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唾液腺の病気

執筆者:

Clarence T. Sasaki

, MD, Yale University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 5月
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本ページのリソース
  • 唾液腺の機能異常または腫れによって、唾液分泌量が減少することがあります。

  • 唾液分泌量の減少は、口腔乾燥(口の中の乾燥)やう蝕(虫歯)の原因になります。

  • 唾液の分泌量を測定することがあり、また医師が唾液腺の生検を行うこともあります。

  • 唾液腺へと通じる管の詰まりを除去できる場合もありますが、人工唾液が必要な人もいます。

口の中には、以下の3対の大唾液腺があります。

  • 耳下腺は最も大きい唾液腺で、下顎のえらが張った部分のすぐ後ろ、耳の前下方にあります。

  • 舌下腺顎下腺はそれより小さく、口の底深くにあります。

これらの大唾液腺のほかに、多数の小唾液腺が口のいたるところに分布しています。すべての唾液腺は唾液を分泌し、この唾液は消化過程の一端を担い、食物の分解を助けています。

大唾液腺の位置

大唾液腺の位置

以下のような数種類の病気が唾液腺に発生します。

  • 唾液腺の機能異常

  • 唾液腺の結石

  • 唾液腺の感染症

  • 唾液腺の腫れ

唾液腺の機能異常

唾液腺の機能異常は成人でよくみられ、通常は唾液の分泌が極めて少なくなります。唾液量が不足したり、ほとんどなくなったりすると、口の中が乾燥していると感じるようになります。この状態を口腔乾燥症といいます。

以下のような特定の状態によって、唾液分泌量が減少することがあります。

放射線照射を原因とする口腔乾燥は、通常は永続的なものです(特に照射線量が多い場合)。がんの化学療法を原因とする口腔乾燥は、通常は一時的なものです。

しかし、口腔乾燥の原因がすべて唾液腺の機能異常というわけではありません。例えば、以下のことによって口腔乾燥が起こることもあります。

  • 水分の摂取量が少なすぎる

  • 口で呼吸する

  • 不安やストレス

また年齢を重ねればある程度口が乾燥しますが、これは老化の過程そのものというよりも、加齢に伴い口腔の乾燥を引き起こす薬を服用することが多くなるためと考えられます。

唾液にはう蝕を防ぐ働きが備わっているため、唾液量が不足すると、う蝕が(特に歯根部に)できやすくなります。口腔乾燥が激しい場合は、話したりものを飲み込んだりすることが困難になることもあります。

まれに、唾液腺から唾液が過剰分泌されることがあります。唾液の増加は通常は非常に短時間のもので、特定の食べもの(酸っぱいものなど)を食べたことに反応して起こります。ときにはそうしたものを食べることを考えただけで、唾液の分泌量が増えることがあります。

唾液腺の結石(唾石)

唾液中に含まれる塩が固まって結石ができることがあります。結石は、特に脱水状態のときや唾液の分泌量を減らす薬を飲んだときにできる可能性が高まります。痛風 痛風 痛風は、尿酸の血中濃度が高いこと(高尿酸血症)が原因で、尿酸の結晶が関節に沈着し蓄積する病気です。結晶が蓄積することで、関節とその周辺に痛みのある炎症の発作が起きます。 尿酸結晶が蓄積すると、関節や組織に激しい痛みや炎症が断続的に起こることがあります。 医師は関節から関節液を採取し、尿酸結晶の有無を調べます。... さらに読む 痛風 の患者でも結石ができる可能性が高まります。唾石は成人で最も多くみられます。約25%の患者では複数の唾石があります。

唾液腺から口の中に唾液を送り出す管(唾液腺管)を唾石がふさぐと問題が生じます。管が閉塞すると、唾液が管の中を逆流し、唾液腺が腫れて痛みを伴います。詰まった管と唾液がたまった唾液腺に、細菌が感染することがあります。

唾液腺管の閉塞の典型的な症状は、詰まった唾液腺の腫れと痛みです。唾液腺管が閉塞していると唾液の行き場がなくなり唾液腺が腫れるため、痛みと腫れは食後に悪化し、特に唾液の分泌を刺激するもの(漬け物やレモン果汁など)を食べた場合に悪化します。腫れは数時間後に引くことがあり、唾液腺管から唾液が噴出することがあります。唾石があっても症状がまったく生じないこともあります。

唾液腺の感染症

唾液腺の感染症の大半は、唾液の流れをふさぐもの(結石など)があるか、唾液の分泌量が非常に少ない人に起こります。感染症は耳下腺で最も起こりやすく、典型的には以下の人にみられます。

食欲不振の青年および若い成人も、この感染症にかかりやすくなっています。感染微生物は通常、黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureusです。

ときに膿の蓄積(膿瘍)が唾液腺にでき、少量の膿が唾液腺管から出てきます。感染した唾液腺は腫れて非常に痛み、しばしば唾液腺の上の皮膚が赤くなり、触れると痛みます。

唾液腺の腫れ

ムンプス ムンプス(おたふくかぜ) ムンプスとは、唾液腺が痛んで腫れる、感染力の強いウイルス感染症です。精巣、脳、膵臓を侵すこともあり、特に成人ではその傾向があります。 ムンプスの原因はウイルスです。 症状としては、悪寒、頭痛、食欲減退、発熱、けん怠感などがあり、その後唾液腺が腫れます。 診断は典型的な症状に基づいて下されます。 たいていの小児は問題なく回復しますが、髄膜炎や脳炎が起きることもあります。 さらに読む ムンプス(おたふくかぜ) (おたふくかぜ、流行性耳下腺炎)、ある種の細菌感染症(例えば扁桃や歯の感染症)、一般的には成人で多いその他の病気(エイズ、シェーグレン症候群 シェーグレン症候群 シェーグレン症候群はよくみられる自己免疫リウマチ疾患で、眼や口などの粘膜の異常な乾燥を特徴とします。 白血球が、体液を分泌する腺に侵入して損傷を与えることがあり、ときには他の臓器に損傷が及ぶ場合もあります。 診断を助けるために確立された基準が用いられることがあり、検査により涙と唾液の分泌量を測定するとともに、血液中に異常な抗体が存在しないかを評価できます。 通常は、眼や口などの表面を乾燥させないようにする対策を講じるだけで十分です。... さらに読む シェーグレン症候群 糖尿病 糖尿病 糖尿病は体が必要とするインスリンを十分に産生しないため、血糖(ブドウ糖)値が異常に高くなる病気です。 排尿が増加し、のどが渇き、減量しようとしていないのに体重が減少します。 神経を損傷し、知覚に問題が生じます。 血管を損傷し、心臓発作、脳卒中、慢性腎臓病、視力障害のリスクが高まります。... さらに読む サルコイドーシス サルコイドーシス サルコイドーシスとは、体の多くの器官に炎症細胞の異常な集積(肉芽腫[にくげしゅ])がみられる病気です。 サルコイドーシスは、一般に20~40歳で発生し、スカンジナビア系の人やアフリカ系アメリカ人に最も多くみられます。 多くの器官が侵される可能性がありますが、肺に最もよくみられます。... さらに読む サルコイドーシス 過食症 神経性過食症 神経性過食症は、大量の食べものを短時間に次から次へと摂取し(過食)、その後に食べ過ぎを埋め合わせる行為(例えば、排出行動、絶食、運動など)を行うことを特徴とする摂食障害です。 患者は大量の食べものを摂取した後、食べ過ぎの埋め合わせをしようとして、意図的に嘔吐したり、下剤を使用したり、ダイエットや絶食をしたり、激しい運動をしたりします。 過度に体重を気にしたり、体重の変動が激しかったりする場合は、神経性過食症が疑われます。... さらに読む など)によって、しばしば大唾液腺が腫れます。

下唇のけが(例えば、うっかり下唇を噛んだことによる)によってその部位の小唾液腺が傷つくことがあり、唾液の流れが止まることがあります。その結果、傷ついた唾液腺が腫れて青みがかった小さな軟らかいしこり(粘液嚢胞)ができることがあります。このしこりは通常、数週間から数カ月以内に自然に消失します。

加齢に関連する注意点:口腔乾燥

多くの高齢者で口腔乾燥(口の中の乾燥)がみられます。加齢そのものが口の中の湿潤状態に与える影響はわずかですが、加齢に伴い口腔内を乾燥させる病気になりやすい上、高齢者は口腔内を乾燥させうる薬を服用する機会も多くなります。

多くの人にとって、口腔乾燥は時折現れる不快なものにすぎません。しかし、一部の人では味覚、咀しゃく、飲み込み、発声、入れ歯(義歯)の使用が持続的に妨げられます。また、長期の口腔乾燥によってう蝕(虫歯)や歯周病にかかるリスクが上昇します。長期の口腔乾燥は、通常は何らかの病気の症状か、薬の副作用です。

診断

  • 生検

  • 内視鏡検査

  • 画像検査

唾液の分泌量を測定する優れた検査はありません。しかし、唾液腺は乳しぼりのように搾ることができ、唾液腺管からの唾液の流れ具合を観察することができます。

唾液腺管の閉塞による腫れは、食事時間と痛みの関係から診断されます。その他の腫れの原因を診断するには、歯科医などの医師が唾液腺組織のサンプルを採取し、顕微鏡で調べる検査(生検)を行うことがあります。唾液腺管の中に挿入できる非常に細い観察用の管(内視鏡)を用いる新しい手法によって、閉塞のその他の原因が特定されることもあります。

医師が身体診察で診断を下せない場合は、CT検査、超音波検査、唾液腺造影検査など特定の画像検査を行うことがあります。唾液腺造影検査はX線検査の一種で、X線画像に写る物質(造影剤)を唾液腺と唾液腺管に注射した後に撮影を行います。

治療

  • 口腔乾燥に対して、口の衛生状態を良好に保ち、ときに薬

  • 唾石に対して、鎮痛薬、水分、理学療法、またはときに摘出

  • 感染症に対して、抗菌薬および理学療法

  • 腫れに対して、様々な治療法、手術が含まれる可能性あり

口腔乾燥に対して、患者は以下のことを行うべきです。

  • 唾液の分泌量を減らす薬を避ける

  • 一日中水分を少量ずつとる

  • 定期的な歯磨きとデンタルフロスの使用

  • フッ素洗口液の使用

  • 診察と清掃のために3~4カ月毎に歯科を受診する

  • ときに洗口液としてカルボキシメチルセルロースを含む人工唾液を用いる

  • ときにシュガーレスのガムをかむ

一部の歯科医は、患者にフッ素ゲルで満たされた合成樹脂製の歯のカバーを夜間につけさせることがあります。ときに、セビメリンやピロカルピンといった唾液の分泌量を増やす薬が症状の緩和に役立ちます。そうした薬は、唾液腺が放射線照射によって傷ついている場合は役に立たないことがあります。

唾石に対して、患者は痛み止め(鎮痛薬)の服用、水分を多めにとること、唾液腺のマッサージ、温かいものをあてる、レモン果汁や切ったレモンや酸っぱいキャンディで唾液の分泌を誘発するなどの方法を利用するほか、いくつかの方法を組み合わせてもよいでしょう。唾石が自然に出てこない場合は、歯科医が唾液線管の両側を圧して唾石を押し出す場合があります。これが成功しない場合は、細いワイヤー状の器具を使って唾石を引き出すことがあります。最後の手段としては、手術や内視鏡で摘出することができます。

唾液腺の感染症に対しては、医師は抗菌薬を投与し、患者に唾液腺をマッサージし温かいものをあてるよう指導します。唾液腺の膿瘍は、切って開き排膿する必要があります。

唾液腺の腫れの治療は、原因によって異なります。自然に消えない粘液嚢胞は、煩わしくなった場合には、手術で取り除くことができます。同様に、良性でも悪性でも唾液腺腫瘍は通常は手術で摘出できます。

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