲状腺機能低下症は、甲状腺が十分な甲状腺ホルモンをつくり出さない病気です。
甲状腺機能低下症はよくみられる病気で、特に高齢の女性によくみられます。
橋本甲状腺炎 橋本甲状腺炎 甲状腺は、首ののどぼとけの下にある腺です。 甲状腺からは、甲状腺ホルモンが放出 さらに読む という病気が最も多い原因です。
疲れを感じたり、動作が遅くなったり、寒気を感じることがあります。
甲状腺機能低下症はふつう、ゆっくりと発症します。
血液検査で甲状腺機能低下症かどうかが分かります。
甲状腺ホルモンの飲み薬をずっと飲み続ける必要がある場合があります。
甲状腺機能低下症の原因は何ですか?
甲状腺機能低下症の原因には次のようなものがあります:
甲状腺を取り除いたり甲状腺の働きを止めたりする手術や放射線療法
ヨウ素の不足
下垂体の問題
橋本甲状腺炎 橋本甲状腺炎 甲状腺は、首ののどぼとけの下にある腺です。 甲状腺からは、甲状腺ホルモンが放出 さらに読む では、体の 免疫系 免疫系の大まかな説明 免疫系は、体を守るための仕組みです。体を病気 さらに読む が誤って甲状腺を攻撃します。このような種類の病気を 自己免疫疾患 自己免疫疾患 免疫系は、体を守るための仕組みです。病気や感染から体を守 さらに読む といいます。
ヨウ素の不足は、現代の国ではめったにみられません。多くの国では塩にヨウ素を少し入れているため、だれもが十分に取りこめています。海産物にもヨウ素が含まれています。海から遠い貧しい国々の人々は、ヨウ素を十分取りこめていない危険性があります。
脳の中にある 下垂体 下垂体の大まかな説明 下垂体は、脳の底にあるエンドウマメくらいの大きさの小さな組織 さらに読む で、甲状腺に甲状腺ホルモンをつくるよう指示するTSHというホルモンがつくられます。下垂体に問題があると、TSHがつくられず、甲状腺機能低下症になります。
甲状腺機能低下症にかかる可能性があるのはどのような人ですか?
ほぼだれもが甲状腺機能低下症にかかる可能性がありますが、高齢者によくみられます。次のような人にも、ときどき甲状腺機能低下症が起こることがあります:
生まれたばかりの赤ちゃん
妊娠中、または妊娠したばかりの女の人
関節リウマチ 関節リウマチ(RA) 関節が痛くなったり、腫れたり、赤くなったりする一連の病気を関節炎 さらに読む など他の自己免疫疾患がある人
甲状腺機能低下症にはどのような症状がありますか?
甲状腺ホルモンが十分作られないと、体の働きが遅くなって、見た目や声、感じ方に影響が出る可能性があります。
見た目や声に影響する症状には次のようなのものがあります:
目や顔が腫れぼったくなり、まぶたがたれ下がる
かみの毛が細く、粗くなって、乾燥する
皮膚のきめが粗くなって、乾燥し、うろこ状に厚くなる
声がかすれて話し方がゆっくりになる
感じ方に影響する症状には次のようなものがあります:
便秘になる
すぐ体が冷える
手がピリピリしたり痛くなったりする
心拍が遅くなる
混乱や物忘れ、 抑うつ うつ病 うつ病とは、とても悲しい気分になったり、ふだんの活動や以前は楽しんでいた活動に... さらに読む がみられる
治療しないでいると、甲状腺機能低下症はやがて次のような病気を引き起こすことがあります:
高齢者の場合は、混乱や物忘れがみられると、 アルツハイマー病 アルツハイマー病 アルツハイマー病は、ふつうは65才以上の人がかかる、 認知症の一種 さらに読む や他の 認知症 認知症 認知症は、おぼえること(記憶)、考えること(思考)、学ぶこと(学習)が難しくなる さらに読む とまちがえられることもあります。
医師はどのようにして、私が甲状腺機能低下症かどうかを判断しますか?
医師は次のことをします:
血液検査や甲状腺の画像検査などの 甲状腺機能検査 甲状腺の大まかな説明 甲状腺は、首の前側の、のどぼとけの下にある腺です。腺... さらに読む
医師は甲状腺機能低下症をどのように治療しますか?
医師は甲状腺機能低下症を次のもので治療します:
甲状腺ホルモンの飲み薬
この薬を飲み始めた後、医師はTSHの値に応じて少しずつ飲む量を調整します。甲状腺ホルモンの吸収を妨げる薬について、医師と相談することが大切です。そのような薬には、鉄、カルシウム、一部の制酸薬などがあります。