コメンタリー—大腸内視鏡検査は本当に必要? 大腸がんスクリーニングについて患者が知っておくべきこと
コラム19年12月16日 Minhhuyen Nguyen, MD, Fox Chase Cancer Center, Temple University

心待ちにしていることリストがあるとしたら、大腸内視鏡検査は間違いなくリストの最下位近くになるでしょう。事実、多くの人はいろいろな理由で大腸内視鏡検査を避けたり、先延ばしにしたりしています。避ける理由としては、検査の準備過程が不快だからという人もいれば、恥ずかしいという人や、痛いのが怖いという人もいます。大腸内視鏡検査は決して楽しみにするものではないでしょうが、人々が感じている不安の多くは、この検査に対する時代遅れな理解に基づくものです。

現在の大腸内視鏡検査は、20年前から大きく変化しています。また予防スクリーニング検査のベネフィットは、検査やその準備に伴う不快感をはるかに上回るものです。皮膚がん以外では、大腸がん米国の男女で3番目に多いがんです。大腸内視鏡検査のような予防スクリーニング検査は、大腸がんを早期に発見して効果的な治療を開始するためにベストな方法です。

大腸内視鏡検査に対する不安を和らげるには、まず不確かなことをなくしましょう。ここでは、この検査と効果的な予防ケアについて、6つの質問を医師に尋ねてみます。

1. 大腸内視鏡検査とは何ですか?

大腸内視鏡検査は大腸がんのスクリーニング検査で、大腸に柔軟な観察機器を挿入してポリープを検出するものです。多くの場合、大腸内視鏡検査で発見されたポリープは検査中に切除され、がんの可能性を評価します。

内視鏡検査では、大腸を十分に洗浄しておく必要があるため、事前に準備が必要です。準備では、下剤を飲んだり、大腸がきれいになるまで何度かトイレに行ったりします。

2. 大腸内視鏡検査は何歳から受ける必要がありますか?

大腸がん発症リスクが平均的な人では、大腸がんのスクリーニング検査を50歳で開始します。ただ、もっと早くから医師に相談したい人もいるでしょう。米国がん協会は、平均的なリスクの人に対して大腸がんスクリーニングを45歳に開始することを推奨しています。米国がん協会は、50歳未満の人で大腸がんの発症率が上昇していることを受けて、2018年にこの変更を行いました。ただし、米国予防医学専門委員会を含む他の多くのグループはいまだに、平均的なリスクの人に対しては50歳でスクリーニングを開始するよう推奨しています。

しかし、先延ばしにするメリットは何もありません。大腸がんのリスクが平均的な人は、45歳の誕生日までにスクリーニング検査について少なくとも主治医に相談はしておいたほうがよいでしょう。

大腸がんのスクリーニング検査は、75歳まで継続する必要があります。76~85歳の高齢者では、医師が全般的な健康状態とこれまでのスクリーニング結果を考慮し、スクリーニングを継続するかどうか判断します。

 3. 大腸がんのリスク因子は何ですか?

また、大腸がんの「平均的なリスク」とはどういう意味ですか? 明確な定義はありませんが、注意したい重要なリスク因子があります。最も重要な因子は、大腸がんの家族歴です。一親等(親、兄弟姉妹または子供)に大腸がんになった人がいる場合、早めにスクリーニングを開始する必要があります。それ以外のリスク因子には、潰瘍性大腸炎クローン病など、大腸の病気に罹ったことがあることがあります

大腸がんはゆっくりと進行し、長い間症状がないことにも注意が必要です。それにもかかわらず、大腸内視鏡検査を先延ばしにしている人の多くは、懸念するような症状がないからまだ必要ないと言います。疲労や排便時の出血などの症状の有無ではなく、リスク因子や年齢に基づいてスクリーニング検査を受ける必要があります。

4. 検査の準備はどうすれば楽になりますか?

準備を回避する方法はありません。大腸内視鏡検査の準備では、十分な量の液体を飲み、何度かトイレに行く必要があります。それでも、昔ほど不快ではありません。最近行われている最も一般的な準備では、3~4リットルの液剤を飲み、検査までの24時間内に何度もトイレに通います。またその間、固形物は食べず、透明な液剤だけを飲む必要があります。 

準備過程の詳細は、検査を受ける人の状態や担当医師が推奨する方法によって異なります。液剤を飲むスピードなど、準備の詳細については担当医師に聞いてください。検査までに何か疑問に思ったことがありましたら、質問してください。 

5. 鎮静剤の投与を受けることはできますか?

大腸内視鏡検査を受けるほとんどの人は、鎮静剤を使用することを選択します。しかし、9%の人が鎮静剤を使用したくないから大腸内視鏡検査を先延ばしにしていると言っています。鎮静剤によるわずかなリスクと回復に要する時間が心配であれば、ほとんどの場合、麻酔を受けないことを選択できます。

6. 大腸内視鏡検査以外のスクリーニングには何がありますか?

大腸内視鏡検査以外のスクリーニングの選択肢としては、糞便中の血液を調べる年1回の免疫学的便潜血検査(FIT)や糞便中のがんの遺伝物質を調べる便DNA検査があります。便DNA検査は多くの場合、免疫学的便潜血検査と併わせて行い(FIT-DNA検査)、3年ごとに実施します。これらの検査は自宅で行うことができ、速やかに結果が出ます。便検査が陽性だった場合には、大腸内視鏡検査を受ける必要があります。これらの便検査が自身にとって適切なスクリーニングの選択肢となるかどうかは担当医師に相談してください。

注意点:年齢はただの数字です。リスクやスクリーニング検査のベストなアプローチは、人によって少しずつ違います。いちばん良いことは、まず担当医師と話し合うことです。早ければ早いほど良いでしょう。医師との会話の準備には、本マニュアルの大腸がんのページを参照してください。