眼は赤くなり、結膜には瘢痕ができ、まつ毛は内に向き、角膜が濁って視力が損なわれます。
診断は、症状と診察の結果に基づいて疑われ、通常は結膜の生検によって確定されます。
人工涙液(るいえき)を使ったり、内に向いたまつ毛を抜いたりするほか、人によっては免疫系を抑制する薬が必要になることもあります。
(結膜と強膜の病気の概要 結膜と強膜の病気の概要 結膜とは、まぶたの裏側から折り返して強膜(眼を覆う白く丈夫な線維の層)を覆い、角膜(虹彩と瞳孔の前にある透明な層)の縁まで続いている膜です( 眼の構造と機能を参照)。結膜は小さい異物や感染症の原因となる微生物が眼の中に入るのを防ぐとともに、涙液の層を維持して眼を守っています。 最も一般的な結膜の病気は、炎症(結膜炎)です。炎症の原因は、以... さらに読む と 粘膜類天疱瘡 粘膜類天疱瘡 粘膜類天疱瘡(ねんまくるいてんぽうそう)とは、体の粘膜に水疱ができる自己免疫疾患です。最もよく侵されるのは口と眼の粘膜です。 粘膜類天疱瘡は免疫系が粘膜を攻撃することで起こり、水疱とびらんが生じます。 口の中や体の他の部位に水疱が生じます。 粘膜類天疱瘡の診断は、組織のサンプルを顕微鏡で調べることによって下されます。 治療は通常、コルチコステロイドや免疫の働きを抑える薬(免疫抑制薬)により行います。 さらに読む も参照のこと。)
眼粘膜類天疱瘡は、 自己免疫疾患 自己免疫疾患 自己免疫疾患とは免疫系が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。 自己免疫疾患の原因は不明です。 症状は、自己免疫疾患の種類および体の中で攻撃を受ける部位によって異なります。 自己免疫疾患を調べるために、しばしばいくつかの血液検査が行われます。 治療法は自己免疫疾患の種類によって異なりますが、免疫機能を抑制する薬がしばしば使用されます。 さらに読む (体の 免疫系 免疫系の概要 人間の体には、異物や危険な侵入物から体を守る仕組みとして、免疫系が備わっています。侵入物としては以下のものがあります。 微生物( 細菌、 ウイルス、 真菌など) 寄生虫(蠕虫[ぜんちゅう]など) がん細胞 移植された臓器や組織 さらに読む が正常に機能せず、体が自分の組織を攻撃してしまう病気)の1つです。結膜(まぶたの裏側と白眼部分を覆う膜)から始まる炎症を引き起こします。この病気は、体の他の粘膜にも影響を及ぼすことがあります。
眼の内部の構造
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症状
眼粘膜類天疱瘡では、両方の眼が侵され、最初は両眼が赤くなります。その後、結膜が縮み、上まぶたまたは下まぶたを引っ張って眼からはなすことが難しくなります。ずっと後になってから、眼が乾燥します。
角膜(虹彩と瞳孔の前にある透明な層)が濁るため、網膜に光が届かなくなり、視力が低下します。
診断
医師による症状の評価
眼の診察
結膜の生検
医師は通常、症状と眼の診察の結果に基づいて眼粘膜類天疱瘡を疑います。眼の診察には、 細隙灯(さいげきとう)顕微鏡 細隙灯顕微鏡検査 眼に何らかの症状が出た場合は、医師の診察を受けるべきです。 しかし、眼の病気の中には、初期段階では症状がほとんどまたはまったくないものもあります。したがって、症状がなくても、眼科医やオプトメトリストによる定期的な検査を1~2年に1回程度(眼の状態によってはもう少し頻繁に)受けるべきです。眼科医とは、眼の病気の評価と(手術を含む)治療を専門... さらに読む (拡大鏡下に眼を診察できる器具)による眼の観察も含まれます。診断は通常、結膜の生検によって確定されます。このタイプの生検では、結膜から採取したサンプルが顕微鏡で調べられます。
治療
人工涙液
まつ毛の除去
ときに薬物療法
眼粘膜類天疱瘡では、症状を緩和し、一部の合併症を予防するため、人工涙液を使用したり、内に向いたまつ毛を除去(例えば、抜く、凍らせる、電気で焼くなどの方法で)したりします。病気が進行する場合は、ジアフェニルスルホン、メトトレキサート、ミコフェノール酸モフェチル、またはシクロホスファミドなど、免疫系の働きを抑える薬が必要です。