肝臓とはどのような臓器ですか？
肝臓は、腹部の右側、肋骨のすぐ下にある、アメフトボールくらいの大きさをした臓器です。次のような、たくさんの大切な働きをしています：
脂肪の消化を助ける液体（胆汁）をつくる
消化管で吸収された栄養を処理する
血が固まるのを助けるタンパク質をつくる
薬や毒を分解して、体の外に出せるようにする
消化器系
アルコール性肝疾患とはどのような病気ですか？
アルコール性肝疾患は、長い間お酒（アルコール）を飲み過ぎることが原因で、肝臓が傷ついてしまう病気です。
お酒を飲む量が多いほど、またお酒を飲む回数が多いほど、肝臓が傷つく危険性が高くなります。
はじめは何の症状もありませんが、時がたつと疲れを感じたり、皮膚が黄色くなったり（黄疸）、おなかがふくらんだりするようになります。
症状が重くなると、からだの中で出血したり、脳に異常が起きたりして、命にかかわることもあります。
もしあなたがお酒を飲みすぎていて、肝臓の病気の症状がある場合、医師は血液検査をします。
アルコール性肝疾患のおもな治療法は、お酒を飲むのをやめることです。
アルコール性肝疾患の原因は何ですか？
飲酒による肝臓の損傷には、どのようなものがありますか？
お酒の飲みすぎによって肝臓には3種類の損傷が起こる可能性があり、たいていは次の順番で起こります：
肝臓に脂肪がたまる（脂肪肝）
お酒を飲みすぎると、ほぼすべての人が脂肪肝になります。
ふつうは飲酒をやめれば脂肪肝はなくなります。
肝臓に炎症がおきる（アルコール性肝炎）
一部の人では、肝臓で炎症が起きます。
炎症が起きた肝臓は、正常に働かなくなります。
通常、飲酒をやめれば炎症は治まりますが、ある程度の肝臓の損傷がずっと残るかもしれません。
肝臓の正常な組織が瘢痕組織に置きかわる
瘢痕組織が増えるほど、残っている正常な組織はよりいっそう忙しく働かなくてはなりません。
瘢痕組織がいっぱいに増えてしまうと、肝臓は縮んでしまい正常に働かなくなります。
瘢痕組織は、飲酒をやめても、決してなくなりません。
アルコール性肝疾患にはどのような症状がありますか？
脂肪肝では、たいてい何の症状もみられません。
アルコール性肝炎では、ふつう次のようなことが起こります：
発熱
黄疸（皮膚や目が黄色くなる）
肝臓が腫れて痛む
元気がなく、疲れた感じがする
しかし、アルコール性肝炎ではひどく具合いが悪くなることがあります。からだの中で出血が起きたり、昏睡状態になったりすることがあるかもしれません。
肝硬変では、次のように深刻な健康上の問題がたくさん起こります：
おなかがふくらむ
脳に異常がおきて眠くなったり混乱したりする
血を吐く
粘りのある、血が混じっていたり黒く見えたりする便が出る
出血しやすくなったり、あざができやすくなったりする
肝臓がんになる危険が高くなる
お酒を飲みすぎていると、ほかにどのような症状が出ますか？
お酒を飲みすぎていると、ほかにも次のような深刻な健康上の問題を引き起こすことがあります。
医師はどのようにして、私がアルコール性肝疾患かどうかを判断しますか？
医師はまず、あなたとあなたの家族に、あなたがどれくらいお酒を飲んでいるかを聞きます。お酒をたくさん飲んでいるようであれば、医師はアルコール性肝疾患を疑います。
医師は、次のような検査もします：
肝臓の病気が飲酒によるものなのか、違う原因によるものなのかはっきりしない場合を除けば、ふつうこれ以上の検査は必要ありません。そのほかの検査には次のようなものがあります：
超音波検査（音波を使って体の中の写真をとる検査）
肝生検（針を使って肝臓から小さなかけらを切り取り、それを顕微鏡で調べる検査）
肝硬変がある場合、肝臓がんの検査を受けます。
医師はアルコール性肝疾患をどのように治療しますか？
あなたができる最も大切なことは次のとおりです：
飲酒をやめる
飲酒をやめるのは難しいことかもしれません。リハビリテーションプログラムに参加したり、サポートグループに参加したり、カウンセラーに相談したりすることが助けになります。医師は飲酒をやめることによる離脱症状をやわらげる薬を処方することがあります。
その他の治療法としては次のものがあります：
体によい食事やビタミンをとる
肝臓の炎症をやわらげるために、コルチコステロイドという薬を飲む
もし肝臓の状態がとても悪く、ほとんど働いていない場合は、肝臓移植が必要になるかもしれません。肝臓移植では、医師が手術をして、悪くなった肝臓を、ほかの人の健康な肝臓に置き換えます。アルコールは新しい肝臓も傷つけてしまうため、医師はふつう、お酒を飲むのをやめた人にしか肝臓移植をしません。
