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飛蚊症

執筆者:

Christopher J. Brady

, MD, Wilmer Eye Institute, Retina Division, Johns Hopkins University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 6月
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飛蚊症(ひぶんしょう)は、外界に対応する物がないにもかかわらず、視界にほこりや糸くずのようなものが見える現象です。飛蚊症はよくみられる症状です。

原因

飛蚊症は、外界から来る光以外の何かが網膜を刺激したときに起こります。網膜は、眼の奥にある光を感じる構造物です。網膜は、この刺激を受け取り、脳に信号を送ります。脳はこの信号を受け取り、視界に浮かぶ物体と解釈したり(飛蚊症)、稲妻、スポットライト、または星のように突然ピカッと走る光と解釈したり(光視症)します。光視症は、眼を擦ったときなどに起こります。

眼の内部の構造

飛蚊症の最も一般的な原因は以下のものです。

  • 眼球を満たすゼリー状の物質(硝子体[しょうしたい])が縮むこと

およそ50~75歳の間に、硝子体は縮み、ときおり網膜を引っ張るようになります。網膜は引っ張られることにより刺激され、光や物の幻影を写し出し、飛蚊症をもたらします。このような飛蚊症(特発性の飛蚊症)は無害です。あまり一般的ではありませんが、硝子体が網膜から完全に離れてしまうこともあります(硝子体剥離)。

あまり一般的ではないものの深刻な原因としては以下のものがあります。

ときに、片頭痛 片頭痛 片頭痛は、中等度から重度の、脈打つような痛みやズキズキする痛みで、頭の片側または両側に生じます。身体活動、光、音、匂いなどによって悪化し、吐き気や嘔吐を伴ったり、音、光、匂いに過敏になったりします。 片頭痛は、睡眠不足、天候の変化、空腹、感覚への過度の刺激、ストレス、その他の要因が引き金となって発生します。 身体活動、光、音、または匂いによって悪化することがあります。 医師は典型的な症状に基づいて診断します。... さらに読む が視覚症状を引き起こすことがあります。この視覚症状は、白くギザギザした点滅する光の筋が、まず視野の中心に現れ、その後視野全体に広がります(飛蚊症のように個々の物体が見えるわけではありません)。これは通常、20分ほど経つと、視野の周辺から消え始め、最後に視野の中心から消え去ります。この視覚症状には、頭痛が伴わないこともあります。こうした症状を眼性片頭痛といいます。同様の症状、または片眼の部分的な視力障害が約10~60分続くこともあり、その後にしばしば片頭痛が始まります(片頭痛の前兆と呼ばれます)。このような症状は網膜ではなく、脳内の現象が原因で起こっています。

眼の腫瘍(例えば、リンパ腫 リンパ腫の概要 リンパ腫とは、リンパ系および造血器官に存在するリンパ球のがんです。 リンパ腫は、リンパ球と呼ばれる特定の白血球から発生するがんです。この種の細胞は感染を防ぐ役割を担っています。リンパ腫は、Bリンパ球やTリンパ球のいずれの細胞からも発生する可能性があります。Tリンパ球は免疫系の調節やウイルス感染に対する防御に重要です。Bリンパ球は抗体を産生... さらに読む リンパ腫の概要 )および硝子体炎(硝子体の炎症)は、飛蚊症のまれな原因です。眼に異物 角膜上皮剥離および角膜異物 眼の表面にあるドーム状の透明な構造物(角膜)にみられるけがで最も多いのは次のものです。 引っかき傷(角膜上皮剥離) 異物(角膜異物) 角膜から異物を取り除くと、角膜の上皮が剥離し、感染につながることがあります。これらのけがの大半は軽いものです。 角膜上皮剥離の一般的な原因は粒子です。粒子は、爆発、風、または工具を使用した作業(例えば、粉砕、ハンマーやドリルの使用)を介して飛散します。コンタクトレンズは角膜上皮剥離の一般的な原因です。コン... さらに読む が入ったときも飛蚊症がみられることがありますが、そのような場合は通常、視力障害 突然の視力障害 突然の視力障害とは、数分から数日以内に発生する視力障害のことです。片眼にのみ現れることもあれば両眼に現れることもあり、視野の一部のみが侵されることもあれば視野のすべてが侵されることもあります。視野の小さな一部分だけが欠ける(例えば、小さな網膜剥離によるもの)と、かすみ目のような症状が現れます。視力障害の原因によっては、眼痛など、その他の症状がみられることもあります。 突然の視力障害には、主に以下に挙げる3つの原因があります。... さらに読む 眼痛 眼痛 眼痛には、激しいものもあれば鋭いものもあり、うずいたりズキズキしたりすることもあれば、眼の表面に軽い刺激または異物がある感覚(異物感)を覚えるだけのこともあります。 眼痛を引き起こす病気の多くでは、眼が赤くなります。眼痛の原因によっては他の症状がみられることもあります。 例えば、かすみ目、眼球の突出、または明るい光によって悪化する痛みなどがみられることがあります。 角膜(虹彩と瞳孔の前にある透明な層)は、痛みに非常に敏感です。角膜に影響... さらに読む 、または眼が赤くなる 眼が赤くなる 正常であれば白いはずの眼の部分が赤くなって見えることがあります。眼が赤く見えたり血走って見えたりするのは、目の表面の血管が拡大(拡張)し、眼に過剰の血液が運ばれているためです。 はやり目とは、一般に特定のウイルス感染症 によって眼が赤くなることをいいます。 血管が拡張する原因には、以下のものがあります。 感染症 アレルギー 感染症以外の原因による炎症 さらに読む といった症状の方が厄介です。

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評価

すべての飛蚊症が、医師による緊急の評価を必要とするわけではありません。以下では、どのようなときに医師の診察を受ける必要があるか、また受けた場合に何が行われるかについて説明しています。

警戒すべき徴候

飛蚊症がみられる場合は、特定の症状や特徴に注意が必要です。具体的には以下のものがあります。

  • 飛蚊症が突然増えた

  • 稲妻のような閃光が繰り返し見える

  • 完全な視力の喪失または部分的な視力障害(しばしば、視野の一部が影またはカーテンに覆われているように見えると言われる)

  • 最近の眼の手術または眼のけが

  • 眼痛

受診のタイミング

ほとんどの飛蚊症は重篤なものではありませんが、警戒すべき徴候がみられる人は、直ちに眼科医の診察を受ける必要があります。そのような人は、硝子体または網膜の重篤な病気である可能性があり、数日、ときに数時間受診が遅れただけで、恒久的な視力障害につながることもあります。軽度の飛蚊症があるものの、警戒すべき徴候はみられない場合は、都合のよいときに医師の診察を受けるべきですが、数日またはそれ以上受診が遅れたからといって問題になることはほとんどありません。ときおり飛蚊症がみられるものの、ほかに症状のない人は、頃合いを見て眼科を受診する必要がありますが、そのタイミングはそれほど重要ではありません。

医師が行うこと

医師は、飛蚊症の症状を説明するよう患者に求め、以下の点について質問します。

  • いつ飛蚊症に気づきましたか

  • どのような特徴がありますか(例えば、形、動き、再発するかどうか)

  • 飛蚊症があるのは片眼だけですか、それとも両眼にみられますか

  • チカチカする光が見えたり、視界の一部が欠けるまたはカーテンに覆われているように見えたりしませんか

  • 眼にけがをしたり眼の手術をしませんでしたか

  • 他の症状(かすみ目、眼が赤くなる、眼痛、または頭痛など)はありませんか

  • 近視ですか

  • 視覚に影響を及ぼす病気(糖尿病、エイズなどの免疫系の病気など)はありませんか

眼の診察は、身体診察の中で最も重要です。医師は、見え方の鮮明さ、眼の動き、瞳孔の光への反応を確認します。眼が赤くなっていないか、また視力が障害されている視野の領域がないかも確認します。

眼の診察で最も重要なのは眼底検査です。医師はまず、点眼薬を使って瞳孔を散大させます。 そして、検眼鏡 検眼鏡とは 眼に何らかの症状が出た場合は、医師の診察を受けるべきです。 しかし、眼の病気の中には、初期段階では症状がほとんどまたはまったくないものもあります。したがって、症状がなくても、眼科医やオプトメトリストによる定期的な検査を1~2年に1回程度(眼の状態によってはもう少し頻繁に)受けるべきです。眼科医とは、眼の病気の評価と(手術を含む)治療を専門... さらに読む (眼の奥を照らすライトの付いた拡大鏡、)で眼の中を観察し、特に網膜はできる限り隅々まで調べます。飛蚊症の原因として重篤なものが疑われる場合、眼科医による評価を受けることが重要です。眼科医とは、眼の病気の評価と(手術を含む)治療を専門とする医師のことです。

麻酔薬の点眼薬をさしてから、眼の内部の圧(眼圧)を測定します。

検査

飛蚊症のあまり深刻でない原因であれば、しばしば診察中に特定できますが、深刻な原因が疑われる場合、診断を下すために眼科医に紹介されます。眼科医とは、眼の病気の評価と(手術を含む)治療を専門とする医師のことです。眼科医は、より詳細な眼底検査を行い、他の検査を指示することもあります。例えば、感染症による硝子体の炎症に対しては、疑われる原因微生物を特定する検査が必要です。

治療

  • 硝子体の収縮による飛蚊症に治療は不要

  • ときに硝子体切除術

  • その他の原因に対する治療

硝子体の収縮による飛蚊症は、眼球内部の後方部分を満たしているゼリー状の物質[硝子体]が縮むことによる飛蚊症で、治療の必要はありません。

ときに、飛蚊症が激しく、視力を妨げている場合、中空の針を使って硝子体を眼から除去し、食塩水で置き換えることがあります。この手術は硝子体切除術と呼ばれます。しかし、硝子体切除術により、網膜の剥離または白内障をきたすおそれがあり、またときに処置後も飛蚊症が残ることがあるため、多くの医師は飛蚊症に対して硝子体切除術を行うべきではないと考えています。

症状を引き起こす別の病気があれば治療します。例えば、剥離した網膜を修復するため、手術が行われます。硝子体の炎症を引き起こしている感染症には、抗菌薬などが使用されます。

要点

  • 飛蚊症の患者で警戒すべき徴候がない場合、重篤な病気であることはほとんどありません。

  • 飛蚊症の患者に警戒すべき徴候がみられる場合は、眼科医への紹介が必要になることがあります。

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