運動が喘息を誘発したり、悪化させたりすることがあり、まれですが、重度のアレルギー反応(アナフィラキシー反応)を起こすこともあります。
医師は通常、症状とその運動との関連性に基づいて診断を行います。
喘息の治療に用いられる薬によって、通常は運動時の症状の発生を予防できますが、体力をつけるようにし、運動の強度や期間を徐々に増やしていくことも有用です。
(アレルギー反応の概要 アレルギー反応の概要 アレルギー反応(過敏反応)とは、通常は無害な物質に対して免疫系が異常な反応をすることを指します。 通常、アレルギー反応が起こると、くしゃみが起こり、涙目や眼のかゆみ、鼻水、皮膚のかゆみや発疹などが起こります。 アナフィラキシー反応と呼ばれる一部のアレルギー反応は生命を脅かします。... さらに読む も参照のこと。)
運動により以下のような症状が現れます。
喘息 喘息 喘息は、気道が何らかの刺激に反応して狭くなる(通常は可逆性)病態です。 症状としては、特定の誘因に反応して生じる、せき、喘鳴(ぜんめい)、息切れなどが最もよくみられます。 医師は、呼吸の検査(肺機能検査)を行って喘息の診断を確定します。 喘息発作を防ぐためには、誘因となる物質を吸い込まないようにするとともに、気道の開口を保つ薬を服用する必... さらに読む
:もともと喘息のある人は運動が引き金になって喘息発作が起こることがよくありますが、運動した場合にだけ喘息発作が起こるという人もいます。運動すると喘息発作が起きたり症状が悪化したりするのは、呼吸が速くなることで気道が冷えて乾燥し、その後、暖まったときに気道が狭くなるためです。そのため運動誘発喘息は空気が冷たく乾いていると起こりやすくなります。胸が苦しくなり、喘鳴、せき、呼吸困難が起こることもあります。
アナフィラキシー反応 アナフィラキシー反応 アナフィラキシー反応は急に発症して広い範囲にわたり、生命を脅かすほど重症化することがあるアレルギー反応です。 アナフィラキシー反応の初期症状には不安感が多く、次いでチクチクした感じと、めまいが起こります。 症状がみるみる悪化して、全身にかゆみやじんま疹、腫れが出たり、喘鳴や呼吸困難が起きたり、失神したりします。これ以外のアレルギー症状が出ることもあります。 これらの症状は生命を脅かす状態まで急速に悪化する可能性があります。... さらに読む :まれに、激しい運動により、広範で重症化するおそれのあるアレルギー反応(アナフィラキシー反応)が起こることがあります。人によっては運動する前に特定の食品(特に小麦やエビ)を食べた場合にだけ、この反応が起こります。呼吸が困難になったり血圧が低下したりして、めまいや失神につながります。アナフィラキシー反応は生命を脅かすことがあります。
運動誘発喘息やアナフィラキシー反応の症状は激しい運動を始めて5~10分で現れるのが典型的ですが、運動をやめた後で始まることもあります。
診断
治療
喘息の治療に使用される薬
考えられる誘因の回避
運動誘発喘息の患者にとって、治療の目標は運動をしても症状が出ないようにすることです。体力をつければ運動中に症状が出ることが少なくなる可能性があります。また、運動を始める約15分前に 喘息の治療薬 喘息の治療によく使用される薬剤 であるベータ作動薬を吸入すれば、反応が起こるのを予防できます。クロモグリク酸も役立つことがあります。たいていは吸入して使用します。
喘息のある人は、喘息のコントロールに通常用いられる薬を使用すれば、運動中の症状発生を防ぐことができます。薬を使いながら徐々に運動の強さと運動時間を増していくことで、運動に耐えられるようになる人もいます。
運動誘発アナフィラキシー反応を起こしたことがある人は、発作を誘発する運動を避けます。運動の前に特定の食品を食べると症状が出る場合は、その食品を食べないようにします。
アドレナリンの自己注射用キットを常時携帯して、いざというときに迅速に緊急の治療ができるようにする必要があります。1人で運動するのではなく、他の人と一緒にするのがよいでしょう。