子宮頸がん

執筆者:Pedro T. Ramirez, MD, Houston Methodist Hospital;
Gloria Salvo, MD, MD Anderson Cancer Center
レビュー/改訂 2022年 8月
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やさしくわかる病気事典

子宮頸がんは子宮頸部(子宮の下部)に発生します。子宮頸がんの大半は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって引き起こされます。

  • 子宮頸がんは通常、性的接触の際に感染するヒトパピローマウイルス(HPV)による感染の結果として発生します。

  • 最初の症状は通常、不規則な性器出血(不正出血)(通常は性行為後)ですが、がんが大きくなるか広がるまで何の症状もみられない場合もあります。

  • 通常は子宮頸部細胞診で異常が見つかり、その場合は生検を行います。

  • 定期的に子宮頸部細胞診を受け、ヒトパピローマウイルスのワクチン接種を受けることで子宮頸がんの予防に役立ちます。

  • 治療では手術でがんを切除するのが通常で、多くは周辺組織も切除しますが、腫瘍が大きい場合は、放射線療法や化学療法を併用することもよくあります。

女性生殖器のがんの概要も参照のこと。)

子宮頸部は子宮の下側の部分です。腟につながっています。

子宮頸がんは、米国では婦人科がんの中で3番目に多く、若い女性に多くみられます。診断時の平均年齢は約50歳ですが、35~44歳で診断されるのが最も一般的です。

世界的には、子宮頸がんの発生率と子宮頸がんによる死亡率は、高所得国より低所得国と中所得国の方が高くなっています。発生率はサハラ以南アフリカで最も高くなっています。子宮頸がんは、23カ国において女性の間で最も多くみられるがんであり、36カ国においてがんによる死亡の中で最も多い原因です。

女性の内性器の位置

子宮頸がんの約80~85%は扁平上皮がんで、これは子宮頸部を覆っている、皮膚の細胞に似た平らな扁平上皮細胞から発生するがんです。これ以外の子宮頸がんのほとんどは、腺細胞から発生する腺がんです。

子宮頸がんが発生する過程では、まず子宮頸部表面の正常な細胞に緩やかな進行性の変化が生じます。それらの変化は異形成または子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)と呼ばれ、がんになる前の状態(前がん病変)とみなされます。つまり、治療しないでいると、がんに変化する可能性があり、数年かかってがん化する場合もあります。CINは軽度(CIN 1)、中等度(CIN 2)、高度(CIN 3)に分類されます。

子宮頸がんは、子宮頸部の表面に発生し、表面下に深く広がっていきます。子宮頸がんは以下のように広がります。

  • 腟をはじめとする近くの組織に直接広がる

  • 子宮頸部に網の目のように張り巡らされている多数のリンパ管を介して別の部位に転移する

  • 血流を介して広がる(まれ)

子宮頸がんの原因

子宮頸部細胞の前がん病変(子宮頸部上皮内腫瘍)および子宮頸がんは、ほとんどの場合、性的接触を介して感染したヒトパピローマウイルス(HPV)によって引き起こされます。このHPVウイルスは尖圭コンジローマ(性器疣贅)も引き起こします。子宮頸がんの発生率は、HPVワクチン、子宮頸がんスクリーニングの利用や、子宮頸部上皮内腫瘍の治療が受けられる国では、過去数十年にわたり着実に低下しています。

子宮頸がん発生の危険因子には以下のものがあります。

  • 性感染症に曝露する可能性が高いこと(例、初めての性交時の年齢が低い、複数のセックスパートナーがいる、または性感染症の危険因子を有するセックスパートナーがいる)

  • 経口避妊薬(ピル)の使用

  • 喫煙者

  • 外陰、腟、肛門における前がん病変あるいはがんの既往

  • 免疫機能の低下(がんやエイズなどの病気または化学療法薬やコルチコステロイドなどの薬剤の影響による)

HPVは、口、性器、または肛門の接触を含むあらゆる種類の性行為によって感染する可能性があります。HPV感染は非常によくみられ、性的に活動的な人のおよそ80%が生涯に少なくとも1回はHPVに感染します。HPV感染の多くは短期間しか持続しませんが、HPVに2回以上感染する人もおり、一部のHPV感染は何年も持続します。

子宮頸がんの症状

通常、前がん病変(がんになる前の状態)では症状がみられません。早期の子宮頸がんでは症状がないことがあります。

通常、子宮頸がんの最初の症状は異常な性器出血で、多くは性行為後に生じます。月経期以外の時期に少量の性器出血または多量の出血がみられたり、月経が通常より重くなる場合もあります。がんが大きくなると出血を起こしやすくなり、悪臭のあるおりものや骨盤部の痛みを引き起こすこともあります。

がんが広範囲に及ぶと、腰痛や脚のむくみが起こることがあります。尿路の閉塞を起こすこともあり、治療せずにいると腎不全に至ることがあります。

子宮頸がんの診断

  • 子宮頸部細胞診(パパニコロウ検査)

  • 生検

子宮頸部細胞診を定期的に行うことで、子宮頸部表面の異常な前がん状態の細胞(異形成)を発見できます。前がん状態の細胞が認められる女性には、医師が定期的に検査を行います。異形成は治療できるため、がんの予防に役立ちます。

生検

内診で子宮頸部に腫瘍やびらん(ただれ)などの異常な領域がみられる場合や、子宮頸部細胞診で前がん状態の細胞やがん細胞が見つかった場合は、生検を行います。通常は、コルポスコピー(双眼の拡大鏡が付いた機器[コルポスコープ]を用いて行う検査)と呼ばれる検査を行い、腟経由で子宮頸部を観察し、生検に適した部位を特定します。

2種類の検査が行われます。

  • 子宮頸部の生検:コルポスコープで観察して決めた部位から子宮頸部の小片を採取します。

  • 子宮頸部擦過細胞診:子宮頸部の内側から組織をこすり取ります。

これらの検査は子宮頸部細胞診を受けるのと似ています。検査の際には痛みはほとんどなく、出血量もわずかです。

これらの方法で診断を確定できない場合は、円錐切除術を行って、子宮頸部の組織をより大きく円錐形に切除します。通常は、高周波電流の流れる細いループ状のワイヤーを使用するループ電気メス切除法(LEEP法)で行います。代わりにレーザーが使用されることもあります。どちらの方法も局所麻酔だけで済みます。もう1つの代替法はメスを用いる方法です。この方法は手術室で麻酔下で行う必要があります。

子宮頸がんの病期診断

子宮頸がんと診断されたら、その正確な大きさと位置(病期)を判定します。そのために、まず内診と胸部X線を行います。次に、がんが近くの組織や離れた部位に広がっていないかを調べるため、通常、CT検査、MRI検査、またはPET-CT検査(CTとPETを組み合わせた検査)を行います。これらが利用できない場合、医師は特定の臓器を調べるため、膀胱鏡検査(膀胱)、S状結腸内視鏡検査(結腸)、排泄性尿路造影検査(尿路)などの他の検査を行うこともあります。

医師は通常、画像検査や生検を行って、リンパ節への広がりがないかも調べます。がんがリンパ節に広がっているかどうかや、転移しているリンパ節の数を知ることは、医師が患者の経過を予測し、治療を計画するのに役立ちます。

子宮頸がんの病期は、I期(早期がん)からIV期(進行がん)に分類されます。病期分類は、がんの大きさや体内での広がりに基づきます。

  • I期:がんが子宮頸部に限局している。

  • II期:がんが腟の上3分の2や子宮外の組織などの子宮外に広がっているが、骨盤内(内性器、膀胱、および直腸がある部分)にとどまっている。

  • III期:がんの骨盤内全体もしくは腟の下3分の1に広がっている、および/または尿管の閉塞および/または腎臓の機能障害を引き起こしている、および/または大動脈(体内で最も太い動脈)近くのリンパ節に広がっている。

  • IV期:がんが骨盤外および/または膀胱もしくは直腸に広がっている、または離れた臓器に転移している。

子宮頸がんの予後(経過の見通し)

予後は子宮頸がんの病期によって異なります。診断と治療から5年後に生存している人の割合は、以下の通りです。

  • I期:80~90%

  • II期:60~75%

  • III期:30~40%

  • IV期:15%以下

がんが再発する場合、通常は診断と治療から2年以内に再発します。

知っていますか?

  • 子宮頸部細胞診が利用可能な国では、この検査の導入以降、子宮頸がんによる死亡数は50%以上減少しました。

  • すべての女性がヒトパピローマウイルス(HPV)検査または子宮頸部細胞診を定期的に受ければ、このがんによる死亡数をほぼゼロにすることも可能といわれています。

  • ヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンの接種が子宮頸がんの予防に役立ちます。

子宮頸がんの予防

スクリーニング検査

子宮頸がんスクリーニングは、子宮頸がんおよび子宮頸がんによる死亡を効果的に予防します。

子宮頸がんのスクリーニングには以下の2種類の検査が用いられます。

  • HPV検査:子宮頸部のサンプルを検査し、多くの子宮頸がんの原因となる一部のHPV株の有無を調べる。

  • 子宮頸部細胞診:子宮頸部からの細胞を顕微鏡で検査し、がん化しているものや異常なものがないか調べる。異常な細胞は、治療をしないとがんに進行する可能性がある(前がん状態の細胞と呼ばれる)。

子宮頸部細胞診が利用可能な国では、この検査の導入以降、子宮頸がんによる死亡数は50%以上減少しました。

子宮頸がんスクリーニングは、子宮頸部を摘出していないすべての女性に対して21歳から25歳で開始することが推奨されます。スクリーニング検査は通常、年齢および検査の種類に応じて3~5年毎に行います。

65歳以降はスクリーニングを中止することもありますが、これは過去10年間に十分な数の検査結果が正常であった場合に限られます。

子宮全摘出術(子宮頸部を含む子宮の外科的切除)を受け、子宮頸がんおよび前がん病変の既往がない女性では、HPV検査や子宮頸部細胞診を受ける必要はありません。

すべての女性が推奨されている通りに子宮頸がんの検査を受ければ、このがんによる死亡数をほぼゼロにできる可能性があります。しかし、米国では多くの女性が定期的に検査を受けておらず、また中所得国や低所得国では、多くの場合子宮頸がんスクリーニングが利用できません。

ヒトパピローマウイルスワクチン

HPVワクチンでは、大半の子宮頸がん(および尖圭コンジローマや肛門、腟、陰茎、咽頭、食道などのがん)の原因となる種類のHPVに対する免疫が得られます。このワクチンは子宮頸がんを始めとするがん予防に役立ちます。

性的に活動的になる前のワクチン接種が最も有効ですが、すでに性的に活動的である人でもワクチン接種を受けるべきです。

医師は小児には11歳または12歳でのワクチン接種を推奨していますが、9歳からワクチン接種を受けることが可能です。

15歳未満では、6~12カ月の間隔を空けてワクチンを2回接種します。

15~26歳では、ワクチン接種は3回行います。1回目の接種から2カ月後に2回目の接種を行います。1回目の接種から、6カ月後に最後の接種を行います。

コンドーム

性交時にコンドームを正しく使うことがHPVの感染予防に役立つ可能性があります。ただし、感染しうる部位をコンドームですべて覆うことはできないため、またHPVは口、性器、肛門の外部接触によって伝播する可能性があるため、コンドームでHPV感染を完全に防御することはできません。

子宮頸がんの治療

  • 手術、放射線療法、および/または化学療法

子宮頸がんの治療は、がんの病期によって異なります。手術、放射線療法、化学療法などがあります。

前がん病変およびI期の初期の子宮頸がん

前がん状態の子宮頸部細胞(子宮頸部上皮内腫瘍)子宮頸部の表面だけに限局している子宮頸がん(I期の初期)には、同様の治療が行われます。円錐切除術の際に子宮頸部の一部を切除することで、がんを完全に取り除くことができます。ループ電気メス切除法(LEEP)、レーザー、あるいはメスを用いる場合があります。これらの方法では治療後も子どもを産むことができます。

子宮の摘出(子宮摘出術)は、女性が妊よう性を維持することに関心がない場合に行われることがあります。円錐切除術の後もがんの一部が残っている場合は、子宮摘出術または再度の円錐切除術を行うことがあります。

早期がんが子宮頸部や血管、リンパ管の深部に広がっている場合には、準広汎子宮全摘術と、近くのリンパ節の切除を行います。準広汎子宮全摘術では、子宮頸部とその隣接する組織(子宮傍結合織と呼ばれます)を切除します。しかし、標準的な広汎子宮全摘出術とは異なり、準広汎子宮全摘術では子宮傍結合織は半分だけを切除します。

センチネルリンパ節マッピングと呼ばれる手法を用いて、リンパ節にがん細胞の転移がないかについて調べることもあります。

他の治療の選択肢としては、外照射療法と放射線を放出する機器(小線源)を子宮頸管内に入れてがんを破壊する方法(密封小線源治療と呼ばれる内照射療法の一種)の併用があります。

放射線療法では、膀胱や直腸に刺激感が生じることがあります。その結果、後になって腸が閉塞したり、膀胱や直腸がダメージを受けることがあります。また、通常は卵巣の機能も停止し、腟が狭くなることもあります。

I期の後期~II期の初期の子宮頸がん

子宮頸がんが子宮頸部の表面を越えて広がっているものの、がんがまだ比較的小さい場合には、治療は一般的に以下を行います。

  • 広汎子宮全摘出術(子宮摘出術に加えて腟の上部を含む周辺組織と靱帯を切除する)およびリンパ節の評価

子宮摘出術は、腹部を大きく切開するか(開腹手術)、細い観察用のチューブ(腹腔鏡)と特殊な手術器具をへそのすぐ下の小さな切開部から挿入して行います。研究から、開腹手術を行った場合では、腹腔鏡手術を行った場合よりもがんが再発する可能性が低く、女性の生存期間が長くなる可能性が高いことが示されています。

他の治療法として、外照射療法と、がんを破壊するために放射線を放出する機器(小線源)を子宮頸管に留置する方法(密封小線源治療)との併用があります。

がんが骨盤内に進展するか広がり始めている場合、治療は一般的に以下を行います。

  • 放射線療法と化学療法

子宮頸がんは卵巣に広がる(転移する)可能性が低いため、卵巣は通常そのまま残します。

手術中にがんが子宮頸部以外に広がっていることが分かった場合には、子宮摘出術は行わず、放射線療法と化学療法の併用が推奨されます。

II期の後期~IV期の初期の子宮頸がん

子宮頸がんが骨盤内でさらに広がっている場合や、他の臓器に広がっている場合は、以下の治療が適しています。

  • 放射線療法と化学療法

リンパ節に転移があるかどうかを判定し、放射線の照射部位を決定するために、PET-CT検査(PETとCTを組み合わせた検査)を行うこともあります。がんを小さくし、近くのリンパ節に広がっている可能性のあるがんを治療するため、外部照射(体外から骨盤部に放射線を照射する方法)が行われます。その後、放射線を放出する機器(小線源)を子宮頸管内に入れ、がんを破壊します(密封小線源治療と呼ばれる内照射療法の一種)。

多くの場合腫瘍が放射線療法によるダメージを受けやすくするために、放射線療法と併せて化学療法を行います。

子宮頸がんが広範囲に広がっている場合と再発した場合

子宮頸がんが広範囲に広がっている場合と再発した場合、主な治療は以下を行います。

  • 化学療法(通常はパクリタキセル+シスプラチンまたはノギテカンの併用)

しかし、治療を受けた女性の半数近くで化学療法によってがんの縮小や転移の抑制といった効果が得られるものの、これらの有益な効果は通常は一時的なものにすぎません。別の薬剤(いくつかの種類のがんの治療に使用されるモノクローナル抗体であるベバシズマブまたはペムブロリズマブ)を追加することにより、生存期間が数カ月延びる可能性があります。

放射線療法の後に骨盤内にがんが残っている場合は、骨盤内臓器の一部または全部を切除する手術(骨盤除臓術と呼ばれます)を勧められることがあります。対象となる臓器には、生殖器(腟、子宮、卵管、および卵巣)、膀胱、尿道、直腸、および肛門が含まれます。どの臓器を切除するかや、すべてを切除するかどうかは、がんの位置、患者の解剖学的構造、手術後の目標など、多くの要因によって異なります。尿(人工膀胱造設術)と便(人工肛門造設術)を排出するため、腹部に固定した開口部を作り、そこを通して排泄物を体外に出し、バッグに貯められるようにします。

センチネルリンパ節マッピングと郭清術

センチネルリンパ節はがん細胞が広がる可能性が高い最初のリンパ節です。センチネルリンパ節は複数存在する場合があります。これらのリンパ節は、がんの広がりを最初に警告するリンパ節であることから、センチネルリンパ節と呼ばれます(「センチネル」とは見張りという意味です)。

センチネルリンパ節郭清術では、以下を行います。

  • センチネルリンパ節を特定する(マッピングと呼ばれる)

  • センチネルリンパ節を切除する

  • センチネルリンパ節を検査し、がん細胞が存在しているかどうか判定する

センチネルリンパ節を特定するには、青もしくは緑の色素または放射性物質を子宮頸部の腫瘍に近い位置に注入します。これらの物質が通過する経路により、子宮頸部から最初にたどり着く骨盤部のリンパ節(複数の場合もあります)を特定できます。そして手術中に、青または緑色をしているか放射線(手持ち式の装置で検出)を発しているリンパ節がないか調べます。医師はこれらのリンパ節を切除し、検査室に送ってがんがないかを調べます。センチネルリンパ節にがん細胞が検出されなかった場合は、それ以上リンパ節を切除することはありません(異常にみえるものがある場合を除く)。

早期子宮頸がんの女性では、センチネルリンパ節郭清術は、骨盤内のリンパ節切除に代わる選択肢となります。子宮頸がんがリンパ節に広がるのは、早期がんの女性のわずか15~20%です。センチネルリンパ節郭清術は、切除する必要のあるリンパ節を、ときに1つのみにまで限定するのに役立ちます。リンパ節の切除によって、しばしば組織に体液が貯留し慢性的なむくみ(リンパ浮腫)を起こしたり、神経が損傷するなどの問題が生じます。

子宮頸がん後の妊よう性および閉経

広汎子宮全摘出術、化学療法、または放射線療法による治療により、妊娠したり、満期まで妊娠を継続したりすることが通常、不可能になります。しかし、妊娠・出産が可能であることが重要であれば、患者は主治医に相談し、治療が妊よう性に及ぼす影響や、将来の妊娠が不可能とならない治療に適格かどうかについて、できるだけ多くの情報を得るべきです。

円錐切除術は、低リスクかつ早期の子宮頸がんで、妊よう性を残すことを希望する女性にとって、選択肢の1つになる場合があります。この処置の前には、医師はがんが骨盤内のリンパ節に転移していないか確認します。がんが転移していない場合は、円錐切除術を行う際に子宮頸部の一部を切除することで、がんを完全に取り除ける場合があります。

早期の子宮頸がんがある女性で、将来妊娠・出産をしたいと希望する場合は、広汎子宮頸部摘出術(妊よう性を温存する治療)と呼ばれる別のがん治療が可能な場合があります。この方法では子宮頸部、子宮頸部に隣接する組織、腟上部、骨盤部のリンパ節を切除します。これらの組織を切除するために以下のいずれかの方法が用いられます。

  • 開腹手術を行う

  • へそのすぐ下を小さく切開して腹腔鏡を挿入し、器具を腹腔鏡に通して、ときにロボットによる支援下で手術を行う(腹腔鏡下手術)

  • 腟から組織を切除する(腟式手術)

子宮と腟の下部を再びつなぎ合わせるため、手術後も妊娠が可能です。ただし、分娩は帝王切開で行う必要があります。

早期の子宮頸がんであれば、子宮頸部摘出術は多くの患者で広汎子宮頸部摘出術と同程度に効果があると考えられています。

閉経前の女性が放射線療法を受けている場合、医師は早発閉経の原因とならないように卵巣を保護するための選択肢について話し合います。骨盤への放射線療法の前には、卵巣が放射線にさらされるのを避けるため、卵巣を放射線を照射する領域の外に移動させることがあります(卵巣固定術)。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  1. 米国国立がん研究所:子宮頸がん(National Cancer Institute: Cervical Cancer):このウェブサイトでは、子宮頸がんに関する一般的な情報へのリンクのほか、がんの原因、予防、スクリーニング、治療、研究、がんへの対処に関する情報へのリンクを提供しています。

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