(電解質の概要 電解質の概要 人の体内の水分量は体重の2分の1をはるかに上回ります。体内の水分は様々な空間(体液コンパートメントと呼ばれています)に制限されて存在していると考えられています。主に次の3つのコンパートメントがあります。 細胞内の体液 細胞の周囲の体液 血液 体が正常に機能するには、これらの各領域で体液量が偏らないようにする必要があります。 さらに読む 、 体内でのリンの役割 体内でのリンの役割の概要 リンは体内で重要な役割を担う元素です。体内にあるリンはほとんどすべて酸素と結合し、リン酸を形成しています。リンは体内に存在する 電解質の1つであり、血液などの液体に溶け込むと電荷を帯びる ミネラルですが、体内のリンの大半は電荷を帯びていません。( 電解質の概要も参照のこと。) 体内に存在するリンの約85%が骨に含まれています。残りは主に細胞の中にあり、エネルギー産成にかかわっています。... さらに読む の概要も参照のこと。)
リンは体内に存在する 電解質 電解質の概要 人の体内の水分量は体重の2分の1をはるかに上回ります。体内の水分は様々な空間(体液コンパートメントと呼ばれています)に制限されて存在していると考えられています。主に次の3つのコンパートメントがあります。 細胞内の体液 細胞の周囲の体液 血液 体が正常に機能するには、これらの各領域で体液量が偏らないようにする必要があります。 さらに読む の1つであり、血液などの液体に溶け込むと電荷を帯びる ミネラル ミネラルの概要 体の細胞が正常に機能するには、ミネラルが必要です。体は、以下のものを比較的大量に必要とします。 カルシウム 塩化物 マグネシウム リン さらに読む ですが、体内のリンの大半は電荷を帯びていません。
重度の 腎機能障害 腎不全の概要 この章には、 COVID-19および急性腎障害(AKI)に関する新しいセクションが含まれています。 腎不全とは、血液をろ過して老廃物を取り除く腎臓の機能が十分に働かなくなった状態のことです。 腎不全の原因としては、様々なものが考えられます。腎機能が急激に低下する場合( 急性腎障害、急性腎不全とも呼ばれます)もあれば、ゆっくりと低下していく... さらに読む でない限り、高リン血症はまれにしか発生しません。重度の腎機能障害がある場合、腎臓から リン 体内でのリンの役割の概要 リンは体内で重要な役割を担う元素です。体内にあるリンはほとんどすべて酸素と結合し、リン酸を形成しています。リンは体内に存在する 電解質の1つであり、血液などの液体に溶け込むと電荷を帯びる ミネラルですが、体内のリンの大半は電荷を帯びていません。( 電解質の概要も参照のこと。) 体内に存在するリンの約85%が骨に含まれています。残りは主に細胞の中にあり、エネルギー産成にかかわっています。... さらに読む を十分に排出することができません。腎機能低下の治療によく用いられる透析も、リンの除去についてはあまり効果的ではなく、高リン血症のリスクを減らすことができません。
あまり多くはないものの、次のような人でも高リン血症が発生することがあります。
副甲状腺ホルモンの値は正常であるにもかかわらず、このホルモンへの反応が欠如している(偽性副甲状腺機能低下症)
挫滅損傷
経口または浣腸による大量のリンの投与
高リン血症の症状
高リン血症になっても、大半の人では症状が現れません。しかし、重度の腎機能障害の人では、カルシウムとリンが結合し、血液中のカルシウム濃度が低下します(低カルシウム血症 低カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が低いこと) 低カルシウム血症とは、血液中のカルシウム濃度が非常に低い状態をいいます。 カルシウム濃度の低下は、副甲状腺の問題や、食事、腎疾患、特定の薬剤などが原因で発生します。 低カルシウム血症が進行すると、強い痛みを伴う筋肉のけいれんがよくみられ、そのほかに錯乱、抑うつ、忘れっぽくなる、唇や指や足のピリピリ感、筋肉のこわばりと疼きなどの症状が現れることもあります。 通常は一般的な血液検査で発見されます。... さらに読む と呼ばれる病態)。カルシウム濃度が低下すると、強い痛みを伴う筋肉のけいれんやれん縮が起こるだけでなく、副甲状腺ホルモンが増加して、骨がもろくなるなどの問題が生じます。
また、カルシウムとリンが結合すると、血管の内壁などの組織でこれらの結晶が形成(石灰化)されます。それによって重度の 動脈硬化 動脈硬化 アテローム性動脈硬化とは、太い動脈や中型の動脈の壁の中に主に脂肪で構成されるまだら状の沈着物(アテロームあるいはアテローム性プラーク)が形成され、それにより血流が減少ないし遮断される病気です。 アテローム性動脈硬化は、動脈の壁が繰り返し損傷を受けることによって引き起こされます。... さらに読む (動脈が硬くなること)が発生し、脳卒中、心臓発作、循環障害につながる場合があります。
結晶は皮膚でも形成され、激しいかゆみを生じます。
高リン血症の診断
血液中のリン濃度の測定
血液検査でリン濃度が高ければ、高リン血症の診断が下されます。
高リン血症の治療
リンの少ない食事
リンの排泄量を増加させる薬
腎機能に障害がある場合は、リンの摂取量を減らし、消化管でのリンの吸収量を減らすことで高リン血症を治療します。リンを多く含む食物(牛乳、卵黄、チョコレート、ソフトドリンクなど)は避ける必要があります。
医師の処方に基づいて、セベラマー、ランタン、カルシウム化合物など、リンに結合する薬剤を食事と一緒に服用します。これらの薬剤はリンを吸収されにくくするとともに、リンの排出を促進します。カルシウム化合物は組織内でカルシウムとリンの結晶をつくりやすいため、透析を受けている人にはセベラマーやランタンがよく使用されます。