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セレン欠乏症

執筆者:

Larry E. Johnson

, MD, PhD, University of Arkansas for Medical Sciences

レビュー/改訂 2021年 12月
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セレン欠乏症はまれで、セレンの摂取量が少なすぎることが原因で起こります。

セレンはあらゆる組織に存在します。セレンはビタミンEと一緒に抗酸化物質として作用します。正常な細胞活動で生じる化学反応しやすい副産物であるフリーラジカルによる損傷から細胞を保護するのに役立ちます。セレンは一部のがんの予防に役立つことがあります。セレンはまた、甲状腺が正常に機能するために必要です。(ミネラルの概要 ミネラルの概要 体の細胞が正常に機能するには、ミネラルが必要です。体は、以下のものを比較的大量に必要とします。 カルシウム 塩化物 マグネシウム リン さらに読む も参照のこと。)

セレン欠乏症はまれで、摂取量が米国やカナダよりはるかに少ないニュージーランドやフィンランドでも、ほとんどみられません。セレンの摂取量がさらに少ない中国の一部地域では、セレン欠乏症患者は、主に小児や若い女性に多くみられるウイルス性疾患である克山病(こくざんびょう)を発症する可能性が高くなります。克山病は心臓の内壁に損傷を与え、 心筋症 心筋症の概要 心筋症とは、心臓の壁を構成する筋肉の構造と機能が障害される進行性の病気です。 心筋症の主な病型としては、以下の3種類があります。 拡張型心筋症:心室(心臓内部の下側にある2つの部屋)が拡大(拡張)する病型 肥大型心筋症:心室の壁が厚く硬くなる病型 拘束型心筋症:心室の壁が硬くなるものの、必ずしも厚くならない病型 さらに読む 心筋症の概要 を引き起こします。

成長中の小児がセレン欠乏症の場合、徐々に進行して日常生活に支障をきたす関節と骨の病気(カシン-ベック病)を発症することがあります。この病気はシベリアと中国で比較的よくみられるようです。

セレン欠乏症は、 ヨウ素欠乏症 ヨウ素欠乏症 ヨウ素欠乏症は世界的によくみられ、甲状腺の腫大につながることがあります。 体内のヨウ素のほとんどは 甲状腺にあります。甲状腺のヨウ素は、 甲状腺ホルモンの形成に必要です。( ミネラルの概要も参照のこと。) ヨウ素は海水中に存在しています。海水から少量のヨウ素が大気に入り、雨を介して海の近くの地下水や土壌に入ります。 米国を含む多くの地域で、十分な量をとるためにヨウ素(結合したヨウ化物として)が食卓塩に添加されています。... さらに読む と作用して、両方の欠乏症を併発している患者で甲状腺腫や甲状腺の機能低下(甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症 甲状腺機能低下症は、甲状腺の働きが低下し、甲状腺ホルモンの生産が不十分になる病気で、身体の重要な機能が働く速度が低下します。 顔の表情が乏しく、声がかすれ、話し方はゆっくりになり、まぶたは垂れて、眼と顔が腫れます。 通常は1回の血液検査で診断が確定されます。 甲状腺機能低下症の人は、生涯にわたって甲状腺ホルモンの投与を受ける必要があります。 甲状腺は、体内の化学反応が進行する速度(代謝率)を制御する甲状腺ホルモンを分泌します。甲状腺ホル... さらに読む 甲状腺機能低下症 )を引き起こすことがあります。

医師は、患者の環境と症状に基づいてセレン欠乏症を疑います。この欠乏症に対する血液検査は簡単には行えません。

セレンのサプリメントによる治療で完全に回復する場合もあります。セレンのサプリメントを服用すると、克山病による心筋症を予防できますが、治癒させることはできません。

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