感染症の予防に役立つ手段はいくつかあります。
手洗いは、感染症が人から人に伝染することを予防する有効な手段の1つです。食品を扱う人や他の人と体が触れる機会が多い人には、手洗いは特に重要です。重病で入院している患者を見舞う場合は、手洗いが必要であり、ガウン、マスク、手袋をしてから病室に入るよう求められることもあります。多くの病院では、アルコールを含んだ消毒用のジェルやフォームも用意しています。患者に触れる前後にこれらの洗浄剤で手を洗うことで、感染の拡大を予防できます。
ときに、感染症にまだかかっていない人に対して、感染を予防する目的で 抗菌薬 抗菌薬の概要 抗菌薬は 細菌感染症の治療で使用される薬です。ウイルス感染症や他のほとんどの感染症には効果がありません。抗菌薬は微生物を殺すか、その増殖を止めることによって、体に 自然に備わっている防御機構 が微生物を排除するのを助けます。 抗菌薬は特定の細菌感染症に対して使用します。しかし、... さらに読む を投与することがあります。これは予防的抗菌薬投与と呼ばれます。また、ほかに健康上の問題がない人でも、ある種の手術(特に腹部の手術や臓器移植)を受ける際には、抗菌薬の予防投与が必要になります。
予防接種 予防接種の概要 予防接種(ワクチン接種)を行うことで、特定の細菌やウイルスが原因で起こる病気に対する体の抵抗力を高めることができます。免疫(特定の細菌やウイルスによって引き起こされる病気から自らを守る体に備わった能力)は、細菌やウイルスにさらされることで自然に生じる場合と、予防接種を受けることで人為的に得られる場合があります。ある病気に対して免疫ができる... さらに読む は非常に有効な感染予防策です。感染症にかかるリスクの高い人(特に乳児、小児、高齢者、エイズ患者)は、リスクを低下させるために必要な予防接種をすべて受けるべきです。
(感染症の概要 感染症の概要 微生物とは、細菌やウイルスなど、ごく小さな生物のことです。微生物はどこにでも存在しています。その数は驚くほど多いものの、人間の体内に侵入して増殖し、病気を引き起こすのは、数千種類ある微生物のうちの比較的少数に限られています。 微生物の多くは皮膚の表面や口、上気道、腸、性器(特に腟[ちつ])内に、病気を起こすこともなく定着しています(... さらに読む も参照のこと。)