舌の色の変化
舌乳頭(小さく丸い突起)が、喫煙や噛みタバコ、特定の食べものやビタミンの摂取、または舌面における色素産生細菌の増殖によって、変色することがあります。
舌の上面の黒い変色は、胃の不調の治療薬であるビスマス製剤を服用していると起こることがあります。歯ブラシで舌をブラッシングしたり、舌ブラシでこすったりすると、そうした変色を除去できます。
舌の下側の小さな青黒い変色は、銀を含む歯科用アマルガム充填材の破片によって生じるメタルタトゥーの可能性があります。
青白い滑らかな舌は、 ビタミンB12欠乏症 ビタミンB12欠乏症 ビタミンB12欠乏症は、サプリメントを摂取しない完全な菜食主義者に発生したり、吸収障害の結果として発生することがあります。 貧血が起こり、蒼白、筋力低下、疲労が生じ、重度の場合には息切れやめまいも起こります。 重度のビタミンB12欠乏症によって神経の損傷が起きることがあり、手足のチクチク感や感覚消失、筋力低下、反射消失、歩行困難、錯乱、認知症が起こります。 ビタミンB12欠乏症の診断は、血液検査の結果に基づいて下されます。... さらに読む を原因とする、 鉄欠乏性貧血 鉄欠乏性貧血 鉄欠乏性貧血は、赤血球の産生に必要な鉄の貯蔵量の不足や欠乏によって起こります。 過剰な出血が最も一般的な原因です。 脱力感や息切れを覚えたり、顔が青白くなったりします。 血液検査で鉄分の量が測定できます。 鉄分の量を回復させるために、鉄剤が用いられます。 さらに読む または悪性貧血によって起こります。
赤い苺舌は、猩紅熱(しょうこうねつ)でみられる最初の徴候の場合があり、幼児では 川崎病 川崎病 川崎病は全身の血管に炎症が起こる病気です。 川崎病の原因は不明ですが、感染症と関連があると考えられています。 典型的な症状は、発熱、発疹、イチゴ舌のほか、ときに心臓の合併症がみられることもあり、これによりまれに死に至ることがあります。 診断は診断基準に基づいて下されます。 迅速な治療を行えば、ほぼすべての患児が回復します。 さらに読む の徴候の場合があります。
赤い滑らかな舌と口の痛みがある場合は、舌の全体的な炎症(舌炎)があるか、または食事での ナイアシン(ビタミンB3)の摂取不足 ナイアシン欠乏症 ナイアシン欠乏症(ペラグラの原因)は先進国ではまれです。ナイアシン欠乏症の患者の多くでは、 タンパク質、 リボフラビン(ビタミンB群の1つ)、 ビタミンB6の欠乏症もみられます。 独特な暗赤色の発疹が手、足、ふくらはぎ、首、顔に現れ、舌と口が暗赤色に変色します。 消化管の不調、疲労、不眠、無関心、後に錯乱と記憶障害がみられます。 診断は、食事歴、症状、ときに尿検査の結果に基づいて下されます。... さらに読む による低栄養の一種であるペラグラによって生じている可能性があります。
舌の表面の変化
地図状舌では、舌面の一部に赤色の滑らかな部分(潰瘍のような)が生じ、多くの場合、白い境界線で囲まれています。他の部分は、白色または黄色でざらついたように見えますが、これは 乾癬 乾癬 乾癬(かんせん)は、1つまたは複数の盛り上がった赤い斑が生じる、再発を繰り返す慢性の病気で、それらの斑は銀白色の鱗屑(うろこ状のくず)を伴い、正常な皮膚との境界ははっきりしています。 免疫系の問題が関わっている可能性があり、遺伝的に乾癬を生じやすい人もいます。 特徴的な鱗屑または赤い斑が全身のあらゆる部分に様々な大きさで生じますが、特に肘、膝、頭皮によくみられます。 この病気の治療は、皮膚に塗る薬剤(外用薬)、紫外線照射(光線療法)、内... さらに読む に類似しているか、または乾癬によって引き起こされたものです。変色部分は、数週間から数年間にわたり移動することがよくあります。通常は痛みはなく、治療の必要はありません。症状がある場合、低用量のコルチコステロイドを塗布すると役立つことがあります。
溝状舌では、舌の表面に深い溝がみられます。溝状舌の原因は不明ですが、地図状舌や他の病気に伴って発生することがあります。通常、症状はなく、特に治療の必要はありません。
毛舌は、ケラチン(体内の正常なタンパク質で毛髪や皮膚、爪に存在します)が舌の上の面にある正常な突起(舌乳頭)に蓄積することで、舌に毛が生えてきたように見えるものです。毛舌は、十分に口内の清掃を行わなかった場合に、乳頭に残った食べもののかすによって生じることがあります。毛の生えたような外見は、発熱の後、抗菌薬治療の後、または過酸化物入りの洗口液を頻繁に使い過ぎている場合にも起こることがあります。
舌の上面にみられるこの「毛」は、毛様白板症と混同すべきではありません。毛様白板症は、舌の側面にみられる白い毛のような見た目の斑点で、 エプスタイン-バーウイルス 伝染性単核球症 エプスタイン-バーウイルスは、伝染性単核球症をはじめ、いくつかの病気を引き起こします。 この ウイルスはキスを介して広がります。 症状は様々ですが、最も多いのは極度の疲労感、発熱、のどの痛み、リンパ節の腫れです。 血液検査を行って診断を確定します。 アセトアミノフェンや非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は発熱と痛みを和らげます。 さらに読む が原因で生じます。通常は、免疫系が抑制される病態がある場合に生じ、特に HIV感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む
でみられます。
舌の白っぽい斑点で、ときに頬の内側にみられるものに類似しているものは、以下が原因で生じることがあります。
発熱
脱水
鵞口瘡 口にできる良性の増殖性病変
(カンジダ[Candida]感染症)
口呼吸
歯のとがった縁や破損した詰め物との摩擦