体内のヨウ素のほとんどは 甲状腺 甲状腺の概要 甲状腺は幅約5センチメートルの小さな腺で、首ののどぼとけの下方の皮膚のすぐ下にあります。甲状腺は2つの部分(葉)に分かれ、中央で結合し(峡部と呼ばれます)、蝶ネクタイのような形をしています。正常な甲状腺は外見では分からず、かろうじて触れることができる程度ですが、甲状腺が腫れて大きくなると、医師が触診すれば容易に分かるようになり、のどぼとけ... さらに読む にあります。甲状腺のヨウ素は、 甲状腺ホルモン 甲状腺ホルモン 甲状腺は幅約5センチメートルの小さな腺で、首ののどぼとけの下方の皮膚のすぐ下にあります。甲状腺は2つの部分(葉)に分かれ、中央で結合し(峡部と呼ばれます)、蝶ネクタイのような形をしています。正常な甲状腺は外見では分からず、かろうじて触れることができる程度ですが、甲状腺が腫れて大きくなると、医師が触診すれば容易に分かるようになり、のどぼとけ... さらに読む の形成に必要です。(ミネラルの概要 ミネラルの概要 体の細胞が正常に機能するには、ミネラルが必要です。体は、以下のものを比較的大量に必要とします。 カルシウム 塩化物 マグネシウム リン さらに読む も参照のこと。)
ヨウ素は海水中に存在しています。海水から少量のヨウ素が大気に入り、雨を介して海の近くの地下水や土壌に入ります。
米国を含む多くの地域で、十分な量をとるためにヨウ素(結合したヨウ化物として)が食卓塩に添加されています。
ヨウ素が食卓塩に添加されている地域では、ヨウ素欠乏症はまれです。しかし、世界的にはヨウ素欠乏症は多くみられます。海から離れた地域や標高が高いところに住む人は、海の近くと違って環境中にほとんどヨウ素が含まれていないため、ヨウ素欠乏症になるリスクが特に高くなります。
ヨウ素欠乏症の症状
ヨウ素が欠乏すると、甲状腺ホルモンの分泌に必要なヨウ素をより多く取り込もうとして甲状腺が腫大し、 甲状腺腫 単純性非中毒性甲状腺腫 単純性非中毒性甲状腺腫は甲状腺の良性の腫大で、甲状腺ホルモンが過剰につくられたり、不足したりすることはありません。 甲状腺の良性の腫大は、食事中のヨウ素の不足またはある種の物質や薬の摂取が原因で発生することがあります。 ほとんどの場合、症状はありません。 血液検査により、甲状腺がどの程度機能しているかを判定します。 腫大の原因に対する治療を行い、ときに腫大した甲状腺の一部を手術で切除しなければならないこともあります。 さらに読む を形成します。甲状腺の機能が低下し、甲状腺ホルモンがほとんど分泌されなくなります(甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンの生産が不十分になる病気で、身体の重要な機能が働く速度が低下します。 顔の表情が乏しく、声がかすれ、話し方はゆっくりになり、まぶたは垂れて、眼と顔が腫れます。 通常は1回の血液検査で診断が確定されます。 甲状腺機能低下症の人は、生涯にわたって甲状腺ホルモンの投与を受ける必要があります。 甲状腺は、体内の化学反応が進行する速度(代謝率)を制御する甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺ホル... さらに読む )。妊よう性が低下します。成人では、甲状腺機能低下症によって、皮膚の浮腫、声がれ、精神機能障害、皮膚が乾燥しうろこ状になる、毛髪が硬く薄くなる、寒さに耐えられない、体重増加といった症状が生じることがあります。
妊婦がヨウ素欠乏症になると、流産と死産のリスクが増大します。胎児の成長が遅くなることがあり、脳の発達に異常が現れることもあります。生まれてすぐに治療を受けないと、知的障害と低身長を引き起こす病気が発生します。クレチン症の新生児は耳が聞こえずものが言えないことがあります。先天異常や甲状腺機能低下症がある場合もあります。
ヨウ素欠乏症の診断
血液検査
甲状腺腫がある(成人の場合)
ヨウ素欠乏症の診断は、血液検査で甲状腺ホルモンの血中濃度が低いか、もしくは甲状腺刺激ホルモン(TSH)の濃度が高いことが示されていること、または 甲状腺腫 単純性非中毒性甲状腺腫 単純性非中毒性甲状腺腫は甲状腺の良性の腫大で、甲状腺ホルモンが過剰につくられたり、不足したりすることはありません。 甲状腺の良性の腫大は、食事中のヨウ素の不足またはある種の物質や薬の摂取が原因で発生することがあります。 ほとんどの場合、症状はありません。 血液検査により、甲状腺がどの程度機能しているかを判定します。 腫大の原因に対する治療を行い、ときに腫大した甲状腺の一部を手術で切除しなければならないこともあります。 さらに読む があること(成人の場合のみ)に基づいて下されます。
医師は、すべての新生児について、 甲状腺機能低下症 新生児の甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの分泌量が低下した状態です。 新生児の甲状腺機能低下症は、甲状腺の構造に問題がある場合に起こることがあります。 症状は、長期にわたる成長と発達の遅延などがあります。 診断は、新生児スクリーニング検査、甲状腺機能検査、および画像検査に基づきます。 治療としては、甲状腺ホルモンの補充療法があります。 さらに読む (ヨウ素欠乏症を原因とするものを含む)がないか確認するために血液検査を行います。
甲状腺の大きさを測定し異常の評価を行うため、超音波検査や甲状腺シンチグラフィーなどの画像検査が行われることがあります。
ヨウ素欠乏症の予防と治療
妊婦と授乳中の女性に対して、妊婦用ビタミン剤
ヨウ素のサプリメントおよびときに甲状腺ホルモンのサプリメント
妊婦はヨウ素の摂取量が不十分なことがよくあります。そのため、妊婦と授乳中の女性は、250マイクログラムのヨウ素を含む妊婦用ビタミン剤を毎日服用するべきです。
ヨウ素欠乏症の乳児、小児、成人には、ヨウ素のサプリメントの服用で治療を行います。乳児には甲状腺ホルモンのサプリメントも数週間投与され、ときには一生投与されることもあります。小児および成人にも、甲状腺ホルモンのサプリメントが投与されることがあります。