アテローム塞栓そくせんによる腎疾患じんしっかん

アテローム塞栓そくせんによる腎疾患じんしっかんとは、動脈どうみゃくの中なかにある小ちいさな硬かたい脂肪しぼうのかけらがはがれて、腎臓じんぞうに血液けつえきを送おくる細ほそい動脈どうみゃくをふさいでしまうことで、腎不全じんふぜんが起おこる病気びょうきです。このはがれた硬かたい脂肪しぼうのかけらを、塞栓そくせんといいます。

• アテローム塞栓そくせんによる腎疾患じんしっかんは、片方かたほうの腎臓じんぞうに問題もんだいを起おこすこともあれば、両方りょうほうに問題もんだいを起おこすこともあります。

• 両方りょうほうの腎臓じんぞうにひどい問題もんだいが起おきると、腎不全じんふぜんになることがあります。

• この病気びょうきはふつう、動脈どうみゃくに対たいする手術しゅじゅつや医学的いがくてきな処置しょちによって引ひき起おこされます。

• 腎不全じんふぜんは血液検査けつえきけんさで分わかります。

• 医師いしは傷きずついた腎臓じんぞうを元もとにもどすことはできませんが、もっとひどくなるのを防ふせごうとします。

• 腎臓じんぞう透析とうせき（腎臓じんぞうが血液けつえきをろ過かできない場合ばあいに、かわりに機械きかいにやってもらう処置しょち）が必要ひつようになるかもしれません。

動脈どうみゃくが硬かたくなっていると（動脈硬化どうみゃくこうか）、動脈どうみゃくが硬かたい脂肪しぼうのかけらでつまります。この脂肪しぼうのかけらがはがれると、細ほそい血管けっかんにつまるまで血液けつえきをただよいます。かけらのどれかが臓器ぞうきの血管けっかんにいくらか入はいりこむと、その臓器ぞうきは働はたらけなくなります。

アテローム塞栓そくせんによる腎疾患じんしっかんが最もっとも起おこりやすいのは、大動脈だいどうみゃく（体からだの中なかで最もっとも太ふとい動脈どうみゃく）にかかわる手術しゅじゅつや処置しょちを受うけた後あとです。大動脈だいどうみゃくの壁かべにくっついた脂肪しぼうのかけらが、処置しょちのときにたまたまはがれて、腎臓じんぞうまで移動いどうすることがあります。脂肪しぼうのかけらは自然しぜんにはがれることもあります。

脂肪しぼうのかけらは、腸ちょうや膵臓すいぞうなど、おなかにあるほかの臓器ぞうきの血管けっかんにもつまることがあります。

ふつうは、腎不全じんふぜんにならないかぎり、症状しょうじょうは現あらわれません。腎不全じんふぜんには次つぎのような症状しょうじょうがあります：

• 体からだに力ちからが入はいらず、疲つかれを感かんじる

• 吐はき気け

• いつもよりおなかが空すかない

• かゆみ

• 眠気ねむけや混乱こんらん

めったにありませんが、腎臓じんぞうのダメージによって高血圧こうけつあつが起おこることがあります。

大動脈だいどうみゃくの手術しゅじゅつや処置しょちを受うけた後あとに、通常つうじょうの血液検査けつえきけんさや尿検査にょうけんさで腎臓じんぞうが正常せいじょうに働はたらいていないことが分わかった場合ばあい、医師いしはアテローム塞栓そくせんによる腎疾患じんしっかんを疑うたがうことがあります。確たしかめるために、医師いしは次つぎの検査けんさをする場合ばあいがあります：

• 腎生検じんせいけん（腎臓じんぞうの組織そしきを少すこしだけとって顕微鏡けんびきょうで調しらべる検査けんさ）

• 超ちょう音波検査おんぱけんさ

医師いしは傷きずついた腎臓じんぞうを元もとにもどすことはできませんが、さらに塞栓そくせんができないように、次つぎの治療ちりょうができます：

• 動脈どうみゃくに脂肪分しぼうぶんがさらにたまるのを防ふせぐ薬くすり

腎臓じんぞうがひどく傷きずついている場合ばあいは、次つぎの治療ちりょうが必要ひつようになるかもしれません：

• 透析とうせき（腎臓じんぞうが血液けつえきをろ過かできない場合ばあいに、かわりに機械きかいを使つかってろ過かする処置しょち）