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網膜中心動脈閉塞症と網膜動脈分枝閉塞症

(中心動脈閉塞症、動脈分枝閉塞症)

執筆者:

Sonia Mehta

, MD, Vitreoretinal Diseases and Surgery Service, Wills Eye Hospital, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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網膜(眼の奥にある光を感じる透明な構造物)の動脈が閉塞すると、痛みを伴わない突然の視力障害が発生します。

  • 典型的には、医師が検眼鏡で眼の診察をして診断を下しますが、診断のための検査が行われることもあります。

  • 通常、視力回復のための治療は効果がありません。

網膜中心動脈は網膜に血液を供給している主要な血管です。塞栓または血栓(動脈内に形成される血液のかたまり)により、この血管が完全に閉塞してしまうことがあります。閉塞は、中心動脈に起こることもあれば、その分枝に起こることもあります。

塞栓とは、血流に浮く固形の物質の集積で、これが血管に詰まると血流を阻害します。塞栓となりうる物質には、アテローム性プラーク( 動脈硬化 動脈硬化 アテローム性動脈硬化とは、太い動脈や中型の動脈の壁の中に主に脂肪で構成されるまだら状の沈着物(アテロームあるいはアテローム性プラーク)が形成され、それにより血流が減少ないし遮断される病気です。 アテローム性動脈硬化は、動脈の壁が繰り返し損傷を受けることによって引き起こされます。... さらに読む 動脈硬化 )、脂肪、感染した心臓弁(心内膜炎 感染性心内膜炎 感染性心内膜炎は、心臓の内側を覆っている組織(心内膜)に生じる感染症で、通常は心臓弁にも感染が及びます。 感染性心内膜炎は、血流に入った細菌が損傷のある心臓弁に到達して、そこに付着することで発生します。 急性細菌性心内膜炎では通常、高熱、頻脈(心拍数の上昇)、疲労、そして広範囲にわたる急激な心臓弁の損傷が突然もたらされます。... さらに読む 感染性心内膜炎 )にできた細菌のかたまり、または心房の良性腫瘍(心臓粘液腫 粘液腫 粘液腫は良性の原発性心臓腫瘍で、通常は不規則でゼリーのような形状をしています。 息切れや失神、発熱、体重減少がみられる場合があります。 診断は心エコー検査で確定されます。 手術で粘液腫を切除する必要があります。 原発性(心臓から発生した)心臓腫瘍の半数が粘液腫です。粘液腫の4分の3は左心房(肺から出た酸素を豊富に含む血液が流れ込む心腔)に発生します。粘液腫は女性に多く、典型的には40~60歳の女性に発生します。 さらに読む )などの欠片があります。

また、閉塞の原因が不明な場合もあります。

症状

異常のある方の眼の視野全体に、重度の視力障害が突然起こりますが、痛みは伴いません。ときに、視野の一部のみが損なわれることもあります。

網膜中心動脈が閉塞すると、網膜または虹彩に異常血管が増殖することもあります。ときにはこれらの異常血管が出血したり、痛みを伴うタイプの緑内障(新生血管緑内障と呼ばれます)を引き起こしたりします。

診断

  • 医師による眼の診察

  • フルオレセイン蛍光眼底造影

  • 光干渉断層撮影

  • ときに、心エコー検査、ドプラ超音波検査、血液検査

検眼鏡で、血管および網膜の変化を見ることができます。網膜中心動脈が閉塞すると、網膜は青白く見えます。

フルオレセイン蛍光眼底造影 眼の血管造影検査 眼の病気を診断したり、その重症度や広がりを特定したりするために、様々な検査が行われます。左眼、右眼それぞれ別に検査します。 血管造影検査は一般に、血管に造影剤を注射し、画像検査で血管を見えやすくするものです。しかし、眼の血管造影検査では造影剤(色素)を使うことで、医師が直接診察するときに血管を見えやすくするものであり、この色素は写真にも写ります。 フルオレセイン蛍光眼底造影検査を行うと、医師は眼底の血管をはっきりと観察できるようになりま... さらに読む は、網膜の損傷の範囲を決定し、治療計画を立てるのに役立ちます。この検査では、蛍光色素を腕の静脈から注射して網膜の写真を撮影します。光干渉断層撮影 光干渉断層撮影 眼の病気を診断したり、その重症度や広がりを特定したりするために、様々な検査が行われます。左眼、右眼それぞれ別に検査します。 血管造影検査は一般に、血管に造影剤を注射し、画像検査で血管を見えやすくするものです。しかし、眼の血管造影検査では造影剤(色素)を使うことで、医師が直接診察するときに血管を見えやすくするものであり、この色素は写真にも写ります。 フルオレセイン蛍光眼底造影検査を行うと、医師は眼底の血管をはっきりと観察できるようになりま... さらに読む (画像検査の一種)は、網膜の腫れ(よくみられます)を見つけるのに役立つことがあります。

予後(経過の見通し)

閉塞が網膜中心動脈の分枝に起こった場合、良好ないし十分な視力を保てます。

閉塞が網膜中心動脈の本幹に起こった場合、視力障害はしばしば高度で、治療をしても治らないことがあります。

血流が途絶えて早ければ90分で網膜の組織に永続的な損傷が残りますが、その場合、視力障害も生涯残るのが普通です。

網膜動脈閉塞症の原因が巨細胞性動脈炎である場合、迅速な診断と治療により、失われた視力をある程度回復し、他眼の損傷を防ぐことができます。

治療

  • 危険因子のコントロールによる予防

  • ときに眼圧を下げる処置(点眼薬、眼球マッサージ、穿刺による眼の中の液体の除去など)

  • ときに異常血管または出血がみられる血管に対するレーザー処置

  • 巨細胞性動脈炎に対し、コルチコステロイド

治療は効果的ではないことが多いため、高血圧、糖尿病、その他の動脈硬化の危険因子をコントロールして閉塞を予防することが望まれます。

しばしば網膜動脈の閉塞を解除するための緊急治療が行われますが、効果が得られることはまれです。血圧を下げる薬(チモロールの点眼薬またはアセタゾラミドの経口薬)を投与したり、閉じたまぶたの上から指で眼を間欠的にマッサージしたりすると、眼圧が下がることがあります。

このほか、前房穿刺(せんし)という方法が眼圧を下げるのに役立つことがあります。前房穿刺では、点眼薬で眼を麻酔してから前房に針を刺し、中の液体を少量抜き取って眼圧を急速に下げます。

眼球マッサージや前房穿刺で眼圧が下がると、血管に詰まっている血のかたまりや塞栓がそこから離れてより細い枝へと移動することがあり、これにより網膜の損傷領域を小さくできます。

巨細胞性動脈炎が疑われる場合は、できる限り早くコルチコステロイドを経口投与または静脈内投与します。

新生血管緑内障を治療もしくは予防するため、または眼内への出血によるさらなる視力障害を予防するため、レーザー治療により異常血管を破壊することがあります。しかし、新生血管緑内障の治療は困難です。

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