子宮頸管狭窄症ではしばしば、症状がみられません。
まれに、子宮に血液や膿がたまることがあります。
子宮口を広げる処置で症状を和らげることができます。
子宮頸管狭窄症では、子宮頸管(腟と子宮体部をつないでいる通路)が狭くなるか、完全に閉塞します。
子宮頸管狭窄症は通常、以下の病気などのために生じます。
子宮頸がん 子宮頸がん 子宮頸がんは子宮頸部(子宮の下部)に発生します。子宮頸がんの大半は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって引き起こされます。 子宮頸がんは通常、性的接触の際に感染するヒトパピローマウイルス(HPV)による感染の結果として発生します。 最初の症状は通常、不規則な性器出血(不正出血)(通常は性行為後)ですが、がんが大きくなるか広がるまで何の症状もみられない場合もあります。... さらに読む または 子宮内膜がん 子宮体がん 最も一般的な種類の子宮体がんは、子宮の内側を覆っている子宮内膜という組織から発生し、子宮内膜がんと呼ばれています。 子宮内膜がんは通常は閉経後に発生します。 典型的には異常な性器出血(不正出血)を引き起こします。 診断には、子宮内膜から採取した組織サンプルを検査します(生検)。 治療には子宮、卵巣、卵管の摘出、およびときに近くのリンパ節の切除があり、その後に放射線療法を行うことが多いですが、化学療法またはホルモン療法を行うこともあります... さらに読む
子宮頸部の手術(例えば前がん病変[異形成]の治療のため)
性器出血が持続する場合に子宮内膜を破壊または除去する処置(子宮内膜アブレーション)
子宮頸がんまたは子宮内膜がんを治療する放射線療法
まだ月経のある女性では、子宮内膜の細胞が混じった経血が骨盤内に逆流し、 子宮内膜症 子宮内膜症 子宮内膜症では、正常な状態では子宮内膜(子宮の内側を覆っている層)にしか存在しない組織(子宮内膜組織)が子宮以外の場所で認められます。 子宮内膜組織が子宮以外の場所に出現する理由は分かっていません。 子宮内膜症は妊よう性(妊娠のしやすさ)を低下させたり、痛み(特に月経前、月経中、性交時)を生じさせたりすることがありますが、何の症状も引き起... さらに読む が生じることもあります。
まれに、子宮頸管狭窄症があると子宮内に血液がたまることがあります(子宮留血症)。
また、まれに子宮内に膿がたまることがあります(特に子宮頸管狭窄症の原因が子宮頸がんか子宮内膜がんである場合)。これを子宮留膿症といいます。
子宮頸管狭窄症の症状
子宮頸管狭窄症ではしばしば、症状がみられません。
閉経前であれば、子宮頸管狭窄症は 無月経 無月経 月経がないことを無月経といいます。 以下の状況では、無月経は正常です。 思春期以前 妊娠中 授乳中 さらに読む 、月経時の痛み(月経困難症 月経痛 月経痛とは、月経の数日前、月経中、または月経後に体幹の最下部(骨盤部)に生じる痛みです。痛みは、月経開始から約24時間後に最も強くなり、2~3日後に治まる傾向にあります。普通は締めつけるような痛みや鋭い痛みが起きたり消えたりしますが、鈍い痛みが続くこともあります。痛みが腰や脚に広がることもあります。 多くの女性に頭痛、吐き気(ときに嘔吐を伴う)、便秘や下痢もみられます。排尿回数が増えることもあります。... さらに読む )、 不正出血 異常子宮出血(AUB) 異常子宮出血は腟からの出血で、回数が多いか、不規則に起こるか、正常な月経より長く続くか、量が多い出血をいいます。最もよくみられる種類の異常出血は、ホルモンによる月経のコントロールが変化し、卵子の放出(排卵)に問題が生じることによって起こります。この種類の異常子宮出血は、排卵障害による異常子宮出血(AUB-O)と呼ばれます。 異常子宮出血は、身体診察や超音波検査、その他の検査によって通常の性器出血の原因が除外された場合に診断されます。... さらに読む などの月経異常を引き起こすことがあります。ときに、精子が子宮頸部を通過できず受精が起こらないため、子宮頸管狭窄症が不妊症の原因になることがあります。
子宮留血症や子宮留膿症があると、痛みが生じたり、子宮が膨隆したりすることがあります。骨盤部にしこりを感じる人もいます。
子宮頸管狭窄症の診断
医師による評価
ときに、がんの可能性を否定するための検査
この病気は以下のような症状と状況から疑われることがあります。
子宮頸部の手術後に月経が停止するか、痛みが生じた場合
例えばパパニコロウ検査またはヒトパピローマウイルス(HPV)検査(子宮頸部細胞診)、あるいは子宮内膜生検における組織サンプルの採取などの別の検査の際に、子宮頸部に器具を挿入することができない場合
子宮頸部から子宮内にプローブを挿入できなければ、子宮頸管狭窄症の診断が確定します。
子宮頸管狭窄症による症状が現れている場合は、がんの可能性を否定するための検査が行われます。閉経前の女性に子宮留血症または子宮留膿症がある場合は、このような検査として 子宮頸部細胞診 子宮頸がんのスクリーニング検査 医師は、 スクリーニング検査を勧めることがあります。スクリーニング検査とは、症状がない人に対して病気の有無を調べるために行われる検査です。女性に生殖器系に関連する症状(婦人科疾患の症状)がある場合、症状を引き起こしている病気を特定するための検査( 診断目的の検査)が必要になることがあります。 婦人科領域では以下の2つのスクリーニング検査が重要です。 子宮頸がん(子宮の下部のがん)の有無を調べるためのパパニコロウ検査などの細胞診またはヒト... さらに読む (パパニコロウ検査やHPV検査)と 子宮内膜生検 子宮 医師は、 スクリーニング検査を勧めることがあります。スクリーニング検査とは、症状がない人に対して病気の有無を調べるために行われる検査です。女性に生殖器系に関連する症状(婦人科疾患の症状)がある場合、症状を引き起こしている病気を特定するための検査( 診断目的の検査)が必要になることがあります。 婦人科領域では以下の2つのスクリーニング検査が重要です。 子宮頸がん(子宮の下部のがん)の有無を調べるためのパパニコロウ検査などの細胞診またはヒト... さらに読む が行われることがあります。これらの検査前には、子宮頸部を拡張させる頸管拡張(頸管拡張・内膜掻爬 頸管拡張・内膜掻爬 医師は、 スクリーニング検査を勧めることがあります。スクリーニング検査とは、症状がない人に対して病気の有無を調べるために行われる検査です。女性に生殖器系に関連する症状(婦人科疾患の症状)がある場合、症状を引き起こしている病気を特定するための検査( 診断目的の検査)が必要になることがあります。 婦人科領域では以下の2つのスクリーニング検査が重要です。 子宮頸がん(子宮の下部のがん)の有無を調べるためのパパニコロウ検査などの細胞診またはヒト... さらに読む の一部)という処置を行います。この処置により、医師が検査のために子宮頸部や子宮内膜からサンプルを採取できるようになります。
以下のすべてに該当する場合には、それ以上の検査を行う必要はありません。
女性が閉経後である(月経が停止している)。
無症状で子宮留血症や子宮留膿症がない。
子宮頸部細胞診の結果が正常である。
子宮頸管狭窄症の治療
子宮頸部の拡張
子宮頸管狭窄症の治療は、症状や子宮留血症、子宮留膿症がみられる場合にのみ行います。治療では、潤滑剤を塗った細い金属棒(拡張器)を子宮口から挿入して子宮頸部を広げ、拡張器は徐々に太いものに変えていきます。頸管を開いた状態にしておくために、子宮頸管ステントと呼ばれるチューブを4~6週間留置することがあります。